澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

「女性差別」にすり替えられた東京医大の不正入試

2018年08月11日 04時32分50秒 | マスメディア

 昨晩「深層News」に香山リカ(立教大学教授・精神医学)が出演。彼女の母校である東京医科大学(東京医大)の「女性差別」について語った。だが、Mixiには次のような書き込みが見られた。

「深層News」(BS日テレ)に香山リカ(精神科医)が出演中。香山は東京医大卒で、母校が女性差別をしていたことにショックを受けたとか。入試不正を女性差別の話にすり替えたという自覚はないらしい。香山リカが開業医の子弟だったとしたら、自分のコネ入学に触れられたくなかったからだろう。

 念のため、香山リカの経歴をWikipediaで調べてみたら、その父親が開業医だったことが分かった。このことから類推されるのは、香山リカ自身もまた、開業医子弟のコネ入学枠で東京医大に入学したのではないかということだ。久しくTVメディアから遠ざかっていた彼女が、久しぶりにTV出演して強調したのが「東京医大の問題は女性差別」という点だった。

 東京医大の「不正入試」事件発覚からの経緯をたどれば明らかなのだが、ことの本質は女性差別などではない。国家予算から膨大な補助金を得ている東京医大が、文科省局長のバカ息子を不正入学させるとともに、同窓会OBである開業医の子弟を「優先入学」させていたという事実こそが、問題であり糾弾されるべきなのだ。

 このブログでは何度か書いているが、十数年前、私の親族がこの大学を受験して、二次試験の面接で開口一番に訊かれたことは「本学に知り合いはいますか?」だったという。その意味は、親がOBの開業医かどうか、あるいは寄付金をどれだけ納付できるかどうかを確かめたかったのだろう。そういう実体験があるので、「東京医大は女性差別」だなどという問題のすり替えには、到底、納得ができない。

 振り返れば、この国は「すり替え」がお家芸。「敗戦」を「終戦」、「連合国」を「国際連合」、「GHQ憲法」を「平和憲法」にすり替えたことから、「戦後」はスタートした。こんなお国柄だからこその「やがて哀しき」エピソードなのか。
 

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久しぶりの北海道旅行

2018年08月05日 13時41分46秒 | 散歩

 先月末、三泊四日の日程で札幌~富良野~阿寒湖~知床半島~旭川を回ってきた。人づてには聴いていたが、外国人旅行者が多いのには驚かされた。外国人と言っても、欧米人は稀で、韓国人、中国人、台湾人、香港人の姿が目立つ。

 ホテルのビュッフェ・スタイルの夕食では、外国人客のマナーが心配だったが、思いのほか、皆さん旅慣れた様子で、特にトラブルはなかった。それにしても、国民性というのは興味深いもので、自意識、自尊心過剰気味の韓国人、大声がうるさい中国人、ちょっと知的な香港人…という感じ。

 久しぶりの知床半島は、天候に恵まれて鏡のような海面。昔、海のうねりだけで船酔いしてしまった経験がウソのよう。急旋回して西に行ってしまった台風12号のおかげか。

 長袖を着る必要もなかった北海道ツアーだったが、雄大な景色とグルメには大満足だった。


 
 










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東京医大はどうしたら合格できるのか?

2018年07月19日 08時52分52秒 | 社会

 文科省局長が”バカ息子”を裏口入学させた事件で明るみになった東京医大の実態。前回、このブログでは、10数年前、この大学を受験した親族のエピソードを紹介した。
 
 第一次の学科試験を通った私の親族は、二次試験の小論文と面接に臨んだ。面接官(教授)が開口一番言ったことは「この大学に誰か知り合いがいますか」だったそうだ。その時、親族は「誰もいません」と応えたものの、釈然としない気持ちだったと言う。

 伝え聞くところでは、文科省局長の息子は、学科試験の点数が合格点に達していなかったという。面接官はこの受験生に何を訊いたのか知りたいものだ。「この大学に誰か知り合いがいますか」と尋ねて、「ええ、父が理事長と学長を存じ上げています」とか応えたのだろうか。まさかと思うが…。

 まあ、こんなあからさまな裏口入学はともかく、新たに明らかになった「東京医大同窓会が合否優遇リスト」というニュース(下記参照)も、決して看過できない。むしろ、これこそが私立医大の病根ともいえる問題だろう。

 私立医大(医学部)の定員は、100名前後。東京医大の場合、入試の全権を握る理事長に70人以上もの受験生から「申し込み」があったというから、端的に言えば、合格者のほとんどが「この大学に知り合いがいた人」だろう。開業医が自分の子どもを後継者にさせるために、私立医大は存在すると言ったら、言い過ぎだろうか?

 東京医大に見られるような、「世襲的優先入学」の常態は、日本社会の階層移動を固定化し、さらに階層格差を固定化する、と言えるのではないか?そんなこと、今さら分かり切ったことじゃあないかと言われるかもしれないけれど、実感的エピソードがあるので、書き記した次第。ああ、暑い…。

 

東京医科大、同窓会が合格優遇リスト ◎は「絶対頼む」

朝日新聞デジタル - 7月19日(木) 7時12分

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(朝日新聞デジタル)
 

 文部科学省の私立大学支援事業を巡る汚職事件で、前局長佐野太容疑者(58)の息子が不正合格したとされる東京医科大学の同窓会が過去に、合否判定で優遇を求める受験者のリストを作成し、同大に提出していたことが関係者の話でわかった。東京地検特捜部は複数のリストを入手しており、同窓会や大学幹部が関与した不正合格があった疑いがあるとみて、同大の臼井正彦前理事長(77)らから事情を聴いている。
 複数の関係者によると、同大では卒業生を経由して同窓会などが、合否判定での優遇を求める受験生の親族らの依頼を集約。リスト化して大学幹部に伝えていたという。同窓会の元幹部はリスト作成を認め、「同窓会関係の子どもが受験するからよろしくと大学側に伝えた」と証言した。大学幹部も「5年ほど前には、毎年大学側に同窓会からのリストが届いていた」と明かし、ある卒業生の医師は「知人の子の受験を同窓会幹部に伝えた。『入試で同点の場合は頼むよ』という意味だった」と話した。
 朝日新聞は同窓会や大学幹部が作成したとみられる数年前までのリストを複数入手。あるリストには受験者や、紹介者の名前と卒業年度とみられる記載があった。別の手書きリストには、約30人の受験者名や受験番号とみられる内容が記され、13人の名前の横に「◎」、6人に「○」、8人に「×」といった3種類の記号が書かれていた。
 ある同大関係者は取材に「合否判定ではリストの記号に従って加点された。◎は『絶対頼む』、○は『可能なら』、×は『加点不要』という意味で、臼井前理事長の指示だった」と話した。
 これに対し、今年の入試運営に関わった同大幹部は「リストは見たことがない。(同窓会の意向反映は)かつてはあったかもしれないが、今はやっていない」と話した。同大は「過去の不正合格やリストの存在は把握していない。今年度の試験の調査後、過去の入試についても調査する」としている。

