一昨年、台北の書店で山積みされていた「目送 一九四九」というDVDを購入。その後、ざっと見たのだが、華語(北京語)の字幕(繁体字)を頼るしかなく、全体を理解するまでには到らなかった。
(DVD「目送 一九四九 龍應台的探索」)
ところが昨日、書店の店頭で「台湾海峡 一九四九」(龍應台著 白水社刊 2012.6.22)という新刊書※を見つけた。これは紛れもなく、上述の「目送 一九四九」の翻訳本。もちろん即、購入した。
※ http://www.amazon.co.jp/%E5%8F%B0%E6%B9%BE%E6%B5%B7%E5%B3%A1%E4%B8%80%E4%B9%9D%E5%9B%9B%E4%B9%9D-%E9%BE%8D-%E6%87%89%E5%8F%B0/dp/4560082162/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1340827017&sr=1-1
(「台湾海峡 一九四九」 白水社刊 2012.6.22)
「訳者あとがき」には、つぎのようなことが書かれている。
「本書は原題を”大江大海 一九四九”といい、2009年8月、刊行された。”大江大海”を意味する書名は言うまでもなく、蒋介石国民党政府が台湾へ撤退した1949年に、中国という広大な大地(とそれに連なる大海)で荒れ狂った歴史と運命を指し示したものだ。
現在の台湾社会を構築するすべての要素(先住民族、本省人、外省人あるいは先住民族の言語、ビン南語、客家語、日本語、中国語)が出揃った1949年を中心に、戦争、内戦という苛烈な社会情勢のなか、著者の家族や当時の若者がいかに決断し生き延びたかを描き、さらにこの最果てにある島、台湾まで逃げ延びた彼らが六十年間、誰にも言えないまま抱えてきた痛みを語っている。
本書の特異さは外省人である作者が、1949年に台湾へ逃れてきた国民党政権(と軍)を、戦後台湾を権力と暴力で支配した強者としてではなく、故郷を失ったひとりひとりの弱者として描いたことにあり、さらに受け入れた側の台湾人の痛みをも描いたことに価値がある。」 (本書 p.429)
つまり本書は、外省人から見た歴史ではあるのだが、中国大陸で流布されているような中共(=中国共産党)御用達の歴史本とは全く異なり、さすが現代台湾のドキュメンタリーだと納得するところが多い。台湾では現在でも、主要メディアは国民党系(=外省人)で占められている。映画「海角七号」があれほど大ヒットしたのは、外省人の手を借りずに制作された初めての映画であったからにほかならない。その意味では、台湾人の七割を占める本省人(=台湾人)が、この本(映画)をどう評価するかは、また別問題なのかも知れない。外省人にとっては「この最果てにある島、台湾」であっても、台湾・本省人にとっては、かけがえのない「我らが美麗島」であったのだから…。
この点について、台湾の知人に確かめてみたいと思う。
なお、私が見た映像は、次のとおりYouTubeでもかなり紹介されている。
龍 應台 | |
白水社 |
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