Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

ツツザキヤマジノギクの生育環境

2007-10-13 09:14:41 | 自然から学ぶ
 「ススキの草原へ」で触れたように、天竜川支流の小渋川河川敷を定点観測のように訪れるが、河川敷が年々ススキの草原に変化しているような印象を受ける。平成15年に小渋川において植生の群落調査をした際の植生群落と植生断面図を示した(植物の専門の方にまとめていただいたものをわたしが作成した)。ここからもわかるように群落名に「ツザキヤマジノギク」と示されるように株はかなり多い。ただし、この花、咲いてみないとツツザキなのかそうでないかが解らない。同じ株であっても両者が咲くこともある。加えてそのツツザキの形もさまざまで不完全なものも多い。




 同じ場所でことしの様子をうかがって見ると、株そのものも減少している上に咲く花もツツザキのものは極度に少ない。長野県RDBのⅠA類というがふだん見慣れてはいたものの、本当に減少が危惧される種といえるのかもしれない。ススキ草原と冒頭書いたが、実はツツザキヤマジノギクの生育する周りには、ススキではなくメガルカヤが目立つ。平成15年調査時においてもその数は多いのだが、当時以上にメガルカヤの数は増えている。ただ、メカルガヤというが、メリケンカルカヤではないのか、なんて素人目に思うのだが、どうなんだろう。メガルカヤは在来のものであるがメガルカヤは戦後になって日本に入ってきた帰化植物ということだ。北アメリカ原産のイネ科の植物である。ところで、メガルカヤは、福井県では絶滅危惧I類 に指定されているという。また、秋田県でも絶滅危惧IB類というように、希少になっている地域もあるというから驚きだ。そう考えると、ますますこれはメリケンカルカヤではないかと思えてくる。

 定点的に訪れていたツツザキヤマジノギクが減少していることから、少し場所を変えて川をさかのぼって見た。すると、この川沿いにはツツザキヤマジノギクと思われるつぼみが多く見られるが、前述したように必ずしもツツザキになるとは限らない。ということで、別の場所でこの花の群落を今年も、そして来年以降も探してみようと思っている。いずれにしても年によって異なるかもしれないが、減少していることだけは事実である。





 写真は、ススキ草原に咲くツツザキヤマジノギク、そして多様なツツザキの形を示してみた。撮影したのは、2007/10/7である。
コメント


**************************** お読みいただきありがとうございました。 *****