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文科省局長の裏口入学~私立医大の深い闇(やみ)

2018年07月05日 21時00分56秒 | 社会

 文科省局長が自分の息子を東京医大に裏口入学させていたという驚愕のニュース。辻元清美がこの件を採りあげて、安倍内閣の総辞職を要求すると言っているのには、驚きあきれた。確かに、モリカケ問題よりもずっと悪質で深刻な問題だと思うが、それが安倍首相の責任だなどとは到底思えない。

 私はこのニュースを聞いて、「やっぱり」と思ったことがある。現在三十代半ばになる私の親族が、大学受験の時、この東京医科大学を受験した。そのときのこの大学のシステムは、一次試験は学科のみ、一次の合格者が二次の面接試験に臨むという方式だった。私の親族は学科試験に合格し、二次試験を受けた。そのとき、面接官(間違いなく、東京医大教授だったはず)が親族に言ったのは開口一番、「この大学に誰か知り合いがいますか?」だったそうだ。「知り合いはいません」と正直に応えたそうだが、受験生として釈然としない気持ちだった、と親族は言う。結果は不合格で、親族は某国立大学の工学部に進んだ。

 身近な者にこのような実体験があるから、この東京医大や他の私立医大に対する胡散臭さや不信感は、今でも拭い去ることができない。今回のように、職務権限を問われる文科省の高級官僚なら刑事責任にまで発展するが、「母校OB」開業医の子弟の裏口入学など、こうした大学では日常茶飯事ではないのか。

 早大理工出身で旧・科学技術庁に入庁したという、この文科省局長。大学受験や、学歴社会の裏の裏まで「業務を通じて」知り尽くしていたのだろう。バカ息子を私立医大に入れれば、一生食いはぐれがないと考えた。これは、開業医と同じ「勝ち組」の思考様式だ。同時に、私立医大がいかに常識とかけ離れた組織であるかが、図らずも明るみに出た。

 繰り返すが、この事件は、モリカケ問題などよりずっと重大だ。入試の公平性(それも幻想かも知れないが)を揺るがすと同時に、階層が固定化しつつある、日本社会の裏面を露呈した。
 元首相の次男で、Fラン私大出身の男が、コロンビア大学大学院を終了し「政治学修士」号を取得する。これと比べれば、この度の事件など可愛いものなのかも知れないが…。

 

医大、局長への便宜依頼は理事長 学長も入試不正に関与

 文部科学省の大学支援事業をめぐり、東京医科大学(東京都新宿区)に便宜を図る見返りに、受験した息子を合格させてもらったとして受託収賄容疑で前科学技術・学術政策局長、佐野太(ふとし)容疑者(58)が逮捕された事件で、佐野容疑者に便宜を依頼したのは同大の臼井正彦理事長(77)だったことが5日、関係者への取材で分かった。鈴木衛学長(69)も関与したといい、2人はいずれも東京地検特捜部の調べに容疑を認めているという。特捜部は捜査に協力していることや高齢などを考慮し在宅で調べている。

 関係者によると、臼井理事長は昨年5月、東京医科大を私立大学支援事業の対象とするよう当時、官房長だった佐野容疑者に依頼したという。謝礼として、今年2月に入試を受験した佐野容疑者の息子の点数を加算し、不正に合格させた疑いがあるという。

 点数加算などの不正行為には、鈴木学長ら複数の幹部が関与していたという。特捜部は今後、同大での入試の経緯や文科省の支援事業の選定過程について実態解明を進める。

 今年2月の同大医学科の一般入試では3535人が受験し214人が合格。倍率は16・5倍だった。

 問題の支援事業は「私立大学研究ブランディング事業」。大学の看板となる研究の推進に必要な費用を国が助成し、施設の新築や機器の購入などに充てられるもので、東京医科大は、がんや生活習慣病の早期発見を推進するとの計画書を提出した。同事業には全体で188校が申請。同じ申請区分の65校のなかから、昨年11月に27校が選ばれた。事業期間は5年間で最大約1億5千万円が助成され、東京医科大は1年分の助成金として3500万円の交付を受けている。

 事件では、佐野容疑者の他に、受託収賄幇助(ほうじょ)容疑で会社役員、谷口浩司容疑者(47)が逮捕された。谷口容疑者は佐野容疑者を男性幹部に紹介するなどして受託収賄を手助けした疑いがある。

 文部科学省は、佐野容疑者(58)を大臣官房付に異動。戸谷一夫事務次官(61)を同局長事務取扱として兼務させた。


裏口入学は不公平」 学生憤り 東京医科大 

 逮捕された文部科学省局長の佐野太容疑者(58)が子どもを大学入試に合格させてもらう見返りに、私大支援事業で便宜を図ったとされる東京医科大(東京都新宿区)では、職員が対応に追われ、「裏口入学は不公平だ」と憤る声が学生から聞こえた。

 4日夕、大学の正門前に集まった報道陣に、大学職員が「捜査を受けていることは事実。全面的に協力する」などとするコメントを配布した。職員は「こちらで説明できることはありません」と話し、足早に学内に戻っていった。

 医学科4年の男子学生は「親の力で入れるなんてうらやましい。平等じゃない」。同学科4年の別の男子学生によると、大学側から事件に関する説明はなく「もし事実なら、さまざまな支援事業が取りやめになるなど、自分たちの教育にも影響が出るのではないか」と不安げだった。

