澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

朝ドラ「らんまん」が描く台湾像

2023年08月30日 17時08分59秒 | 台湾

 NHKの朝ドラ「らんまん」を見るのは、配偶者だけなのだが、今日はたまたま主人公(牧野富太郎)が台湾に学術調査に行くという話だったので、ちょっと見した。今日のドラマのタイトルバックには、台湾監修「片倉佳史」と書かれていた。この人は台湾在住の親台湾派と目される日本人なので、NHKもそこそこには台湾に気を使っているのだろうね、と思った。

 とはいえ、主人公(牧野富太郎)が台湾語を勉強して、現地の人と意思疎通を図りたいと言うのに対して、台湾総督府の役人や警察官は、「日本語が共通語なのだから日本語を使ってください」「私たちは、台湾の近代化のため、共通語として日本語を推進しています」とたしなめる。歴史の知識が乏しい人は、主人公は人道的、博愛主義だと感じ、台湾総督府の人たちは強圧的、植民地主義者として忌まわしく感じるはずだ。だとすれば、それはNHKの思惑通り、思う壺(つぼ)だろう。

 「台湾の近代化のため、共通語として日本語を推進しています」というセリフには、次のような補足が必要だろう。すなわち、ある社会が近代化(≒西欧化)するためには、科学技術や社会制度に関する先進的な知識が必要となる。その知識の修得のための言語が、日本語だったのだ。台湾総督府は、台湾人に日本語だけを強要し、台湾語を消滅させようとしたわけではない。自由、民主、科学、哲学、理想、信用、人格、住所、社会、労働力、政党、支配、経済、人民、共和、共産主義。これらはすべて明治の日本人が西欧語を翻訳して創造した熟語なのだが、当時の台湾語(あるいは北京官話でも)ではこれらの語彙を表すことは不可能だった。したがって、新知識を吸収するためには、日本語が不可欠だったのである。

 「らんまん」の中で、東京帝大植物学教室教授が部屋に入ってくると、ドイツ語あるいは英語で話し始める場面が見られる。これも、欧米の植物学のコピーから始まった、帝大式の教育スタイルではある。帝大ではドイツ語で授業をするのに、台湾では日本語を使うべきではないという。これは、現在の視点で歴史を裁こうとする態度だ。これもNHKの常套手段だと言っていい。

 中国に媚び、台湾を貶めるNHK。ああ、またか、と思うが、一応苦言を呈しておく。



 

 



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