東方不敗の幻想

インターネットのジャーナリズムについての覚書

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ネット上における匿名発言を維持するための対案を出す。

2008-01-27 04:00:28 | Weblog
下記ブログで広く求められている「対案」を私なりに考えてみた。

匿名至上主義者には、実効的かつ受け入れ可能な対案がなく、かつ、妥協の余地がない。
http://benli.cocolog-nifty.com/la_causette/2008/01/post_a534.html

匿名表現の自由を維持したいのであれば、匿名表現の自由を維持しつつ、匿名の濫用を防ぐ実効的な他の手段を提案すべきなのではないかと思うのですが、ネットの匿名性に執着する方々からそのような提案を聞くことはまずありません。


これに対して、私が提案するのは「名刺交換システム」というものだ。似たような仕組みを知っている人もいるかもしれない。

(1)誰もが希望すれば、ネット上で匿名または変名(HN)で発言した者の本名や住所といった個人情報を知ることができる。
(2)ただしそのためには、相手に対して自分の個人情報を開示しなくてはいけない。

これを一対一で、高速、自動的にできるようにする。104の電話をかけるように手軽く。
お互い変名、匿名のまま済ませたければ、それはそれで済む。しかし、一方が他方の個人情報を暴けば、相手はもはや自分の個人情報を知られたのであるから、失うものはなく相手の個人情報を得られる。実名を公開して恐れることのない人が優位になる。しかし匿名の発言も維持できる。互いが匿名であることを尊重するならば。

【追記】2008/01/27
例えば、掲示板などに表示する投稿者の名前は、これまで通りAnonymous Cowardなどとする。しかし、「こいつXXXだよな死ね」などと書いている投稿者の名前部分をクリックすると別画面に遷移し、「このユーザーのプロフィールを表示します。あなたのプロフィールも自動的にこのユーザーに通知されます。よろしいですか?」というメッセージを表示する。承諾ボタンを押せば、相手の本名などが分かる。
深刻な名誉き損や営業妨害などに対しては訴訟などの手続きがとりやすくなる。併せて連絡先などを示せば、訴訟などに到らずとも、双方が実名を知ったうえで、話し合いによる解決が図れる。不用意な発言をした者も、誰かが自分に特別な関心を持った以上は、心構えができる。両者が対等の関係になることが重要。


もちろん、これは「うまくいくはずがない」

前提条件として以下のものが必要だ。

(A)住民票コードなどとひもづけられたIDを、すべてのネットサービスが導入する。同IDによるログイン機能を持たないネットサービスを運営する組織、個人は処罰する。ホスティング事業者や、ドメインの割り当てを行う組織などに監視を担わせる。
(B)Wikipediaなど国外のサービスを利用して匿名で発言する者が見つかった場合、そうしたサービスはグレートファイアウオールによって国内のISP経由で利用できないようブロックする。
(C)日本人向けに住民票コードなどとひもづけられたIDを用意する国外ネットサービスのみ、ホワイトリストに入れてグレートファイアウオールの規制対象から外す。


将来的には、万国共通のIDを作り「国民総背番号制」ならぬ、「地球総背番号制」にはずみをつける。OpenIDなどを利用するのもよい。これはまったく実現不能という訳ではない…。実際、似たような仕組みを導入している外国はすでにあるのだから。

【追記】2008/01/27
考えなおしたのだが、ここまで大掛かりな整備をしなくても、
本人認証は可能ではないか。少なくとも国内外のISPはユーザーの個人情報(法人名などを含む)を知っている。住民票コードを持ち出さなくても、ネットユーザーの総背番号制に近いものは作れる気がする。ゲッと吐き気がするが。



ああ、匿名性は、言葉という武器を少ないリスクで振るえる「力」だ。
しかし、その力を持つのに、いまのインターネット・ユーザーは相応しいか?
ふさわしくないならば、尊敬すべき、大きな兄さんである政府が、
コントロールすべきだ。無法の暴力を。

…いや、やはりだめだ。そんな悪夢のような世界は歓迎しない。

むしろ匿名の発言者たちが、獲物を探し出してはあくなき嫌がらせを繰り返し、
戦争反対や軍備縮小の主張を沈黙に追いやり、
あるいは在邦外国人のリンチを叫び、
やがて、ただマイノリティであるというだけ誰かを叩き、
そしてマイノリティへの同情をしめした不埒者も、
目ざとく見つけては攻撃する。

さらに、そういう自分たちの「正義」や「愛国者」ぶりにうっとりする。
つまりは巧みな扇動者のよき手足として働く。
百万もの愛国者による監視の目を持った、大きな兄さんが支配する。

こういった「パラダイス」の方がすばらしい。
そうだ。きっとその方が、自由で、楽しくて、より良い世界なのだ。

そんな二者択一しかないのか。
違う。もちろん違う。もっと色んな道があるはずだ。

私みたいな薄っぺらな人間が考えつくより、よりよい道が。
政府に強権を与えることなく、匿名での発言者たちの強権を抑えられる。
そういう道があるはずだ。

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