Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

ミヤマシジミ

2006-07-11 08:02:49 | 自然から学ぶ
 カワラニガナを探しに行った話をしたが、カワラニガナの周辺の雰囲気が3年前にくらべると変わっていたと「カワラニガナ」で触れた。そのひとつがコマツナギという植物が以前よりも増えているということだ。3年前に訪れた際には、天竜川の堤防の頭にこの花がずいぶん咲いていたが、、今回行ってみるとだいぶ減っていた。そのかわりにこのカワラニガナが生育している近くに、このコマツナギの姿がずいぶん見られたのである。マメ科の植物で花期は7月から9月であるこの花は、けして珍しい花ではないが、この花を食草としている蝶がいる。ミヤマシジミである。3年前にも堤防頭にあったコマツナギにこのミヤマシジミがやってきていて、そのことを覚えていた。コマツナギの姿を見たことでミヤマシジミがいないかと、今度は飛ぶ蝶の姿を追った。シナガワハギに蝶の飛ぶ姿を見るがだいたいがモンシロチョウやキチョウである。大柄な蝶の姿はすぐに気がつく。ところがシジミ系の蝶は小さいうえに激しいということもあって、わたしのように視力に難点のある者には、見つけ出すのに時間がかかる。

 それでもまだ若いコマツナギの姿を追いながら歩いていると、人の気配を察知した蝶が飛び立つのである。小さい蝶でシジミ系であることは素人のわたしでもわかる。飛んでいると動きが激しくてすぐに見失うが、おそらくコマツナギを目当てに留まっていることがわかったので、まずはコマツナギの姿を追い、確認できたらそっと近づく、そんなことを繰り返しているうちに、コマツナギに留まっているミヤマシジミを見つけた。羽を閉じた姿では、白地に黒い点が見え、羽先の方に橙色の紋が見られる。ところが羽を広げると青色である。

 このミヤマシジミは、長野県とくに天竜川流域では多数生息している蝶である。しかしながら全国的には減少してしまった蝶で、県指定レッドデータブックでは絶滅種扱いにされている県もある。本州とくに中部地方に多く生息している種で、長野県や静岡県にたくさん生息しているようだ。長野県においても一応準絶滅危惧種に指定されている。幼虫においてはこのコマツナギしか食べないといわれ、コマツナギにくるアリが幼虫には手を出さないということもよく知られている。天竜川上流域では、6月から9月にかけて3回ほど発生し、秋に産まれた卵は、そのまま越冬して春に幼虫になるといわれる。実はこのミヤマシジミとクロツバメシジミの区別が、わたしには正確にはできななかった。しかし、ツバメシジミといわれる蝶は、後翅にある尾状突起が特徴だと聞いて、この蝶がクロツバメシジミではないことはわかった。羽を広げると表側の色でも確認できるのだろう。今回も羽を広げている状態で留まっている姿を見ることができず、正確にミヤマシジミとはわたしには判断できないのだが、コマツナギの周辺を飛んでいることや、写真と見比べてミヤマシジミと判断した。この近くにクロツバメシジミの食草とするツメレンゲも生育しているため、そんなことを思うのだが、まだツメレンゲは季節としては早い。
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