平成24年7月17日(火)
雨池山2,325m、三ッ岳2,360m、八柱山2,114.8m
八ヶ岳には沢山のピークがある。随分登っているつもりだが、未だに全部登ってはいない。登り残している八柱山と雨池周辺の雨池山に三ッ岳を加え、梅雨の合間に登ろうと思っていたが、お天気はちっとも味方しないで7月も半ばを過ぎた。昨日、二児山から笹山を登り、ハシゴの2山目は杖突峠から守屋山と思っていたのだが、猛烈な暑さになるという予報で、標高の高い北八ッに変更した。
今日までの3連休が終わり、麦草峠の駐車場には車が一台しか停まっていなかった。茅野の町で早めの夕飯を食べ、蓼科から麦草峠に上ってくる道で車を停め、夕焼けに染まる甲斐駒などの南アルプスの景色を眺めてから、薄暗くなってきた麦草峠駐車場に着いた。
車の中はシュラフに潜ると暑くて眠れない。シュラフをはだけ、窓を少し開けて眠った。夜の8時から朝5時までぐっすり眠った。目が覚めたら、駐車場には3,4台の車が停まっていたが、やはり連休も過ぎて、がらがらの状態。パンを食べ、ゆっくりと支度して、5時40分に駐車場を後にする。朝の空気はひんやりとして、さすがに幾ら暑くても2,000mを越える山の上だ。
今日は急遽ここに登ることに決めたので、地図を持っていないが、この辺りの地図は頭の中に入っているから問題ない。国道を麦草峠に向かい、麦草ヒュッテの向かい側が茶臼山・縞枯山へ向かう入口、その少し先から雨池への道が始まる。入口は、木道になって茶水ノ池という赤茶色のきたならしい感じの池の淵を通って、右手に薄暗いシラビソの森に入って行く。いきなり樹床が苔むした緑のカーペットで、その中をしばらくは木道を下り気味に歩いていく。この道は6年前に長男と歩いて以来だ。木道が終わると、尚も下り気味にシラビソの森を歩く。雨池の縁を通る大河原林道に繋がるまでの約2�、ほぼ茶臼山と縞枯山の下をトラヴァースして行くのだが、麦草峠よりも林道は70m以上低いから、帰りの最後は上りになる。メボソムシクイの控えめな鳴き声が朝のシラビソ林に響く中を黙々と歩いていく。
6時半に八千穂自然園と雨池・八柱山を指す標識が立つ林道分岐に出る。砂利の林道を北に雨池峠へと向かう。雨池への降り口を二つ過ぎると、林道はその先通行止めの看板がある。大河原峠に向かう林道は途中崩壊して危険と書かれている。年配のご夫婦連れとすれ違う。ここから林道と別れ、西に雨池峠への登山道となる。火山性の岩がごろごろした上りは、多くの人が歩くので岩角が丸くなって滑りやすい。思ったより登る感じで、少し汗をかいてくる。振り返ると青空が広がり、八柱山が下に見える。その向こうには秩父や荒船など西上州の山並に、浅間山や佐久平が見えた。しかし、登るに連れて雲の中に入っていく様になり、7時半に雨池峠に出たら完全に霧に包まれてしまった。
雨池峠からは霧の中を雨池山に登り始める。頂上手前の岩頭のピークまで登ると、少し霧が晴れて縞枯山が8割くらい見えてきた。雨池山と縞枯山の間の空間を強い風が吹きぬけ、ガスが晴れたり巻いたりしている。長袖シャツでも、寒く感じる。雨池山山頂は樹林の中の通過地点で、古びて文字が消えた指道標が1本立っているだけだった。また、かなり急な下りで、三ッ岳との鞍部に降りる。鞍部から再び上り返すのだが、岩が多くなり、安山岩がごろごろと積み重なった岩頭に出た。ガスで良く見えないが、この上が北横岳や大岳と三ッ岳を含む溶岩ドームと溶岩台地になっている。岩と岩の間にはハイマツやビャクシンに混じり、ハクサンシャクナゲが花を咲かせている。岩の間にはイワカガミの花も見られる。
岩稜になり、ガスでおぼろげにしか見えないが、幾つもの突き立った岩頭や、大きなごろ岩の間をペンキの目印で進む。クサリ場も幾つかある。霧で回りが見えないのが残念だ。さっと風が吹いて、一瞬向かいの大岳の溶岩ドームが見えたが直ぐに霧に隠れてしまった。歩いている岩と岩の間は深い穴になっているから、落っこちたら大変だ。覗き込むと、岩穴の下のほうに帽子が落ちていたりする。クサリ場を登ると、大きな岩頭の上に出て、岩と岩の間に三ッ岳の標識が挟まっていた。全く残念ながら、濃い霧で何も見えない。8時44分に三ッ岳の山頂に着いた。しばらく霧が晴れるのを待ったが、一向に晴れてこないし寒くなって9時7分に三ッ岳を下る。岩場を慎重に降りて、雨池山を登り返す頃、振り返ると北横岳から三ッ岳を含む溶岩台地全体が晴れて見えている。30分後だったら展望があったのに…。昨日からこんなタイミングばかりだ。雨池山の登りで女性の単独ハイカーとすれ違う。
