澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

映画「多桑」(父さん)のDVDを見る

2009年06月05日 03時37分46秒 | 台湾
 1993年制作の台湾映画「多桑」(父さん)のDVDをやっと入手した。昨年秋、台北に行ったときは、入手できなかったのだが、その後リリースされたのだろうか、同じ店で見つけることが出来た。

この映画については、川島真ほか「日台関係史 1945-2008年」(東大出版会 2009年)にも触れられている。台湾の日本語世代を描いた代表的な映画と言えよう。

以前、TVで放映されたとき、見た記憶があるのだが、重苦しい映画だという印象しかなかった。今回、改めて見てみると、いろいろ気づくことが多い。
「多桑」(台湾語で「父さん」と発音)は、いつも日本語のラジオ(NHK国際放送)を聴いている。1960年の日米安保改訂協議の頃だろうか。金門、馬祖紛争のニュースも出てくる。「国語はできないから、仕事もない」と多桑は言う。国語とは、蒋介石が強要した北京語(普通話)のこと。

多桑は、日本に行き、富士山を見て、皇居に行くことを切望していたが、ようやく「中華民国」のパスポートを取得したとたん、肺結核で倒れ、夢は叶わぬまま死去する。

父親の気持ちを理解できない息子とのすれ違いは、身につまされる思いがする。

皮肉な歴史に翻弄された日本語世代の台湾人。おそらくこれからの10年で、ほぼすべての人たちがこの世を去るだろう。こういう人たちがいたことを決して忘れてはならないと思う。
この映画の英文タイトルは、「A Borrowed Life」だ。


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