Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

公務員と民間の格差

2007-10-14 14:59:36 | ひとから学ぶ
 年休取得率が厚生労働省の調査で最低タイの46.6%になったという。それによると、昨年1年間に企業の正社員が取得した年次有給休暇(年休)は1人平均8.3日で、取得率が平成17年に並ぶ過去最低だという。厚生労働省では「景気回復と人員削減が絡み、1人当たりの仕事量が増え、休みづらい状況があるとみられる」と分析している。労働環境が厳しくなっているという印象は誰しも持っているもので、わが社のように仕事が減少して赤字だというのに、年休が取れないほど忙しく追われているという状況をみていても、サービス残業がどうの、年次休暇の取得率がどうのという問題ではないという印象である。

 10年くらいまえば忙しい会社だった。単身赴任していると比較的帰宅のことを考えなくてもよいから、自然と残業時間が長くなる。それでも間に合わず、朝6時ころ出社して仕事を始めるなんていうこともしたものだ。それでも自宅に帰ると決めた日は帰ることに専念できるように、そうでない日と割り切りをしたものだ。そんな状況下でも年休を年間20日以上とった年もあった。「仕事が終われば文句無いだろ・・・」という意識を持って時間を稼いだものだ。同じような単身赴任を昨年まで数年間してきたが、とくに昨年にいたっては、年休も激減して仕事納めをしたあとの年末まで自宅に帰ることが遅くなった。それでもって赤字だというのだから話にならない。「どこかおかしい」と思いながらも納期は待ってくれないから、個人の責任の範疇、そして意識の範疇となって自らをおさえていく。

 近ごろもそんな忙しい会社のなかで、どこぞの部署で病人が出たということで、その穴埋めですべての部署に影響が出始めている。精神的な病気だということで、そんな理由は正規な理由にはならないようで、人によってはそうした人材の不要論さえ口にする。病気になったら、あるいは休めばこの調子だ。そこに人権などというものなどない。これほど労働の現実は極めているというか、環境が悪化していることは確かで、ちょっとばかし甘いわが社でもこんな調子だから、よその会社は大変なことになっているんじゃないか、などとくらべたがるが、様子はとんとわからない。

 信濃毎日新聞の本日付け朝刊に、「いつまで頑張れるか」という記事があった。県内に住む31歳の女性の「先見通せぬ暮らし」を扱ったものだ。大学を卒業して都内で就職したものの就職した会社が傾いて離職。結婚して夫婦で20万円という月収で暮らしていたが、出産を期に里帰りしてそのまま実家暮らしになり、離婚もした。子どもを持ちながらの仕事は、なかなか理想のものはなく、そうこうしているうちに年齢も重ねていく。財政難で打ち出されるさまざまな施策は、なかなかこうした一度リタイアした人たちには厳しい。誰しもそんな現実が潜んでいるだろうが、どうも地方の農村にそんな重苦しさは見えない。みんな見せずに頑張っているのだろうが、「隣はどうなんだ」と思ってもよそは見えない。

 厚生労働省は、今や年金問題で本来ならこんな問題に手間をかける必要などなかったのに、自らが自らの仕事を作っている。それでもって給与をもらっていると聞くと許せないと思うのは当たり前だ。新聞を見ていると、世の中は平穏だが、こんな記事に惑わされてはいけない、という現実がたくさん控えているに違いない。
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