澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

「台湾海峡 一九四九」(龍應台著)を読む

2012年06月28日 04時49分29秒 | 台湾

 一昨年、台北の書店で山積みされていた「目送 一九四九」というDVDを購入。その後、ざっと見たのだが、華語(北京語)の字幕(繁体字)を頼るしかなく、全体を理解するまでには到らなかった。


(DVD「目送 一九四九 龍應台的探索」)


 ところが昨日、書店の店頭で「台湾海峡 一九四九」(龍應台著 白水社刊  2012.6.22)という新刊書を見つけた。これは紛れもなく、上述の「目送 一九四九」の翻訳本。もちろん即、購入した。

 http://www.amazon.co.jp/%E5%8F%B0%E6%B9%BE%E6%B5%B7%E5%B3%A1%E4%B8%80%E4%B9%9D%E5%9B%9B%E4%B9%9D-%E9%BE%8D-%E6%87%89%E5%8F%B0/dp/4560082162/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1340827017&sr=1-1


(「台湾海峡 一九四九」 白水社刊 2012.6.22)


 「訳者あとがき」には、つぎのようなことが書かれている。

 「本書は原題を”大江大海 一九四九”といい、2009年8月、刊行された。”大江大海”を意味する書名は言うまでもなく、蒋介石国民党政府が台湾へ撤退した1949年に、中国という広大な大地(とそれに連なる大海)で荒れ狂った歴史と運命を指し示したものだ。
 現在の台湾社会を構築するすべての要素(先住民族、本省人、外省人あるいは先住民族の言語、ビン南語、客家語、日本語、中国語)が出揃った1949年を中心に、戦争、内戦という苛烈な社会情勢のなか、著者の家族や当時の若者がいかに決断し生き延びたかを描き、さらにこの最果てにある島、台湾まで逃げ延びた彼らが六十年間、誰にも言えないまま抱えてきた痛みを語っている。
 本書の特異さは外省人である作者が、1949年に台湾へ逃れてきた国民党政権(と軍)を、戦後台湾を権力と暴力で支配した強者としてではなく、故郷を失ったひとりひとりの弱者として描いたことにあり、さらに受け入れた側の台湾人の痛みをも描いたことに価値がある。」 (本書 p.429)

 つまり本書は、外省人から見た歴史ではあるのだが、中国大陸で流布されているような中共(=中国共産党)御用達の歴史本とは全く異なり、さすが現代台湾のドキュメンタリーだと納得するところが多い。台湾では現在でも、主要メディアは国民党系(=外省人)で占められている。映画「海角七号」があれほど大ヒットしたのは、外省人の手を借りずに制作された初めての映画であったからにほかならない。その意味では、台湾人の七割を占める本省人(=台湾人)が、この本(映画)をどう評価するかは、また別問題なのかも知れない。外省人にとっては「この最果てにある島、台湾」であっても、台湾・本省人にとっては、かけがえのない「我らが美麗島」であったのだから…。
 この点について、台湾の知人に確かめてみたいと思う。

 なお、私が見た映像は、次のとおりYouTubeでもかなり紹介されている。




 

台湾海峡一九四九

龍 應台
白水社

愚かな台風報道

2012年06月19日 16時44分02秒 | 社会

 「台風4号」のTV報道に辟易としている私。
 
 一家族3人が公民館に避難、軽自動車が水たまりに突っ込んだ、老人が屋根から落ちて頭に怪我をした…TVは、こういう”情報”をこれでもかこれでもかと報道している。だが、こんな些細なニュースをいちいち報道する必要があるのだろうかと思うようになった。

 あの3.11の非常時を思い起こすと、TV各局はどんな報道をしたのか。まず大震災が起きて、緊急報道態勢を執り、通常番組を休止した。各地の被害、避難者情報等々を優先する報道態勢は当然のことだが、原発事故が深刻化するに及んで、次第に「情報統制」の色合いを濃くしていった。
 枝野官房長官の「現在のところ問題はない」という迷言に従うかのように、原発事故報道は「大した事故ではない」という方向に収斂していった。原発3号機の生映像が映る中、当該原発が黒煙を上げて爆発する映像を見ながら、「逃げられる人は逃げてください」と言ったのは、NHKの水野解説委員だけだった。その後、しばらくの間、水野解説委員はTVに登場しなくなり、「粛清」されたのではないかという噂が飛び交った。

 緊急報道態勢を執る中で、NHKが毎日放送していた「海外ニュース」を取り止めたのは、海外からの不都合な情報を遮断するためだったと疑われても仕方がない。例えば、ドイツのZDFは、放射性物質の汚染状況を毎日報道していた。それを見たドイツの知人が、私にメールを送り、首都圏の放射線リアルデータを見るように教えてくれた。はるか欧州では、原発のメルトダウンと放射能汚染が報道されているというのに、私はその事実をメールで知ったのだった。これで、私のメスメディアに対する不信は決定的になった。