 一方、佐野容疑者の子どもを気遣う学生も。医学科2年の男子学生は「そのことを知らずに一生懸命勉強しているとしたら、かわいそうだ」と話した。

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桐朋学園オーケストラ演奏会 2018.7

2018年07月05日 11時24分44秒 | 音楽・映画

 桐朋学園オーケストラ演奏会に行く。桐朋学園大学音楽学部の学生を主体とするアマチュア・オーケストラだが、他のアマチュア・オケとは実力が全く違う。

 プログラムは次のとおり、

1 歌劇「オベロン」序曲(ウェーバー)

2 ピアノ協奏曲 イ短調 op.54 (シューマン)

3 交響曲第八番 op.88(ドヴォルザーク)

4 アンコール; スラブ舞曲第一番(ドヴォルザーク)

 ピアノ:守永由香

 指揮 :中田延亮

 オーケストラ : 桐朋学園オーケストラ

 どの曲も大熱演だったが、特にピアノ協奏曲には感銘を受けた。実は、この曲はあまり聴いたことがなかったので、エラそうな感想は書けない。だが、学内オーディションで選抜されたという、守永由香のピアノは、晴れの場という高揚も伴ってか、実に素晴らしかった。指揮者とオケの友人たちのサポートも絶妙だったと思う。弱音のオケで始まるこの曲は、結構、オケの実力も試される曲だと思うのだが、さすが桐朋学園オケだなあ、と思った次第。

 交響曲第八番は、レコード、CDでは飽きるほど、演奏会でも何度も聴いたことがある曲。第二楽章あたりのドボルザーク特有のけばけばしい(?)音響を、ウンザリさせることもなく、弾きこなし、有名な第三楽章は、抒情たっぷりに歌い上げた。とかなんとか書くと、エラそうだが、私の愛聴盤がジョージ・セル&クリーブランド管弦楽団なので、無意識に比較してしまう。桐朋の皆さん、ご容赦を。

 通常の定期演奏会ではありえないアンコール曲として、「スラブ舞曲第一番」(ドボルザーク)が最後に演奏された。これはなかなか生では聴けないので、ラッキーだった。「土俗的な香りを引き出した名演奏だった」なんて書くと叱られそうだが、実に素晴らしい演奏だった。

 この定期演奏会、実はチケットが千円均一で自由席。地元のジジババばかりが目立ち、会場は六分程度の入り。これはもったいない。次の演奏会は、2019年1月らしいので、興味がある方はぜひお奨めしたい。

 
 
 
 

 

 

Martha Argerich plays Schumann's Piano Concerto in A minor (cond. Pappano) - Rome, 19 Nov 2012

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シルクロード上空を飛ぶ

2018年07月05日 10時34分54秒 | 散歩

 6月26日15時45分、仁川(インチョン)からタシケント行きの大韓航空機(KE941便)が飛び立つ。飛行時間は8時間。この航空機は、一昔前だったら考えられないような航路を飛行する。それは、ほぼ「シルクロード」の上空、タクラマカン砂漠天山山脈を沿って飛ぶ。


 フホホト(中国・内モンゴル自治区)近くでは、荒涼たる砂漠地帯の中に、灌漑の形跡が見られる。だが、さらに西に進むと、人跡など見られない砂漠が続く。タクラマカン砂漠(中国・新彊ウイグル自治区)だろう。


           フホホト南部の砂漠地帯



          天山山脈の威容

 こうしてシルクロード上空を飛んでみると、「中国」の広大さを改めて実感する。だがしかし、その「広大さ」の大部分は、モンゴル人、チベット人、ウイグル人などの少数民族が居住する領域だ。しかも、中共独裁政権は、その領域に漢族を移住させ、少数民族に「中華民族」の欺瞞を強要している。

 ウズベキスタン人のガイド氏によれば、かつてウズベキスタンは「西トルキスタン」であり、天山山脈の反対側にある「新彊」ウイグル自治区は「東トルキスタン」と呼ばれるくらいで、両者に言語的、宗教的、民族的にも大きな差異はないという。まあ、わたしでもおおよそそのことは知っていたのだが、実際に広大な「西域」を見て、ウズベキスタンに着くと、中共政権が宣伝する「偉大な中華民族」(漢族も少数民族もひとつの中華民族であるというデマゴーグ)が空虚に響いてくる。

 いずれ将来、中共政権は新疆ウイグルを手放さざるを得ない日が来るだろう。「それが「中華帝国」の崩壊の日ともなる、そんな実感が…。次の世代なら、それを見届けることができそうだが。

 

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タシケントの日本人墓地~「親日国」という”神話”

2018年07月04日 23時32分14秒 | 散歩

 ウズベキスタン旅行ツアーには、ほぼ例外なく組み込まれているのが、タシケントの日本人墓地とナヴォイ劇場の参観。このエピソードについては、下記に貼付した映像(「世界ナゼそこに?日本人」(ナヴォイ劇場))などを通して、かなり広く知られるようになった。1945年夏、第二次大戦で日本が敗北した後、ソ連のスターリンは、日本人兵士を抑留し、ソ連各地に移送し、過酷な強制労働に駆り立てた。言うまでもなく、これは国際法に違反する行為で、日本人の対ソ感情も著しく悪化した。
 タシケントに送られた日本人捕虜は、オペラ・ハウスであるナヴォイ劇場の建設に従事させられた。異国での二年間にわたる強制労働の結果、命を落とすものも多かった。
   ナヴォイ劇場側面の記念碑には、日本語で次のように書かれている。

1945年から1946年にかけて、極東から強制移送された数百名の日本国民が、このアリシェル・ナヴォイー名称劇場の建設に参加し、その完成に貢献した。」

 極東というのは「満洲国」であり、「強制移送」はいわゆる「シベリア抑留」を意味する。ソ連時代には決して語られることのなかった歴史的事実が、ウズベキスタンの独立を契機に明らかにされた。これは、リトアニア独立に伴う、日本のシンドラー・杉原千畝と似た現象かも知れない。


  ウズベキスタン共和国独立後(1991年~)整備されたタシケント日本人墓地


      ナヴォイ劇場(夏の野外コンサートの準備中だった)

