Soar into the Sky!

トレントの日記

FedEx MD-11 着陸失敗の謎

2009-03-23 13:42:34 | *Aerospace
今日午前 6 時 48 分ごろ、新東京国際空港 (成田) で米フェデラル・エクスプレス 80 便、ボーイング MD-11 が着陸に失敗、反転して炎上した。

その瞬間の様子がテレビ局各社の “お天気カメラ” に捕らえられており、幾つかの映像を見る事が出来た。

各局、強風の影響という論調で報じているものが多いのだが、それらの映像を見る限り、僕は強風はあまり関係無かったのではないかと思っている。



映像によると、降下率が高過ぎたのか、FedEx 80 便は主脚が大きく煙を上げてランウェイ 34L に接地後、バウンスしたようにわずかに浮揚した。

その直後、機首脚から落下するように接地して、またバウンス。機首脚がバネの役割を果たしたのか、今度は機首を大きく上げてまた浮揚した。

機は 2~3 秒宙を舞った後、再び機首脚から落下。さらバウンスしてまた機首を大きく上げたがバランスを崩して左側に横転し、左舷主翼が地面に接触して炎を上げながら滑走路左側に離脱。機体は最終的に反転して炎上した。



この一連の挙動は、僕の個人的見解ではあるが、操縦士のオペレーションに問題があったように映る。

接地時の白煙の出方とその後のバウンス具合から、接地直前の降下率が高過ぎたのは一目瞭然であり、それが機をバウンスさせ、バランスを崩した直接的な原因である事は明らかだ。



なお、当時の風速は平均約 13.9 メートル。最大瞬間風速は 21.1 メートル。風向きは北北西 (方位角 320 ぐらいか?) だったというから、もちろん静穏という訳ではないにせよ、この程度の風は着陸に支障をもたらすものではない。これが完全な横風だったのなら辛いところだろうが、ほぼ向い風だったのだ。つまり管制の指示に問題は無かった。



ただし、数分前に着陸した航空機よりウィンド・シアが報告されており、突風が吹いた可能性は完全には否定出来ない。

ランウェイ 34L への最終進入中に下向きの突風が吹いて機の降下率を増大させ、地面に叩きつけるような働きをしたという可能性はゼロという訳ではない。

実は成田周辺の空域は “謎” のウィンド・シアが多いとして昔から操縦士の間では有名なのだ…。

成田開港以来、実際にその “謎” のウィンド・シアで大きな事故に至った例が無いだけに忘れかけていたのだが、今日の事故でふと思い出した。

今回の事故では、残念なことに正副両操縦士を失い、当時の状況確認はブラック・ボックスの解析にゆだねられた。

日本の表玄関の安全のためにも、両操縦士の冥福のためにも、是非とも性急な原因究明を期待したい。


最新の画像もっと見る