Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

高速バスでの失敗

2007-10-01 12:22:43 | ひとから学ぶ
 わたしも勘違いしていたから笑うこともできないし、実際そういう勘違いをする人も多いはずだから、あえてこのことについて触れる。伊那市駅の近くにある伊那バスターミナルで自らの高速バスの乗車券の一部解約をしていたところ、20代後半くらいの女性が「松本行きの乗車場所はどこですか」と聞いている。ターミナルーの建物に入ろうとしていたら周りをうろうろでもないが、様子をうかがっていた女性だ。この場所で松本行きバスとなると、高速バスの長野飯田間を結ぶものしかない。その乗車場所はこのバスターミナルにはなく、中央道の伊那インターチェンジまで行かないと乗車はできない。どうも間もなくその時間になるのだろう、「どのくらいここからかかるのですか」と聞いている。窓口の女性はあわてるでもなく、「10分くらい」と答える。具体的に車で10分とは言わないのでわたしが答えようかと思ったほどだ。女性は悩んでいる間が少しあって、その様子を見る限り、その10分もぎりぎりのラインのようだ。「タクシーで行けば10分」と答えてやらないと理解できないはずだ。少し間をおいて受付まの女性は「歩くともっとかかります」と答えたことで、女性は間に合わないことを察知したようで、解約を依頼していた。高速バスの乗車券は、乗車時刻を過ぎてしまうと払い戻しがきかない。

 めったに高速バスなるものを利用したこともなかったのに、最近公共交通機関を利用するようになってから高速バスも利用するようになった。新宿まで伊那谷から連絡する路線は、飯田発のものと駒ヶ根発のものがある。飯田発のものは飯田インターから高速に入ってしまうが、駒ヶ根発のものは、伊那市までは国道153号線を走っていく。だからこの伊那のバスターミナルで乗車することができる。その印象で高速バスが利用できると思い込んでいると、長野行きのバスもここで乗れるのではないかと勘違いしてしまうのだ。そういうわたしもここから乗れるものと思っていた。長野への出張になぜバスを使わないのだろうと思ってもいたわけだ。ところがどうも乗車場所が遠いから乗らない、ということになって「なぜ」と口にして同僚に教えてもらったしだいだ。

 この女性、往復の乗車券を手にしていたから、伊那から松本まで行って帰ってくるということなのだろう。とすると伊那の人なのかどうなのか定かではないが、ふだん乗ったことのある人はこんな間違いはしない。初めて利用しようとしたのだろう。ちなみに高速バスは時間に1本程度走っている。伊那インターまで市内からどうやって行ったらよいかと調べると、伊那本線という路線バスがあって、1日に9本連絡している。しかし、高速バスに乗るためにこの路線を使っている人はそう多くはないだろう。ほかにないのかと探してみると、この伊那インター前というバス停で停まる路線は南箕輪村内を走っている巡回バスのみだ。これては伊那の市内からはいけない。探していて気がついたのは、今や地方バスの路線バスなどというものは皆無で、ほとんどが自治体が出資していると思われる自治体内の巡回バスのみだ。もちろんそういうバスは自治体内しか走らないから、ほかの町村の人は利用しにくい。伊那インターは伊那市と南箕輪村の境にあって、おそらく伊那インター前のバス停は地籍でいうと伊那市なんだが、南箕輪村と入り組んでいるために、南箕輪村の循環バスに停留所として設定されているのだろう。ところが、伊那市の巡回バスの停留所には設定されていない。

 このように伊那インターで高速バスは停まるものの、一般の公共交通を利用している人たちが連絡しやすいようにしようなんてまったく考えていないのだ。利用者の多くが、バス停まで自家用車でやってきてそこの駐車場を利用して乗車するために、こういう結果になっている。ニーズに答えてなくては採算もとれないのだろうが、公共交通機関しか利用できない人たちにとっては、いまいち納得のできないシステムといえるだろう。

 さて、この女性がその後どうしたか知らないが、いずれにしても乗車券をどこで購入したのか、もしバスターミナルで購入したとしたら、受付嬢が不親切だったということになるだろう。乗車券はターミナルでないと購入できないから、どういう説明をうけたのか、あるいは本人は思い込んでいてきっと乗車券に「伊那インター」と書いてあってもよく確認しなかったのか、さてどうなんだろう。松本まで電車で行くとなると、1時間半ほどかかる。連絡がよくないから伊那谷の人たちはほとんどが高速バス利用するのだが、こんな勘違いを見ていて、もう少しなんとかならないものなのだろうか、と考えた事件だった。
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