Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

ニガナとカワラニガナ

2006-07-09 10:16:05 | 自然から学ぶ
 天竜川の支流合流点近くに「カワラニガナ」を見に先週行ったのだが、花が見たかったのに花の開いた姿は見ることができなかった。それが気になったのでもう一度今週も行ってみた。探すのだがやはり咲いている姿が見られない。むしろ先週よりも綿状になっているものが多く、花の時期は終わりか、という印象であった。しかし、株がいくつもあり、まだ花が咲いたとは思えないような株もあって、どういう咲き方をするのか不思議な花である。花期が6月から8月というのだから、今は真っ盛りだと思うのだが、どの株を見ても咲いていない。

 不思議だと思いながらその一帯をあちこち歩いていると、ようやく黄色い花の姿が見えた。〝これだ〟と思い、写真に納めたの(写真左)だが、葉の姿が少し違う。よく見ると花びらの数も少ない。しぼんでいる姿を見る限りカワラニガナとの相違点は、葉の形くらいである。よく似ているがおそらく種は異なる。〝あれ、どっちがカワラニガナなんだろう〟と自分の記憶があやしくなった。しかし、以前見た際の記憶では、背丈は高くなく、葉も細いという印象がある。すると、この花が咲いている種はカワラニガナではない。せっかく花が咲いているものを探し出したのに「残念」と思い、もう少しカワラニガナを探し歩いてい見た。すると雑草の陰に一輪だけカワラニガナが咲いている姿を探し出した。それが写真の右側である。雑草に隠れていたようには見えないが、実はまわりに草が覆いかぶっていた。その雑草をどかして写真を撮っているので雰囲気は違っているが、おそらく雑草に覆われていたことが、花の開花になんらかの影響を与えたのかもしれない。

 写真からもわかるように、まだこれから咲くのだろうと思われるつぼみの姿が見られる。前回は梅雨の合間という感じであったが、今回は天気の良い日であった。時間帯も前回は午後、今回は午前とずらしてみたのだが、以前開花している花を見た際の時間帯は昼ころであった。近いうちにもう一度訪れて確認してみたいものだ。

 ところで、3年前に訪れたのは、植生調査で専門の先生の補助できたものだ。その際の調査のデータを帰宅してから開いてみた。今回訪れたところに近いところで調べたもので、5メートル四方程度の範囲を調査したものである。それによると、そこに書かれている種は、ススキ・カワラヨモギ・ノコンギク・カワラニガナ・ヤハズソウ・メマツヨイグサ・メカルガヤ・トゲジシャ・オオコニシキソウ・ネコヤナギ・ヌルデ・メドハギ・ネムノキ・シナガワハギ・ムシトリスミレである。この調査票には8月2日とある。同じ日にもう一箇所で調査しているが、種の内容はほぼ同じである。この調査票の中に今回見た写真左側のものがあるのかくらべてみたが、どうもない。図鑑などで調べてみたところ、ニガナだとわかった。図鑑に掲載されている写真は花びらが7枚のものが多く、最初は違うと思っていたが、花びらの数が違うようで5から7枚という記事をみて、ニガナだとわかった。たしかにカワラニガナに似ているからそうなのだろう。写真を撮った一帯には、カワラニガナの株はたくさんあるがニガナの株は数えるくらいしかなかった。建設省天竜川上流工事事務所が発行した『天竜川上流の主要な植物』にもニガナは紹介されていなかった。一般的に河原にはあまり姿を見ないもののようだ。むしろ山野の道端などに生育しているもので8~15センチ程度といわれるカワラニガナにくらべると20~30センチと背丈が高い。カワラニガナは国県とも絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。
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