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トレントの日記

IP アドレス位置特定の必要性 <その 5>

2005-07-31 22:58:09 | *Networking
さて、ここまでエンド・ユーザ側から位置情報を“広告”する方法を検討してみたが、ここからは通信事業者側で対応する場合を考えてみる。

通信事業者側で対応する場合の利点は、位置特定の普及にある程度足並みを揃える事が出来るという点が挙げられる。

また、情報の信頼性の確保が比較的容易になるという点も重要だろう。

ただし、位置情報の正確性という点において、エンド・ユーザ側から情報を送り出す方法に比べて不利になる。その理由を以下にまとめてみよう。

まず、現在、インターネット接続には主に以下のような方法が挙げられる。

・ダイアルアップ接続
・専用線接続
・ADSL や光回線などによる“ブロードバンド”接続

上記の方法において確実に位置特定が可能なのは「専用線接続」である。

回線事業者が提供する専用回線は必ず物理的に起点と終点が決まっており、これをインターネット接続に利用する場合、一方が ISP の局舎となり、もう一方がエンド・ユーザ宅になる。

ISP はその引き込まれた回線を、ある特定の集線装置 (ルータなど) の、ある特定のインタフェイスに接続する。つまり、インタフェイス単位でユーザ、ならびにその位置情報の特定が可能になる訳だ。

ISP 側の作業としては、集線装置のインタフェイス毎の設定箇所にエンド・ユーザの位置情報を入れ込めばよい。

それに対し、ダイアルアップ接続やブロードバンド接続においては事情が異なって来る。結論から言うと、ある一つの障壁を越えない限り、位置特定は不可能だ。

明日はそれらをまとめてみたい。

つづく...


IP アドレス位置特定の必要性 <その 4>

2005-07-27 14:40:53 | *Networking
昨日の続き。

GPS での動的な位置特定が駄目だとすれば、エンド・ユーザ端末に予め位置情報を登録しておく静的な方法ではどうか?

静的な位置特定とは、例えばユーザ宅のルータなどに位置情報を登録しておき、都度それを“広報”するという方法である。

この方法の利点は、外部のリソースに頼らずに情報を送信する事が出来るという点である。つまり、位置情報を特定するためのハードウェアを追加する必要が無く、コスト的に有利であり、実現性も必然的に高くなる。

しかし当然この方法は、ユーザがある特定の場所から利用する場合、例えば ADSL や光ファイバーなどでのインターネット接続の場合にしか使えない。

その上で挙げられる課題としては、位置情報は誰が登録するのかという点と、その情報の正確性をどのように確保していくのか、という点になるだろうか。

具体的な方法として例えば以下のようなイメージが浮かんでいる。

---・位置情報の登録作業はエンド・ユーザに委ね、ルータ設定用の GUI から手入力で投入してもらう事とする。

---・ユーザはルータなどの機器を購入後、ユーザ登録ハガキをメーカに送付する。

---・メーカはユーザの住所から緯度経度を割り出し、それをルータ設定用の文字列に置き換える。

---・メーカはユーザの住所宛にその文字列を記入したハガキを送付する。

---・ユーザはその文字列をルータに投入する。

どうだろう。この方法なら行けそうな気がする。

しかし、ユーザが引越しをする事も考慮に入れねばならない。そして、ユーザが投入する文字列を勝手に変更してしまえないような工夫も必要だ。

つづく...

IP アドレス位置特定の必要性 <その 3>

2005-07-25 22:39:37 | *Networking
久々に続きを..。

前回、位置特定方法として 4 つ挙げてみたので、それぞれの実現性について考えてみたい。

まず今日は、エンド・ユーザ端末に GPS 機器を接続して得られる緯度・経度情報を利用する方法について。

位置を特定する上で GPS の最大の利点は、情報の精度が非常に高いという点ではないだろうか。機器の仕様にも依るところではあるが、誤差は数十メートル以内に収まるはずである。

また、GPS 受信機は小型軽量化も進んでおり、持ち運びが容易。ノートパソコンに内臓させる事出来るだろう。つまり、モバイル・コンピューティングにおいても常に位置情報を入手する事が可能になる。

逆に問題点は、ビルの谷間や屋根の下、そして地下では GPS 衛星からの電波を補足しにくくなる、あるいは全く出来なくなるという事。

こればかりは GPS の宿命とも言えるような問題であり、今のところ単独での解決策は無い。

ユーザが常に安定した電波環境下に置かれる訳では無い事を考えれば、この用途での GPS の利用は実用的でないだろう。

つづく...

今週のヘヴィ・ローテーション

2005-07-16 22:33:00 | *Music
オクタヴァリウム
ドリーム・シアター

ワーナーミュージック・ジャパン

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今週も例によって Octavarium が第 1 位。というか、これを Hi-MD に落として、そのディスクだけ持ち歩く毎日が続いている。

1 トラック目の The Root of All Evil には過去の作品のフラグメントが散りばめられていて、それらとのリンケージを探る面白みもある。

衝突 ─ 成功

2005-07-04 22:32:20 | *Aerospace
アメリカ航空宇宙局の画期的な試みが成功した。

アメリカ独立記念日の今日 (7/4)、テンペル彗星に衝突体 (インパクター) を衝突させ、それによって生じるクレーターなどから彗星の“殻”を構成している物質などを探ろうというものである。

この殻には 40 億年前に太陽系が誕生した頃からの物質が含まれている可能性も示唆されており、太陽系の起源解明に向けて大きな期待が集まっている。

「ディープ・インパクト探査計画」と呼ばれるこのミッションの最大の山場が日本時間の今日、14:52 に訪れた。

約 1 日前に探査機本体から切り離された重さ 370 キロ・グラムのインパクターを、3 度の軌道修正を経て目標地点に衝突させる事に成功したのである。

このインパクターが彗星に衝突する瞬間の速度は毎秒 10 キロ・メートルに達し、その衝撃は TNT 火薬 5 トン分の爆発に相当し、深さ 30~50 メートル、直径 200 メートルのクレーターが形成されると予想されている。

このクレーターによって“殻”の深さが判明し、また、その“殻”の成分が判明するだろうと期待されている。

この計画の大胆さにも息を飲むが、1 億キロ・メートルもの彼方の直径わずか 10 キロ・メートル程度の天体にインパクターを正確に命中させる技術はやはり驚嘆に値する。