       ナヴォイ劇場に刻まれた日本語の碑文

 ソ連時代のウズベキスタンでは、捕虜や政治犯の強制労働は珍しいことではなかったので、日本人捕虜がいたという事実は、すぐに忘れ去られた。ところが、1966年、タシケント地震で市内の多くの建築物が崩壊するなか、ナヴォイ劇場は無傷のまま残ったことから、「日本人が建てたからだ」という噂が広まった。
 実際には、日本人捕虜がナヴォイ劇場建設に従事した時点では、設計はもとより、施工も大部分なされていたという。だから、「日本人が建てたナヴォイ劇場」というエピソードは、厳密にいえば事実ではない。上記の碑文にあるように、「…劇場の建設に参加し、その完成に貢献した」というのが真実である。

 1991年、ソ連邦の崩壊に伴い、ウズベキスタン共和国が独立するに及んで、このナヴォイ劇場の物語は、イスラム・カリモフ大統領によって、ウズベキスタンと日本の友好のシンボルとして流布された。日本側でこれにシンクロしたのは中山成彬・恭子夫妻だそうだ。

 以上の話は、通訳・ガイドのフェルツ氏から聴いたもの。「親日国 ウズベキスタン」と安易に思い込む前に、それぞれの事情を知る必要がありそうだ。現在のウズベキスタン人一般にとっては、日本は遠い存在であり、特に意識する対象ではないという。確かに、街を走る車は韓国製が大半で、日本車に出会ったのは、有名なウズベキスタンホテル(タシケント)に停めてあった三台だけだった。

 とは言っても、初めて訪れたウズベキスタンは、予想以上に親しみやすい、「いい国」だと思った。遠く離れた両国が、歴史上のエピソードで共鳴するのは、悪いことではないはずだ。

世界ナゼそこに?日本人 2017年8月21日 (ナヴォイ劇場)

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世界遺産の街・サマルカンドへ

2018年07月03日 09時31分55秒 | 散歩

 6月27日早朝、ウズベキスタンの首都・タシケントから「タシュケント・サマルカンド高速鉄道」に乗り、古都・サマルカンドへ。スペイン製だという「アフラシャブ号」の一等車は、2+1席というゆったりした配置で、とても快適。サマルカンドまで2時間20分の旅を楽しんだ。


              アフラシャブ号

               車窓の景色

 旅行前に調べたところでは、ウズベキスタンの空港、鉄道の駅は、厳しく旅客統制が行われていて、写真撮影はできないとされていた。だが現実には、駅構内に入る際にパスポートチェックが一回あったものの、写真撮影などに制限はなかった。

 サマルカンドでは、早速レギスタン広場へ。古都の中でも、もっとも有名な場所。イスラムの教えや科学を学ぶ神学校が並び建ち、広場では交易がおこなわれた。



 
                                レギスタン広場で記念撮影してた新婚カップル 


             レギスタン広場

    夜のレギスタン広場

 チィムール廟も有名な観光スポット。6月27日は満月の前夜(小望月)だったので、ライトアップされた廟は、ひときわ美しかった。


 
 

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最新・ウズベキスタン旅行情報 2018.6

2018年07月01日 15時00分20秒 | 散歩

 JTBのLookツアーで6月26日から30日までの5日間、ウズベキスタンを旅行。参加者は私たち二人だけだったので、優秀な日本語ガイドとの丁々発止の会話の中で、多くの知見を得た。

 今年の2月にビザが不要になり、ウズベキスタン政府も日本人観光客の受け入れを積極的に進め始めた。そのため、イモトアヤコの「いってQ」(5月13日放送)をはじめとして、ウズベキスタンを紹介するTV番組が散見されるようになった。
 
 今回の旅行に際しては「地球の歩き方 中央アジア サマルカンドとシルクロードの国々 2017-18」を携行した。だがしかし、その記述にはすでに古くなったしまったものや、誤記も見られたので、ここに気づいた点を列挙してみた。

1 入国時の書類~ウズベキスタン税関申告書について
 同書221ページに書かれている「ウズベキスタン税関申告書」は、不要だった。「入国カード」のような書類もなかったので、入国に際してはパスポートだけでOK。ただし、現金で2000米ドル以上所持している場合は、申告が必要。

2 滞在記録の保存
 ホテルに泊まると、滞在記録を記したカード(書類)をくれるので、出国時まで保存が必要。これは「地球の歩き方」にも詳しく書かれているが……。ただし、私たちの場合、このカードの提示は求められなかった。

3 米ドルが通じる?
 米ドルは外国人が訪れる観光地の土産物店でしか通用しない。バザール(市場)やスーパーマーケットでは、ウズベキスタンの通貨スムしか通用しないので要注意。米ドルを用意していても、両替所は数少ないので、いざというときに買い物ができなくなるかも。当然のことながら、日本円は全くお呼びではない。

4 駅・空港では厳重な警戒態勢?
 ウズベキスタンを紹介したあるTV番組では、タシケント→サマルカンド間を走る「新幹線」に乗るために5回もパスポートをチェックされ、駅構内や鉄道車両は撮影禁止だと紹介していた。実際に行ってみると、拍子抜け。パスポートの提示は求められるものの、一回のみ。さらに、駅構内や鉄道車両の撮影は自由だった

5 イスラムの規律と外国人への対応
 宗教的にはイスラム圏に属するウズベキスタン。バザールで外国人(つまり私たち二人)を見た子供たちが、右手を胸に当てて、挨拶をしてくれる。当初は何かを要求されているのかと思ったが、純朴な挨拶だと知った。奇異な視線やとげとげしい空気は全く感じられず、勝手に想像していた「イスラムの国」ではなかった。ガイド氏によると、ソ連時代の宗教政策(信教の自由はあるが、布教活動は制限)の影響で、イスラム信者であっても、ごく緩い戒律しかないと言う。つまり、日本人にとっては、特に身構えることもない、普通の国という印象。

6 交通事情
 タシケントには地下鉄があり、我々も乗車した。都市計画の行き届いた近代都市なのだが、道路の横断には十分な注意が必要。歩行者用信号が少ない大通りを平然とくぐり渡る”技術”は、旅行者にはまずムリ。

7 言葉、言語表記
 ウズベク語はキリル文字で表記するが、英語の並列表記は見られないので、ほとんどちんぷんかんぷん。英語を理解する人は、極めて少ないそうなので、通訳などのガイドが必要。

 この写真が、今回の旅行の白眉かも。↓ レギスタン広場(サマルカンド)の夕




 

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大阪地震の次はどこに?

