Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

小学校統合問題から

2006-07-18 08:09:36 | ひとから学ぶ


 息子の通った小学校は、耐震性能が低いということで、耐震補強をするのか建てかえるのか、地元でいろいろ噂が流れている。耐震補強をするにもずいぶん金がかかるようで、いっそ建て替えなんていうが、田舎の自立自治体ではその金も大変だという。加えて天竜川を挟んだ向こう側の山間部には、複式学級になっている小さな学校もあって、そちらでは「いつかは統合」なんていうのも致し方ない、という雰囲気だという。そんななかで、建て替えではなく、「統合」を視野に入れて・・・なんていう話もあるようだ。「金がない」といって統合なんていうのも、最も大事な教育の部分なんだから、そんな理由はかんべんしてもらいたいものだ。

 ここでちょっとその全体像をつかんでみよう。図に示したのは抽象的ではあるが自宅のある町の図で、もちろん外周の内側がエリアである。赤色で分割してあるのが、大きな地域分けである。AとBの間には天竜川の大きな支流が流れ、AとCの間には天竜川が流れている。昭和の合併でできあがった自治体であり、平成の合併には至っていない。AとBの間には生活道路としての橋が5本ある。AとCの間には2本ある。そして学校はそれぞれの記号のあたりにある。ちなみに中学は1校で、Aに隣接している。学校の規模は下記のようである。

 A校 生徒数721人 25学級
 B校 生徒数197人  9学級
 C校 生徒数 24人  4学級

 という具合である。Aは1学年4学級、Bは1学年1もしくは2学級、Cは1、2年で7人、3、4年で6人、5年4人、6年7人という。少子化だからしだいに生徒数が減少していくことは否めない。とくに、Cは近年複式学級になったもので、Bは近年になって1学級になってきた。息子の通った学校はこのB校である。環境面ではAもBもそれほど変わらない。ただ、中心街がAにあるということや、自治体の施設もAにあるということで、中心はAである。Cは、俗に言えば「川向こう」にあたり、山間地域である。面積的には大きいがAやBとは状況が異なる。Cの校舎が右側の山間地に片寄っているのは、Cのエリアでも左半分くらいの地域はAの学校エリアになっていることもある。通学エリア的にはAはCの半分くらいも有しているということで、大きい。AとBは完全に支流によってエリア分けされている。直線距離でいけばAとBは近いのかもしれない。ちなみにAとBを縦にわるように点線を引いているが、これより左側はほとんど山で、人は住んでいない。また、この点線の長さで約4キロくらいで、上下の幅は広くても5キロ程度しかないということになる。

 合併の際のさまざまな要件があったのだろう、川東にあるCエリアにあってもAが通学区となったという変則的なこともあって、C校はことに小規模校となってしまった。なるべくしてなったという感は否めない。また、Aの方が近いのにBへ通う子どもたちもいれば、その逆もある。これもまた合併の際の対立的な存在なのかもしりれない。

 さて、学区というものになぜそうもこだわらなくてはならないのか、というのがわたしの思いでもあるし、好きな学校を選べばよいという時代でもあると思う。それはさておき、図から判断すればAのあたりが中心だから、そこへ統合なんていうのも手ではある。しかし、通学のことなど考慮すればそれがベストともいえない。Cがもっとも校舎が新しいともいう。現実的な受け入れ状況まで把握していないが、全町全学区とした中でそれぞれ特徴を持った教育をしていけば、方法として①AとCの2校にするという方法がある。しかしながら、Cは確かに山の上にあって遠い。その立地を考慮すれば、結局C校へ通いたい人は少ないだろう。山間部をどうしていくかということにも関連するが、そのあたりをしっかり理解してもらったうえでC校のあり方を長期的に考える必要があるのだろう。現段階ではC校の統合は致し方ないという雰囲気があるが、生徒数が少ないからというだけで廃校というのも自然すぎて〝それでいいの〟と言いたくなる。

 BがAに近いから統合なんていうのもあまりに自然すぎる。発想を変えればAは敷地を広げるには無理があるとすれば、大反対を受けそうだが、②AをBに統合して新たな学校にする、という方法もある。中学はAに小学校はBにという方法が悪いともいえない。それができないのならAを小学校に、Bを中学校にしていくという方法もある。ここまでくると町をどうしていくかというところまで大きな枠でものを考えなくてはならなくなる。しかし、教育は基本である。そういうところまで議論して理解を得られないなら、「金がない」といって田舎の学校を統合していくなんていうことになるかもしれないが、それはそれで仕方のないことである。しかし、発想を変えた大胆な方法も一考する必要はあるだろう。もっといえば、Bの近くには高校がある。これからは中学と高校をどう一貫的ななかで連携していくかということも大事である。いつまでも「辺境の来てのない高校でよい」なんて思っていたら高校はなくなる。高校の統合問題でもさかんに話題の長野県にあって、特色ある高校をどう生かしてゆくかということにも、もちろん地元である町が主張できるものを持っているべきで、「ない」では「人任せ」である。わたしの発想である①と②の案はけっこう良い案に思うが、きっと賛成する人は少ない。③として統合せずに、安い校舎を建てるという案もある。小学校なんだからさまざまな教育方法が浮かぶ。Aはそのまま従来型、Bは既存校舎あるいは建物を利用して多様な教育環境を持たせる、なんていうのもある。どれもこれも賛成されないかもしれないが、「良い案」だと思うのだが・・・。教育はハードではない、ソフトである。とくに小学校教育はそれができるように思う。
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