創作 彩音(あやね)との別離

2024年06月24日 01時40分44秒 | 創作欄

2人が出会ったのは、東京・御徒町の銭湯の軒下であり、初めてのテートは上野駅に近い音楽喫茶であった。

島田  昭(あきら)は、コーヒーが苦手であったので、メロンソーダを注文した。

神野 彩音(あやね)は、ブラックコーヒーを飲んでいた。
ホールのように広々とした店内には、落ち着いたジャズが流れていた。
この日の彩音は、黒地のミニスカートであり、赤いセーター姿であった。
「何でも話してね。あなたのこと、知りたいの」この日の彼女は、アイシャドーが濃かったので妖艶な印象であった。
無口な 昭は女の詰問するような口調と、刺すような視線に戸惑う。
「ごめんなさいね。私はバカなの」女は昭の心をほぐすように微笑みながらロングの髪に手を添えた。
その仕草を彼は好ましく思いほほ笑む。
「あなたは、いい笑顔なのね」

「ここに二人で居ることが、不思議な気持ちです」昭は率直な心を吐露した。
「そうね。私があなたに、興味を持ったのね。なぜなのか・・・」女は流れるアレンジした歌謡曲に心を投影するようであった。
彩音は、朝鮮二世であり、父親は上野界隈でパチンコ店と朝鮮料理店を経営していた。
「あなたに、朝鮮の血が流れているような気持がするの」御徒町の居酒屋で彼女が言う。
昭は、「そんなことは、どうでもいいと」言いたかったが沈黙する。
彼女はどのような気持ちであったのか、心を高ぶらせて、したたかに日本酒を飲むである。
「私を抱いて」彼女が昭の耳に口を寄せささやく。
2人は湯島のいわゆるラブホテルへタクシーで向かう。

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