2018年06月18日 20時33分48秒 | 社会

 大阪でM6.1、震度6弱の地震。
 千葉のスロースリップ地震が、内陸部の群馬県にまで及んだと注目されたばかり。まるで、ロシアンルーレットのように、震源地が移り変わる。

 先日、日本土木学会が南海トラフ地震が起きたときの被害想定額を発表。1410兆円、国家予算の15年分という、気が遠くなるような額だった。その結果、日本は世界の最貧国の一員に転落するかもしれないという警鐘が鳴らされた。

 地震学者は決して断定的な物言いはしないけれども、「今回の大阪での揺れは南海地震の前触れだと考えられます。今後も西日本での大きな直下型地震に気を付ける必要があります」と言い出すジャーナリストが現れた。
 
 いよいよ近づくカタストロフィ。なのに、パフォーマンスだけの都知事サンは「五輪」「おもてなし」の〇〇の一つ覚え。強力な防災対策を進める気は一向にないらしい。
 これで、東京五輪が開催できなくなる確率は、五割以上になったと思うのだが、どうだろうか。

「南海トラフの前兆か、大地震が現実的に」と専門家 大阪地震女児ら3人死亡

桐島瞬2018.6.18 13:28dot.

  18日の通勤時間帯に震度6弱の揺れが大阪を襲った。専門家は、南海トラフ地震が起きる前に西日本で内陸型地震が頻発することを挙げ、大地震がいよいよ現実的

 気象庁によると地震の規模はマグニチュード6.1。高槻市など大阪府北部で震度6弱を観測し、近畿地方の広い範囲で震度5を記録した。大阪府内で震度6弱の揺れを観測したのは1923年以降、初めて。この地震で外壁の下敷きになった9歳の女の子と80歳の男性ら3人が死亡。住宅火災も発生した。

 今回の揺れをもたらしたのは「有馬―高槻断層帯」の東端近く。地震学者の都司嘉宣氏は、1995年の阪神・淡路大震災で動いた「六甲・淡路島断層帯」の北側の延長上に当たり、その影響かも知れないと話す。

「六甲・淡路島断層帯は、有馬―高槻断層帯と重なるように高槻を経由して京都付近まで伸びています。95年の地震では揺れが六甲付近で止まっていたので、そのとき残されたエネルギーが今回放出されたのかも知れません」

 同じく地震学者の島村英紀氏は「大阪府の枚方市から羽曳野市まで南北に延びる生駒断層帯とも近く、そちらの可能性もある」という。

 今回の大阪の地震に加えて、ここのところ千葉、群馬で地震が発生し、桜島では爆発的噴火も発生している。これらは一見無関係に思えるが、東日本大震災でプレートが大きく動いたことで日本列島全体の地震活動が活発になったことが遠因にあるという。

気になるのは、今後30年以内に最大でマグニチュード9クラスが見込まれる南海トラフ地震との関連だ。

「南海トラフ地震のサイクルは100年に一度。すでに前回から72年が経ち、プレート間のひずみがかなり溜まっています。南海地震が起きる前には、近畿地方で地震が多くなることが知られていて、今回もその一つと捉えることができます」(都司氏)

「詳しいメカニズムはわかっていませんが、前回の南海トラフ地震(1946年)が起きる前にも北但馬地震(1925年)、北丹後地震(1927年)、鳥取地震(1943年)といった内陸直下型地震が続けて起きています。同様に5年前には兵庫県淡路島でM6.3、3年前には徳島でM5.1の地震が発生していることを考えても、今回の大阪での揺れは南海地震の前触れだと考えられます。今後も西日本での大きな直下型地震に気を付ける必要があります」(ジャーナリスト・桐島瞬)

 

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サンスイ ハイブリッド・ミニ・コンポ SMC-300BT

2018年06月14日 10時28分29秒 | 音楽・映画

 サンスイのハイブリッド・ミニ・コンポ SMC-300BTを入手。アンプには真空管、スピーカーには和紙を使ったミニコンポ。定価は4万7千円だが、アマゾンなどでは、2万5千円前後で購入が可能。果たしてどんな音を出すのか、既存のコンポーネント・ステレオ及びKenwoodのミニコンポと比較してみた。

 まず気づくのは、このサンスイのミニコンポは、作りが丁寧だということ。例えば、スピーカーには端子が付いていて、自分でコードを結びつける。最近のミニコンポは、スピーカーコードが固定されていて、着脱できないものが多い。このサンスイならば、気に入った別のスピーカーに繋ぐことも可能だ。スピーカーの設置に関して注意点は、必ずインシュレーターを使うこと。直接床面や机などに置くと、このスピーカーの真価は発揮できない。



 アンプのトーン・コントロールも本格的。他社のミニコンポの多くは、Classic、Pops、Jazzなどの音楽類型で音質を選ぶ仕組みになっているが、サンスイのこのコンポは、自分の好みで音質をコントロール可能。




 アンプに真空管を使った効果は、ちょっと聴いただけでも分かる。私の既存ステレオ装置には、アルパイン・ラックスマンの真空管付きアンプを使っているので、真空管特有の音がいかなるものかは、おおよそ理解できる。通常のアンプと比較すると、真空管アンプの音は低音のカッチリ感はイマイチなものの、中音域がどっしりとしていている。高音域は、トーン・コントロールでややプラス気味に補正すると、全体的には聴きやすい音になる。

 比較試聴には、「そよ風と私」(スタンリー・ブラック&ラテン・アメリカン。リズム)を使用。サンスイは既存ステレオ装置の縮小版という感じ。音質は非常によく似ているが、アンプのパワーの差が音のスケール感の違いとして出てしまう。ただ、両者の価格差は、およそ20倍(サンスイは既存ステレオの20分の一の価格!)であることを考えると、このサンスイの素晴らしさは特筆に値する。
 Kenwoodのミニコンポとの比較では、圧倒的にサンスイの方が上。サンスイと比べれば、まるでおもちゃのような音だ。