 あのとき、緊急報道態勢の名目で、国民は黒い布をかぶせられた「籠の鳥」状態だった。「現在のところ問題はない」という無責任な発言が、被曝した福島県民にヨウ素剤を配らず、原発がメルトダウンしていることも隠してしまった。

 たかが通常の台風ひとつで、これだけの大騒ぎ。だが、日本の運命を決するような大災害のときは、政府の意向を汲んで、真実を隠蔽するTV各局
 福島原発4号機から目を背けると、危ないぞ…。


 


ピアノ協奏曲「黄河」(原典版)を聴く

2012年06月17日 13時41分22秒 | 中国

 先日「ブック・オフ」で買ったNaxosのCDで「ピアノ協奏曲 黄河」を聴く。この曲は、中国の「文化大革命」期、毛沢東の妻・江青によって賞賛された。伝統文化を破壊し尽くした「文革」の中から生まれた「あだ花」のような曲と言える。

 
 
(「黄河 協奏曲 ・原典版」 Naxos S.554499 1991年)

 1974年頃だと思うが、NHKの招聘で中国中央楽団が来日し、このピアノ協奏曲を演奏した。指揮は、李徳倫、ピアノは殷誠忠(いん・せいちゅう)だった。私は、NHKホールでこの演奏を聴いた。
 1976年、毛沢東が亡くなり、江青を含む「四人組」が失脚するに及んで、この曲の演奏はタブーとなった。 だが、北京オリンピックの開会式では、思いもかけずこの曲が使われていて、私はその感想を書いたこと※がある。

※ 
http://blog.goo.ne.jp/torumonty_2007/e/188d175cfe299fe12f2266056e95299f

 話はそれたが、ピアニスト・殷誠忠は、「四人組」との関係を問われて、海外に脱出。その後の消息は、あまり伝えられなかった。
 
 Naxosの「黄河」は、まさにこの殷誠忠によるピアノにスロバキア放送交響楽団が伴奏している。1990年、スロバキアの首都・ブラティスラバの録音だから、この頃まで彼は現役として活動していたことを知る。ブックレットによれば、殷誠忠は1941年生まれだから、もう71歳。いま健在かどうかは分からない。

 若き日の殷誠忠の演奏を、下の映像で見ることができる。これは「黄河」の第四楽章「黄河を守れ」だが、毛沢東を讃える楽曲「東方紅」が使われていて、個人崇拝の昂揚を見て取れる。
 だが、Naxosの「黄河」は原典版と断りが付いていて、この映像よりもずっと穏やかな印象になっている。これならば、今聴いても、なんとか聴ける。

 この曲を聴いた70年代には、「黄河を守れ」という言葉は、「中華民族」よ団結せよという意味だと理解していた。だが、今になって知るのは、チベット、ウイグル、内モンゴルなどの広大な少数民族地域を含めて、漢族が優越的に支配する「ひとつの中国」を目指そうというスローガンだったということだ。
 殷誠忠のピアノは、文句なしに素晴らしい。だが、これまでのいきさつを振り返ると、何とも苦々しい思いがする。 


元パチンコ・アイドル大久保麻梨子が台湾移住

2012年06月12日 05時25分00秒 | 台湾

 パチンコ「海物語」のアイドルだった大久保麻梨子が台湾移住という記事を「週刊プレーボーイ」が伝えている。
 初めての旅行で、台湾に魅せられ、東日本大震災を経てその気持ちがさらに強まった、という。
 なかなかいい話だと思う。若さと実行力が素晴らしい。

 大久保麻梨子ブログ「台湾生活はじめました。」
 
http://ameblo.jp/marilog0907/

 

元トップグラドルの大久保麻梨子が、台湾で人気タレントになっていた?

週プレNEWS 6月11日(月)13時10分配信

2003年、「SeaStory Audition 2003 マリンちゃんを探せ!!」グランプリに輝き、グラビアアイドルとしてデビューした大久保麻梨子(おおくぼ・まりこ)。

その後、いくつもの雑誌の表紙を飾るトップ・グラビアアイドルに成長した彼女が、今、台湾で人気急上昇中だという。エアコンやインスタント食品のCMに出演し、彼女のポスターは空港や街中で簡単に見つけることができるほど。さらにはドラマやバラエティなどテレビ番組にも出演している。

でも、いったいどうして? いつから? なぜ台湾? 彼女を直撃した!

