Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

まんじゅう

2006-03-04 00:33:03 | つぶやき
 先日法事に行った手土産に「亀まん」の饅頭をいただいた。たくさん入っているので、とてもうちの家族では食べられないということで、会社にお土産で持っていった。「亀まん」は明治の中ごろ、銭湯「亀の湯」で来店する客にふるまっていた饅頭が評判となって饅頭屋を開店したという。亀の湯から一字とって名づけられた「亀まん」は、高遠饅頭として知られることになった。高遠饅頭には饅頭屋がいくつかあるが、「亀まん」はそのひとつである。饅頭に亀の焼印が入っている。今までに食べたことがあるのかよく覚えていない。会社でひとついただいたので食べてみたが、「まあ、美味しい方かな、ちょっと甘いか」、それが印象だった。

 子どものころはあまり甘いものは食べなかった。せんべいは好きだったが、饅頭などの和菓子はとても好みではなかった。子どもなんてみんなそんなものと思っていた。きっとそのころ食べた饅頭は、異様に甘かったのかもしれない。あまりに甘すぎると抵抗感が生まれる。その最初のイメージがいつまでも尾を引きずって、「好まない」ということになってしまう。

 若いころもそれほど饅頭を食べた覚えはないが、「美味しい」と初めて思ったのは、飯田市内にある一二三やの饅頭を食べてからである。さすがにこの饅頭は有名で、近在はもちろん、遠方の人にも知られている。なぜその饅頭が美味しいと思ったかというと、黒糖を使った饅頭で甘さが控えめだったからかもしれない。同じ飯田市座光寺の元善光寺入口にある、吉丸屋は創業90年という。この店に座光寺饅頭というものがある。これは一二三やと違って、昔風で甘い。きっと子どものころ食べた饅頭の印象は、こういう饅頭の印象だったのかもしれない。でも今食べると、一二三やの饅頭とはまた違って、美味しさがある。阿南町の新野にも新野饅頭というものがあるが、座光寺饅頭系だという。田舎の店の饅頭は、昔風なのかもしれない。

 会社で自分が持っていった饅頭を食べた翌日に、今度は会社の女の子が高山村の温泉饅頭を持ってきてくれた。伊那谷の田舎風の饅頭よりは甘くないが、一二三やの饅頭よりは甘い。若いころあまり饅頭を食べた覚えがないといったが、温泉饅頭はあちこちのものを食べた。しかし、記憶している饅頭はない。そう思うと、伊那谷のあちこちにある饅頭は、けっこうお勧めなくらいに美味しいかもしれない。まずは有名な一二三やから食べ始める、それが通かもしれない。

 甘さのイメージの話をしたが、干し柿もそうだ。子どものころ自家の干し柿を食べたが、異様に甘かった。そのイメージがあって、市田柿といっても見向きもしなかった。ところが、妻の家の干し柿を食べてみて、それまでのイメージが変わった。あまり甘くないのだ。今では干し柿に手を出すとひとつでは終わらないほど、続けて食べてしまう。単純に歳をとっただけなのかもしれないが、それだけではないように思う。

伊那谷南部では、葬式やお盆などに必ず(最近は必ずでもないか)饅頭を天ぷらにした天ぷら饅頭が登場する。ほかの地域では見ないから、このあたり独特なのだろう。これがまたけっこう美味しい。てんぷら饅頭専用の饅頭も売られている。

 さて、饅頭は日本茶、そんなイメージなのか、会社へ持っていった日に女の子に「日本茶を出すときに饅頭を食べた方がいいよね」と言われたが、実はわたしはコーヒーで饅頭を食べることがけっこうある。コーヒーの苦味に饅頭の甘さはとても合うように思うがどうだろう。
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