 パソコンやスマホで音楽を聴くのが主流となった今、ステレオの音質、いわゆる「オーディオ」にこだわる人は、いい歳のオヤジだけになった。ステレオやミニコンポが売れなくなった時代に、サンスイがこだわりのオーディオを出したことには、大いに拍手喝さいを送りたい。
 もし、ミニコンポを買うのなら、このサンスイは、決して損のない買い物だと言える。コスト・パフォーマンスの極致かも。お薦めの逸品。 

 

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米朝会談とマスメディア報道

2018年06月13日 09時13分17秒 | マスメディア

 「歴史的会談」と騒いだわりには、薄っぺらな印象に終わった米朝会談。



 朝昼のワイドショーも観たが、夜回りセンセイ上がりの水谷某や生活評論家のオバハンが、真顔で「ご高説」を開陳するのだから、まさに「ワイドショー政治」「ポピュリズム」そのもの。

 龍谷大学の李相哲教授が「北朝鮮はならず者国家。民主主義も人権もない独裁体制。そのことを認識せずに、「歴史的会談」「バスに乗り遅れるな」と騒ぐのは、北朝鮮の思うつぼ」と言っていたのが、印象的だった。大方のTV番組はこの原点となる認識をすっ飛ばして、枝葉末節を騒ぎ立てて、囃し立てているという印象だ。

 今朝の藤井厳喜氏(国際政治学者)のコメントもなかなか示唆的だった。早晩、在韓米軍は撤退するから、日本の防衛線は38度線から、対馬海峡に後退する。だがしかし、そのとき、日本は韓国と防衛上の共同歩調をとる必然性がなくなり、自主防衛を高める絶好のチャンスとなる。

 巷間伝え聞く話では、近頃、パチンコが全然出ないという。年初の出玉規制が響いているようだが、実に結構なことだ。亀のような日本政府もようやく動き出したのだろうか。井沢元彦が「パラレル・ワールド」をテーマにした作品で金正日と思われる主人公を採り上げた。あちらの世界では「首領様」、こちらの世界では「パチンコ屋店員」という二人の金正日を描き、日朝間のタブーに切り込んだ。

 「世紀の米朝会談」は、実は身近なところから始まっているんだと気づかされる。

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南海トラフ地震で1400兆円被害、日本は最貧国に転落か

2018年06月07日 15時02分25秒 | マスメディア

 さきほど発表された「南海トラフ巨大地震は1410兆円 被害額推計」には、改めて驚かされた。
 我が国の年間国家予算が約百兆円とすると、この被害額推計は、14~15年分に当たる。まさに想像を絶する被害となる。NHKニュースのコメント(下記の記事参照)によれば、この地震によって、日本は世界の最貧国に転落するかも知れない、と言う。
 
 モリカケがどうした、ヘイトはよくない、さあ”おもてなし”を、世界が驚くニッポンのすごさ等々、どうでもいいことを騒いでいないで、藤井聡先生の提唱する「国土強靭化」に耳を傾け、きちんと予算を措置して、震災対策を講じるべきときではないのか。

 我が国が南海トラフ大地震や首都圏直下地震で「最貧国」になったとき、「平和憲法」下の”お花畑”は無残に踏みにじられ、なぜあの時「改憲」しなかったのだろうか、と地団駄を踏む日が来る。何故なら、「経済大国」から転落した日本国は、何のとりえもない弱小国となる。「ひよわな花」は枯れ果ててしまうのだ。
 

<土木学会>南海トラフ巨大地震は1410兆円 被害額推計

6/7(木) 12:06配信

毎日新聞

 土木学会は7日、巨大地震や高潮、洪水による被害額の試算を公表した。地震とそれに伴う津波は発生から20年にわたる被害を累計し、南海トラフ巨大地震は1410兆円、首都直下地震は778兆円と見積もった。政府の想定を基に、長期にわたる国内総生産(GDP)の落ち込みを阪神大震災の経過を参考に推計。従来の政府の試算を大幅に上回る規模となった。高潮と洪水は東京、大阪、名古屋の3大都市圏ごとに試算し、首都圏や大阪では14カ月で最大100兆円を超える被害が出ると算出した。一方、公共インフラ整備を進めることで、これらの被害を最大6割軽減できると推計。政府・与党が推進する国土強靱(きょうじん)化計画をさらに強化するよう提言した


南海トラフ巨大地震 長期的な経済被害 推計で1410兆円

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災害の専門家などで作る土木学会の委員会は、南海トラフ巨大地震や首都直下地震が発生したあとの長期的な経済被害を推計し、7日、報告書を公表しました。

それによりますと、地震の揺れや火災、津波などで道路や港など交通インフラが寸断され、工場などの生産施設が損害を受けることで、長期にわたって国民の所得が減少すると想定されるとしています。

こうした影響を計算した結果、地震発生後20年間の経済被害は、いずれも最悪の場合、南海トラフ巨大地震で1410兆円、首都直下地震では778兆円に上るおそれがあることがわかりました。

これは、今年度の国の一般会計予算97兆7000億円余りに対し、首都直下地震はおよそ8倍、南海トラフ巨大地震はおよそ14倍に相当し、土木学会は、長期的に国民生活の水準を低迷させる「国難」になると指摘しています。

一方、報告書では、道路や港、堤防の耐震化などを進めることで長期的な被害を3割から4割程度軽減できると試算していて、国などに対策の強化を求めています。

南海トラフ巨大地震と首都直下地震の経済被害をめぐっては、5年前の平成25年に国が想定を公表していますが、いずれも短期的な被害が対象で、20年後までの長期的な被害を対象にした推計は今回が初めてです。

土木学会会長「最貧国になりかねない」

土木学会の大石久和会長は「これだけの経済被害が生じるとは予想もしておらず、驚きだ。今のまま巨大災害が起きたら想像もつかないようなことになる。日本が東アジアにおける小国、最貧国の1つになりかねないと考えている」と強い危機感を抱いていることを明らかにしました。

そのうえで、「被害を軽減するため、政府は、国民にオープンにした形で法律に裏付けられた公共インフラの整備計画などを打ちたてるべきだ」と述べました。

専門家「一刻の猶予も許されない」

土木学会の委員会の委員を務めた、巨大地震の防災対策に詳しい関西大学の河田惠昭特別任命教授は「会社だと赤字で倒産するが、国の場合は滅亡する。南海トラフ巨大地震のような『国難災害』が起きると、国が成り立たなくなると考えるべきだ」と指摘しています。