「順を追って説明しますと、たまたま台湾旅行に行ったんです。3泊4日で。そしたら、とってもいい国で、帰るのがイヤで、2日目の夜には『台湾に住みたい、住みたい! 住みたい!!』と本気で思うようになっちゃったんです。それが2010年の秋でした」

なんと旅行から帰国した翌日、当時所属していたプロダクションの社長さんに移住を相談するも、「もっとじっくりと考えなさい」と諭(さと)された。それでも、中国語を勉強したり、ネットで台湾のことを調べるうちに、“台湾熱”は抑えきれないほどに。そして昨年の3月、社長から許可をもらい事務所を辞めて、4月から台湾の大学の語学コースに所属して留学生活を送っているとのこと。なんという行動力……。

だが、最終的に彼女の背中を押したのは、東日本大震災だという。

「台湾旅行後、台湾に移住したいと思い続けていたときに、東日本大震災が起こりました。そして、台湾の人々が真っ先に援助の手を差し伸べてくれました。しかも最終的に、最も多額の義援金をくれたのも台湾の人々でした。だから感謝の気持ちも込めて、もっと日本人は台湾のことを知るべきだと思ったんです。そして留学という行動に移したんです」

現在は、台湾での生活をブログに綴(つづ)り、少しでも台湾に興味を持ってもらい、旅行に来てもらうきっかけをつくる“勝手に親善大使”をしていると笑う。

台湾での芸能活動は、「基本は留学生として生活していますが、日本で芸能活動をやっていたことを知った友達が、こちらの事務所を紹介してくれて」とのこと。彼女の美貌なら、日本でも台湾でも人気が出て当然だ。

現在28歳、留学期間を終えても台湾に住み続けるという彼女。日本人がもっとも親近感を覚える国、台湾との架け橋として、これからもマルチな活躍を見せてくれそうだ。

(取材/菅沼 慶、撮影/小塚毅之)

大久保麻梨子ブログ「台湾生活はじめました。」【http://ameblo.jp/marilog0907/】

■週刊プレイボーイ26号「大久保麻梨子グラビア&インタビュー」より

李登輝氏健在、「尖閣は日本領」「台湾は中国のものではない」

2012年06月07日 00時15分13秒 | 台湾

 先日、退院したばかりの李登輝・元中華民国総統(89歳)が、講演会に出席したニュースが伝えられた。台湾に在学中の中国人学生の質問に応えて「尖閣諸島は日本領」だと明言した。また、「台湾は中国のものではない」とも発言した。

 尖閣諸島が日本の領土だというのは、李登輝氏の従来からの主張。中国漁船事件や石原都知事発言などのずっと以前から主張してきたことだ。

 何よりも喜ばしいのは、李登輝氏が健在で、中国に併呑されるつつある台湾に警鐘を鳴らしていること。台湾の日本語世代の象徴である李登輝氏が「萬壽無彊」であらんことを願う。  

 

李登輝元総統、中国の学生に「尖閣は日本領」 台湾の講演で

2012.6.6 18:54 日中関係]  産経新聞

 【台北=吉村剛史】台湾の李登輝元総統(89)が5日夜、台湾北部桃園県の中央大学で講演し、中国の学生の質問に対し、尖閣諸島を「日本領」と主張した。また「台湾は中国のものではない」などと発言し、一時会場は騒然としたという。

 李氏の事務所や地元紙などによると、李氏は自らが推進した台湾の民主化の歩みについて約1時間半にわたって講演。質疑応答で、台湾に来て半年という中国の学生が、尖閣諸島の帰属に関して質問した。

 李氏は「領有権は日本にある。中国固有の領土というなら、裏付けとなる証拠の提出が必要」と返した。

 会場からは拍手も起き、「それは個人の見解か」と気色ばむ学生に、李氏の秘書が「見解ではなく歴史」と補足した。

 両岸の未来も問う学生に、李氏は「台湾は中国の物ではなく、未来の民主化のモデル」として、この学生に「民主化と自由を学んでほしい」と、台湾の歴史に関する自らの著書を贈った。この学生とのやりとりは約20分間続いたという。


なぜNHKは簡体字を使うのか?

