7/25(日) 20:47配信
毎日新聞
試合中に汗をぬぐうノバク・ジョコビッチ=24日、AP
東京オリンピックで懸念されてきた猛暑に対し、選手から不満の声が上がり始めている。最高気温が30度を超える真夏日が続く中でプレーした選手は「信じられない暑さだ」と驚き、競技時間の変更も提案。「酷暑五輪」に対応しようと、特別にルールを設けた競技もある。
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「今までで最悪の暑さだ。でも、私はプレーしなくてはならない。(日本に来たのは)暑さに泣くためではなく、メダルを取るためだから」
東京都江東区の有明テニスの森公園で24日に行われたテニスの男子シングルス1回戦後、世界ランキング2位でROC(ロシア・オリンピック委員会)のダニル・メドベージェフ選手(25)は、不満をあらわにした。気象庁によると、会場周辺の気温は午前10時時点で30度を記録。試合が始まった正午ごろには、センターコートは激しい暑さに見舞われた。メドベージェフ選手はストレート勝ちした試合内容に関するコメントもそこそこに、こう提案した。「試合は午後6時に行われるべきだろう。私はその時間に練習している」
◇IOCは「先手先手でアプローチ」?
この動きに賛同したのが世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ選手(34)=セルビア=だ。同じセンターコートでメドベージェフ選手の後に試合を終えると、「ハードコートが熱を吸収し、(暑さが)こもってしまう」と指摘。暑さが和らぐ「夕方開催」の提案について、「彼(メドベージェフ選手)に100%同意する。正直なところ、なぜ午後の遅い時間に試合をしないのか理解できない。欧米のテレビ局にとっては、試合時間が遅くなるほど(自国の)タイムゾーンに合わせることができて好都合だろう」と、皮肉とも受け取れる言葉を交えながら語った。
これに対し、国際オリンピック委員会(IOC)のキット・マコネル競技部長は25日の記者会見で、「すべての競技で暑い時間を避けて試合をすることはできなかった」と説明。メドベージェフ選手らの不満は把握済みとした。その上で、「(IOCは)先手先手でアプローチを取っている」とした。
IOCと東京五輪・パラリンピック組織委員会は競技時間の変更などに関しては競技団体側が判断するというスタンスで、組織委の小谷実可子スポーツディレクターは「国際競技団体(IF)の経験が生かされてIFの許可を得て決まっているが、暑さへの懸念は理解している。早急に話し合いたい」と述べた。
テニスでは、熱中症予防の指標になるWBGT(暑さ指数)を参考にした「異常気候ポリシー」を導入。暑さが一定の水準を超えた場合、選手が要望すれば第2セットと第3セットの間に10分間の休憩が認められる。その間にシャワーを浴びたり、ユニホームを着替えたりできるという。24日には、男子のダニエル太郎選手(エイブル)の1回戦で適用された。WBGTが上昇し続けた場合は試合を中断する場合もある。また、東京五輪ではコートチェンジの休憩時間は当初は1分だった。メドベージェフ選手は「冗談のようなもの」と批判し、国際テニス連盟は25日から休憩時間を30秒延長した。
一方で、ロイター通信などによると、23日にはアーチェリー女子のROC選手が暑さの影響で競技終了後に倒れた。マコネル氏は「対策に全競技統一のルールがない」としており、暑さの影響を最小限に抑える対策が求められている。【岩壁峻】
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