そのうえで、「今は、南海トラフ巨大地震も首都直下地震も、30年以内の発生確率が70%から80%ほどになっていて、一刻の猶予も許されない時代に入っている。『想定外』という言葉は東日本大震災で最後にしなければならず、そのためには新たな対策を進めていかなければならない」と話しています。

「国難」級の自然災害とは

「国難」級の自然災害とはどのようなものなのか。

報告書は「国の国力を著しく毀損し、国民生活の水準を長期に低迷させうる力を持った巨大災害」と定義したうえで、過去に世界で起きた複数の巨大災害を例として挙げています。

その1つが、1755年にポルトガルの首都・リスボンを襲ったリスボン大地震です。
マグニチュード8を超える巨大地震で、報告書によりますと、揺れや津波、火災によって都市の建物の85%が壊滅し、死者は最大で当時の人口の3分の1に相当する9万人に達したと推定されています。

被害額は、当時のポルトガルのGDP=国内総生産の1.5倍に上ったともいわれ、地震による混乱が国力の衰退を促す要因の1つになったと指摘されているということです。

また、日本では、幕末に相次いだ大地震などを挙げていて、1854年、南海トラフを震源に安政東海地震と安政南海地震が相次いで発生しました。
いずれもマグニチュード8.4の巨大地震で、各地に大きな被害をもたらしました。

さらに、翌年の1855年には、東京の直下でマグニチュード6.9の安政江戸地震が発生して、およそ1万人の死者が出ました。

これらの災害で各地の藩に大きな費用の負担が迫られ、十分な復興事業が実施できなかったことが幕府への不満を募らせる一因となり、倒幕の流れを加速させたと考えられるとしています。

報告書の特徴は

今回の報告書の特徴は、地震や津波による建物などの直接の被害だけでなく、道路の寸断などによる長期的な経済の被害を推計したことです。

このうち、南海トラフ巨大地震では、国が5年前の平成25年に公表した経済被害の想定で、建物や道路の直接の被害がおよそ170兆円と推計してきました。

今回の土木学会の報告では、これに加えて、道路や港など交通インフラが寸断され、工場などの生産施設が損害を受けることによってどの程度、国民の所得が減少するのかを計算しました。

その結果、20年にわたって起きる経済被害が最悪の場合1240兆円と推計され、直接の被害を合わせると1410兆円になるとしています。

推計の期間を20年としたのは、23年前の阪神・淡路大震災では発生から20年間にわたって震災の影響による経済の被害が出続けたと推定されたためで、この経済被害は98兆円余りと推計されるということです。
南海トラフ巨大地震では、このおよそ14倍の甚大な被害になるおそれがあることになります。

20年で失われる納税者1人当たりの所得も推計していて、名古屋市で2058万円、大阪市で1758万円、神戸市で1340万円、広島市で1261万円、横浜市で1052万円、京都市で1014万円、熊本市で793万円などと、広い範囲で市民生活に大きな影響が出るとしています。

また、首都直下地震では、国が推計した直接の被害が47兆円、今回推計した道路の寸断などによる被害が731兆円で、合わせると20年間の被害が778兆円になるということです。
これは、同じ直下型の地震で被害が発生した阪神・淡路大震災のおよそ8倍に当たります。

20年で失われる納税者1人当たりの所得は、東京23区で2112万円、川崎市で1427万円、横浜市で1057万円、千葉市で865万円などと推計されています。

この経済被害に対し、報告書は、対策として、道路や港、それに堤防の整備や耐震化、古い建物の耐震化、それに電線の地中化などを挙げています。

これらの対策を事前に行った場合、南海トラフ巨大地震では509兆円、首都直下地震では247兆円と、経済の長期的な被害を3割から4割程度減らせると推計し、委員会は15年以内に対策を行うよう提言しています。

ただ、こうした対策を行うには、南海トラフ巨大地震で38兆円以上、首都直下地震で10兆円以上かかると試算していて、巨額の公共事業を実施するための財源を確保できるかが課題となる見込みです。

南海トラフ巨大地震とは

南海トラフでは、およそ100年から200年の間隔でマグニチュード8クラスの巨大地震が繰り返し発生していて、最後に起きたのは昭和21年に四国など広い範囲に大きな被害をもたらしたマグニチュード8.0の昭和南海地震です。

政府の地震調査委員会は、マグニチュード8から9の巨大地震が今後30年以内に「70%から80%」の確率で発生すると予測していて、その被害は四国や近畿、東海などを中心とする広域で発生し、東日本大震災を大きく上回ると想定されています。

国の被害想定によりますと、津波や建物の倒壊、火災などで、最悪の場合、全国でおよそ32万3000人が死亡し、238万棟余りの建物が全壊や焼失するおそれがあるほか、避難者の数は地震発生から1週間で最大950万人に上るなど影響が長期化するとしています。

一方、国は5年前の平成25年に経済的な被害についても想定を公表していて、地震発生後の短期的な被害を対象に、住宅や工場などの施設やライフラインなどの被害に加え、生産やサービスの低下による影響などで合わせて220兆3000億円に上るとしていました。

首都直下地震とは

首都直下地震は、政府の地震調査委員会が今後30年以内に70%の確率で起きると予測しているマグニチュード7程度の大地震です。

5年前の平成25年に公表された国の被害想定によりますと、最悪の場合、全壊または焼失する建物は61万棟に上り、このうち火災によっておよそ41万2000棟が焼失するとされています。

また、死者はおよそ2万3000人に上るほか、けが人は12万3000人、救助が必要な人は5万8000人、避難者数は発生から2週間後に720万人に達すると想定されています。

一方、経済的な被害については、地震発生後の短期的な被害を対象に、住宅や工場などの施設やライフラインなどの被害に加え、生産やサービスの低下による影響などで、合わせて95兆3000億円に上ると想定していました。
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「日大闘争」今昔

2018年06月01日 12時27分57秒 | 社会

  日大アメフト問題で、TVワイドショーは大騒ぎ。これを見ると、何やら懐かしいデジャブ感に襲われる。そう、50年前の「日大闘争」。あの紛争のおかげで、東大、東京教育大(現・筑波大)の入試が中止になり、痛い目を見た人が身近にもいる。