雨池山岩頭からは、雨池峠が俯瞰でき、ロープウェイ駅や茶臼山も見えた。しかし相変わらず風が強く、蓼科側から雲の固まりがこの山と山の間を通り抜けていくので、西や北側の眺めは全く無い。雨池山の下りからは、南や東の展望があり、森の緑の中に丸く光る雨池が見え、その向こうに八柱山、背後に遠く秩父や西上州の山並、浅間山方面等が良く見えた。10時7分に雨池峠に降り、そのまま下って10時27分に林道に降りた。
林道は、もうこの時間になると陽射しが暑く感じる。雨池方面に戻る途中で4,5人のグループとすれ違う。雨池に降りるとそこは人の気配も無く、静かな池面に青空が反映していた。6年前、長男とこの池の畔でのんびり2時間くらい休んだことを思い出す。池をぐるっと周回して、少し疲れてきたが池の南端からそのまま八柱山に登る。八柱山への道で降りてくる3人ばかりの人とすれ違った。一旦緩く上って、汚らしい池を過ぎた辺りから虫がもの凄くうるさく付きまとうようになる。あの汚らしい池が虫を生み出しているのだろう。シラビソから、コメツガの巨木が茂る見事な森に代わるが、このうっとうしい虫の大群には閉口だ。目や口の中にも飛び込んでくる。
八柱山の最後の登りは落葉松の明るい樹林になる。登り着いた山頂にはアンテナが立ち、樹木に囲まれて大して眺めは良くない。切り開かれた所から少しだけ浅間山や御座山等が見えるくらい。真ん中にはペンキで真っ赤に塗られた二等三角点があった。八柱山頂に11時31分に着いた。ここでゆっくりとお昼を楽しもうと思っていたのだが、山頂は夥しい虫の群れと暑さでむっとする草いきれに加えて、大した眺めもない。最低の場所だったので、証拠写真だけ取ってそうそうに退散する。それにしても、あの汚らしい池を過ぎてからの尋常じゃない虫には参った。虫除けの網を持ってきていたので、被ろうと思ったがこんな所は退散する方が良策だ。
汚らしい池を過ぎ、雨池に降り立つと、また虫は気に成らない程度になった。あの一帯の異常な虫は何なのだろう…。池の回りにもこの時期だから虫は沢山居るけれど、八柱山周辺だけは尋常じゃない多さだった。虫対策に長袖と手袋は当たり前だが、それでも帰ってから何箇所かは刺されていて痒かった。アブやブユも沢山いたから…。
静かな雨池の畔で、パンやおむすびを食べてしばらく休憩する。もうすっかり八ヶ岳の連峰は雲も取れ、青空の下になっているようだ。雨池山や三ッ岳も池の向こうにきれいに稜線を見せていた。12時半に雨池を後にして麦草峠に引き返す。ぼくと入れ替わりに、観光客ハイカーの若いカップルがやってきた。木道で林道まで上がり、林道を少し戻って、麦草峠への道に入る。この分岐あたりではヒョウモンチョウやクジャクチョウが沢山飛んでいた。
緩い登りが続き、午後のけだるさに少し疲れてきた。木道の道になる頃は汗もまた沢山かいた。麦草峠周辺も矢張りひっそりしていたが、それでも駐車場には20台くらいは車が停まっていた。13時32分に車に戻った。
帰りは2回目になる小海町の『八峰の湯・ヤッホーの湯』に寄って汗を流した。塩素臭もしなくて、日帰り温泉施設としては上等の部類かな?露天風呂からは、ずらりと南八ヶ岳の連嶺が手に取るように眺められる。入浴後は、猛暑の町に向けて下り帰路に着いた。
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八ヶ岳には一杯ピークがありますね。あと3つ登り残しあります。
せっせと通った訳じゃないですが、お気軽な山域なので昔から随分登っています。
3つというのは、「美濃戸中山」「立場岳」「冷山」です。立場岳以外は道がない山ですね。