Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

ツマグロヒョウモンその弐

2006-07-30 09:34:12 | 自然から学ぶ


 昨年ツマグロヒョウモンに触れたが、今年もツマグロヒョウモンが盛んに飛んでいる。このチョウ、かつては長野県内では珍しいチョウであったが、地球温暖化のせいだろうか、生息域を北へ広げている。とくに長野県では冬を越せないといわれていたものの、越冬したという報告が多い。「伊那谷自然友の会報」の最新号126号によると、1999年に井原道夫先生が下伊那での越冬を確認し、2004、2005年と上伊那でその飛翔が多く見られ、この冬に上伊那でも越冬したことが確認されたという。

 ということで珍しいチョウではないものの、かつては長野県では少なかったということで、「天竜川上流の主要な昆虫類」の中では、「貴重な昆虫」の仲間にこのツマグロヒョウモンが加わっているのだ。同じようなチョウにクロコノマチョウがあるといい、このチョウは、1960年ころには南木曽町や天龍村、泰阜村で6個体しか採集されなかったようだ。1980年から天龍村を中心にたびたび確認されるようになって、現在では下伊那全域に分布するようになった。チョウばかりではなく、トンボやスズムシの仲間などにもこうした分布域の北進が進んでいるようだ。

 そういえば今では獣害の話題にものぼるハクビシンは、かつては長野県内では大変珍しく、やはり天竜村でその姿を始めて目撃されたという。県の天然記念物にもなっていたのだから驚くとともに、当時はその生態など情報が乏しかったのだろうか。「珍しい」という言葉に踊らされてしまってはいけないということなのだうろう。同様に貴重だとか、希少だという言葉にも惑わされてはいけないのだろうが、実は多くの人はすでにそんな言葉に惑わされているように思う。
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