日大の対応に当時の日大闘争(紛争)とあの人を思い出す人たち」というサイトに次のような書き込みを見つけた。

 ・この会見、私共から言えば日大は秋田明大の時代から何一つ変わっていない。この大学もう完全に終わっていますね。 日大の内田前監督ら指示否定=関学大選手への反則行為-アメフット問題:

・50年前、歴史に名を残した日大全共闘の記録を読み直しています。古田会頭の独裁体制の中で、根底からの大学改革を求めた10万学生の大衆闘争でした。今回のアメフト部の問題に対する大学当局の知らんぷり作戦を見ると、50年たっても何も変わっていなかった、ことが分かります。 
 
・とうとう日大アメフト問題は、ゲスなマスコミの恰好のターゲットになってしまったな。あまりにも日大の対応が悪い。日大闘争の半世紀前の体質が何も変わっていないのか。上から目線と、学生をコマ扱いしている無意識と保身が、どんどんこじらせていく。まるでアベ劇場だ。

・日大闘争を思い出せ!秋田明大率いる日大全共闘vs右翼系体育会。本質は何も変わっていない。裏口入学斡旋が事の発端。

 
先ほどラジオで、日大OBの高田文夫が、上記の人たちと同じような話をしていた。相撲部出身の田中理事長は、元横綱・輪島と同級で、プロとアマで天下を取ろうと誓い合った仲だという。50年前、日大のボス、古田会頭を全共闘の学生から守ったが相撲部の田中(現理事長)だったとすると、「日大闘争」の因果は巡ると言えなくもない。

 ただ、50年前と違うのは、学生が意見表明したり、抗議運動をする姿が全く見られず、昔はなかったはずの日大教職員組合が顔を出しているということか。
 50年前、大学構内のアジテーション立て看板が政治的主張の伝達手段だったが、スマホ時代の今は、どんな情報も簡単に入手できる。学生運動や労働運動は影を潜め、個人主義が横行する時代となった。新しい「日大闘争」はもはや起こるべくもないが、日大アメフト部問題は、相も変わらない日本社会のメンタリティを垣間見せてくれた。「先輩、後輩」「長いものには巻かれろ」式の集団主義、権威への従属的思考は、運動部においては、今も脈々と生きている。

 思えば、懐かし?の学園紛争。秋田明大・日大全共闘議長(当時)は、中国人女性と再婚し、今は自動車修理工に。山本義隆・東大全共闘議長(当時)は、最近、岩波新書を著して、近代日本150年を批判している。ここでも、日大と東大の鮮やかな対比が見られるが、いずれにせよ、当事者はまだご存命でご健勝、それぞれの生き方を貫いておられるのだろう。
 早晩、こんな話も昔話になって、忘れ去られていくだろうとしても…。

 
 
 

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霞が関官僚の”受難”

2018年05月26日 08時47分49秒 | 政治

 10年ひと昔というけれど、11年前に本ブログで書いた「公務員バッシングの果てに…」(下記参照)という記事を見つけた。
 この11年の間に、民主党政権が誕生し、執拗に公務員叩きを続けた。鳩山由紀夫が首相になると、霞が関の「事務次官会議」を廃止させて、「政治主導」を謳った。
その後、強弱はあるにしても、霞が関あるいは公務員一般に対するネガティブな報道、印象操作は相変わらず続いている。

 11年後の現在、財務省官僚は起案文書の「改ざん」で叩かれている。霞が関の威光は地に落ちたと思わざるをえない。と同時に、ますます酷くなるばかりの”〇〇叩き”の風潮には、危うさを感じるばかりだ。



《「公務員バッシング」の果てに…》 2007年11月18日
 
  今日の「産経新聞」に興味深い記事が載っている。元外務官僚の宮家邦彦氏が書いた「”国のため”気概失う若手官僚」という記事だ。
それによれば、東大法学部出身の国家公務員採用者が、過去15年で140人から60人へと激減しているという。10年前までは東大法学部の各年上位100人はほどんどが国家公務員になるといわれた。しかし、現在の上位100人の多くは外資系企業や弁護士などに流れ、公務員は皆無に近いそうだ。

こうなった原因は、最近の公務員バッシングにあるようだ。宮家氏は次のように続ける。
「理由は何であれ、東大法学部で最も優秀な若き”エリートたち”が国のために働く意欲を失っているのだとすれば、実に由々しき事態ではなかろうか」
「大多数の若い国家公務員は薄給にもめげず、国民のために黙々と働いている。朝は早くから各政党の部会に呼ばれ、昼間は通常の業務をこなし、夜は国会関連作業
などで遅くまで待機する。国民が真に憂慮すべきは、官僚組織の政策立案能力の低下であろう。…問題解決には日本の長期的な国益を踏まえたプロの専門家集団による真剣な政策議論が必要である。…政治主導の政策決定には大賛成だが、最近の行き過ぎた役人バッシングだけでは何も解決しない。現在のように国会議員が政争に明け暮れ、民間にシンクタンクが育たないまま、官僚たたきだけがあと10年続けば、どうなるか。
日本の官僚組織は確実に崩壊し、責任を持って長期的政策を立案できる組織はなくなるのだ。」

最近のマスコミによる「役人バッシング」は、キャリア公務員の「ノブレスオブリージュ」(高貴なる義務)まで否定する傾向にある。「民間ならこうだ…」という論調で、公務員の非効率性を攻撃するのが常套手段だが、「民間とは何を指すのか」「公務員の公共性・公平性をどう考えるのか」という視点は欠落したままだ。
上記の記事が指摘するように、あと10年こんな状態が続けば、日本の官僚制度は確実に崩壊するだろう。

問題は霞ヶ関の中央官庁だけではない。身近な市役所や郵便局の職員は、これまでごく普通の人々が勤める安定した職業だった。輝く学歴や技能がなくても、こつこつと日々の仕事をこなしてきた。これらの人たちが、地方・地域を支えてきた側面は誰も否定できないはずだ。それを「税金泥棒」呼ばわりして、貶めるという最近の風潮は本当に見苦しい。
名もない普通の、これらの人々が、日本の社会階層からごっそりと抜け落ちた時、日本社会はどう変わるのか?
その答えはもうはっきりとしている。弱肉強食の「格差社会」の普遍化だ。

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