2012年06月06日 08時18分41秒 | マスメディア

 今朝、NHKニュースを見て、驚いたことがある。何かの事件で、中国人容疑者の名前が字幕に出た。そこには「容疑者…」と書かれていた。言うまでもなく、「」は「」の簡体字表記。中国人なんだから、簡体字で表記すればいいじゃないか、という話では全くない。

 日中間の人名、固有名詞の表記には、相互主義の原則が執られている。例えば、毛沢東は、日本では「毛沢東」と表記し、「もうたくとう」と発音する。一方、中国大陸では、「毛泽东」と表記し、「Máo Zédōng」と発音する。日本女性の名前である「沙織」(さおり)は、中国語では、「沙织」と書き、「Shāzhī」と発音する。これが相互主義だ。

 だが、NHKはこの原則を破って、「容疑者」を「容疑者」と報道した。「劉」は、日本語でも中国語(漢語)でも同じ「りゅう」という発音だから、発音表記まで変更したのかどうかは未だ分からない。
 国営放送であるNHKは、正しい日本語を率先して使う義務がある。そのために、放送文化研究所のような研究機関まであるのだから。

 この問題は、決して些細な事柄ではない。NHKはどこの国の放送局なのか?そこまで問われる問題だと指摘しておく。


マントヴァーニ楽団の最新録音

2012年06月05日 02時58分35秒 | 音楽・映画

 マントヴァーニ楽団の新しいCDが、7月11日リリースされる。
 マントヴァーニ(1905~1980)※が亡き後も、「マントヴァーニ楽団」の名を冠していくつもの録音が行われてきた。
 だが、オリジナルのデッカ(ロンドン)録音を凌駕するものは、ただのひとつもない。ポピュラー音楽といえども、オーケストラ録音に関しては、指揮者の力量がものをいうのだろうか。

※ http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%BC

 新しくリリースされるCDは、3ヶ月前、ロンドンの「アビーロード・スタジオ」で録音された。この場所は、ビートルズの録音でも有名。
 指揮者は、ピーター・ヘミング(Peter Heming)。この人はかつて、「マントヴァーニ楽団」を率いて来日したことがある。集められたミュージシャンは、この何年間、英国でマントヴァーニ・コンサートを開いてきた人達が含まれている。それ故、これまでのCDのようなおざなりな演奏ではない、と信じたい。

 この録音は、キングレコード(日本)が企画して実現した。世界中で一番マントヴァーニ・ファンが多いのが日本ということか。それと、まだまだ日本は経済的に余裕があるのだろうか。
 いずれにしても、7月11日のリリースが待ち遠しい。

 なお、マントヴァーニ自身がデッカ(ロンドン)に遺した録音の集大成は、こちらがベスト。デッカのオリジナル音源を使用し、いかなる加工もしていない。→  「華麗なるマントヴァーニの世界」(ユーキャン)http://www.u-canshop.jp/mantovani/?cid=ovt186965 
 

シャルメーヌ~ベスト・オブ・マントヴァーニ

極上のムード音楽、マントヴァーニ・オーケストラの最新録音盤! 

発売日 2012/07/11

品番  KICP-1624

税込価格  税込¥2,500

シャルメーヌ、ムーラン・ルージュのテーマ、グリーンスリーヴス他 数々のヒット曲で知らせるマントヴァーニのアビー・ロード・スタジオでの 最新録音ベスト・ヒット・コレクション!


【DISC1 アルバム】
1.虹の彼方に
作詞:E Y Harburg作曲:Harold Arlen
2.サマー・ナイト
作詞:JAMES B KENNEDY作曲:Benny Carter
3.孤独なバレリーナ
作詞:Paul Lambrecht作曲:Michael Carr, Mantovani
4.スマイル
作詞:John Turner, Geoffrey Parsons作曲:Charlie Chaplin
5.魅惑の宵
作詞:Oscar Hammerstein Ⅱ作曲:Richard Rodgers
6.80日間世界一周
作曲:Victor Young
7.ムーラン・ルージュの歌
作詞:Jacques Larue作曲:Georges Auric
8.グリーンスリーブス
作曲:Traditional編曲:Roland Shaw
9.愛の誓い
作詞:Pierre Buisson作曲:Charles Danvers
10.煙が目にしみる
作曲:Jerome Kern
11.カラ・ミア
作詞:Tulio Trapani, Lee Lange作曲:Tulio Trapani, Lee Lange
12.ラ・メール
作詞:Charles Trenet作曲:Charles Trenet, Albert Lasry
13.魅惑のワルツ
作詞:Maurice Feraudy作曲:Fermo Dante Marchetti
14.ライムライト
作詞:Charles Chaplin作曲:Charles Chaplin
15.ドリーム
作詞:Johnny Mercer作曲:Johnny Mercer
16.愛の泉
作詞:Sammy Cahn作曲:Jule Styne
17.ラモーナ
作詞:L.Wolfe Gilbert, Mabel Wayne作曲:Mabel Wayne, L.Wolfe Gilbert
18.エストレリータ
作詞:Manuel Ponce作曲:Manuel Ponce
19.シャルメーヌ
作詞:Lew Pollack作曲:Erno Rapee
20.スウェーデン狂詩曲
作詞:Hugo Alfven作曲:Hugo Alfven