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「普通の人」がなぜ過激化するのか<歪んだ正義>(1)

2020年08月03日 02時45分51秒 | 社会・文化・政治・経済

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◇「自粛警察」はもともとある敵意や差別感情の現れ  マスクをしていない人を激しく叱責する。
政府の自粛要請下で地元以外のナンバーの車を傷つけたり時間を短縮して営業する店に嫌がらせをしたりする。中国人が経営する店やその関係者をSNS上で中傷する。
新型コロナウイルス禍に現れたいわゆる「マスク警察」「自粛警察」現象は、人間の攻撃性を顕在化させた。
 「人を傷つける心―攻撃性の社会心理学」(サイエンス社)などの著書がある大渕憲一・東北大学名誉教授(社会心理学、現・放送大学宮城学習センター所長)によると、「災害や犯罪などによって社会不安が高まると、それに伴い人々の間で生じる不快感情が攻撃性に転化されやすくなる」という。  
もともと他の集団や民族に対して敵対的な、あるいはマイノリティーに対して差別的な態度を持っている人でも、冷静な時はそれを不合理なものとして自制することができる。ところが不安や恐怖が高まっている時には「認知資源の不足などからこうした抑制力が低下し、敵意や差別感情が噴き出しやすくなる」という。社会が不安定な時には敵意や差別感情を「正当化」する理由を見つけやすくなり、また周囲の人々からの支持が得られやすいと感じて抑制力はいっそう低下しやすくなるというのだ。
 ◇「自分は絶対に正しい」と思い込むと、人間の凶暴性が牙をむく
 人間の攻撃性といえば、最近はSNSを舞台とした言葉による暴力が過激化している。性被害を実名で告発したジャーナリストの伊藤詩織さんを中傷したSNS上の書き込みは70万件にも達し、人気番組「テラスハウス」に出演していた女子プロレスラーの木村花さんもSNS上で激しい攻撃を受け、亡くなった。  
また近年日本では、 ローンウルフ(一匹オオカミ)による通り魔や襲撃事件が増加傾向にある。治安問題を研究する公益財団法人「公共政策調査会」(本部・東京都千代田区)が2019年3月に発表した東京五輪の治安対策に向けての提言書によると、国内におけるローンウルフ型のテロ類似犯罪は増加傾向にあり「未然に探知し防ぐのが難しい」という。
さらにその脅威は「すぐそこに差し迫っていると認識しなければならない」としている。  
19年7月、「京都アニメーション」第1スタジオ(京都市伏見区)にガソリンをまいて放火し70人を死傷させた青葉真司容疑者(42)による事件は記憶に新しい。青葉容疑者は「京アニに小説を盗まれた」とまるで自分が被害者であるかのように訴え、犠牲者への謝罪は今もって口にしていないという。  
16年7月に起きた相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」への襲撃事件でも元同園職員、植松聖死刑囚(30)は裁判で「意思疎通が取れない人は社会の迷惑」「殺した方が社会の役に立つ」と語った。障害者という「負担」を抱える社会を救済したとでも言わんばかりに殺害の正当性を訴えた。  
こうしたローンウルフによる事件は一見「自粛警察」やSNS上の過激な攻撃とは無関係のように見えるが、いずれの当事者にも通底する思考が垣間見える。自分や自分が帰属意識を抱く集団を「絶対的被害者=善」と見立て、「絶対的悪」である他者への攻撃を正当化するという「歪(ゆが)んだ正義」だ。「自分は絶対に正しい」と思い込んだ時、人間の凶暴性が牙をむく。  ◇「あなたは、自分がテロリストになることもありうると思いますか」  私が人間の攻撃性に関心を抱いたのはイスラエルの大学院で受けた授業がきっかけだった。13年春から4年余りエルサレム特派員を務めた私は日本への帰任を前に仕事を2年間休職してイスラエルの大学院や併設のシンクタンクを拠点に研究生活を送った。  イスラエルといえばその占領地・パレスチナに住む人々への強硬な対応で知られる。私は留学1年目、イスラエルの中でも最も保守的で、「テロ対策」に関する研究で世界的に知られるヘルツェリア学際研究所(IDCヘルツェリア)の大学院に進学し「テロリズム対策・国土安全保障論(サイバーセキュリティー専攻)」を学んだ。特派員時代の取材でイスラエルの「テロ対策」には学ぶべき点とあしき手本とすべき点が混在しているように感じ、その最先端で知見を広げようと考えた。  
懐に深く入ってこそ取材対象の「素顔」は見えてくる。イスラエルの「素顔」を見たいとの思いからの決断だったが、パレスチナの人々すべてを「テロリスト」よばわりするような差別と偏見に満ちた授業ばかりではいたたまれなくなる、と内心危惧していた。だが授業ではむしろ私自身が無意識のまま抱えてきた偏見や思い込みを自覚することになった。  進学した大学院のプログラムは1学年150人余りで約4割が米国系ユダヤ人、約3割が欧州系ユダヤ人、3割弱がイスラエルのユダヤ人で、それ以外はアフリカ系が男女ひとりずつ、アジア系は私ひとりだった。大半は20~30代で米国からは米軍のエリート、陸軍士官学校(ウェストポイント)と米議会から女性2人が公費で派遣されていた。イスラエルからは国防総省や首相官邸の幹部候補のほか私と同じ50代の警察・爆弾処理班元トップと現職トップもやはり公費で来ていた。
 「あなたは、自分がテロリストになることもありうると思いますか」  イスラエル軍兵士の心理的危機管理を担当してきたという元軍幹部の博士(心理学)が「テロリズムの心理」という授業の冒頭、私たちにそう尋ねた。受講生の約半数が「ありうる」と答え、残る半数が「ありえない」と答えた。「絶対ありえない」。私はそう直感したので、多くの生徒が肯定的に答えたのにはむしろ驚いた。  博士の言葉を聞いて浮かんだのはワシントン特派員をしていた09年春に経験したある事件だった。アフガニスタンに駐留する米陸軍の部隊に1カ月ほど従軍取材した。米兵らと村から村へと移動していたある日、乗っていた軍用車がイスラム原理主義組織タリバンの爆弾攻撃を受けて大破した。同乗していた米兵4人と共に奇跡的に命を取り留めたがテロリズムの脅威を文字通り肌で実感した。そして地元の女性や子供すら手にかけるタリバンの「狂気」に強い憤りを感じた。だから博士の問いかけにも「あんなことを私がするわけがない」と感じたのだ。  だがこの確信は、研究を進めるにつれ徐々に崩れていくことになる。
 博士はさらに衝撃的な言葉を口にした。  「テロリストの頭の中を考えるには、まず普通の人々の頭の中を考える必要がある。そうしていくと、大半の人は状況さえ整えばテロリストにさえなりうるのだということが分かる」  彼は自分たちユダヤ人も含め、誰もがテロリストになりうるのだと断言した。その根拠として見せたのが一本の動画だった。  ◇監獄実験が顕在化させた人間の攻撃性  米スタンフォード大学のフィリップ・ジンバルドー名誉教授(心理学)が行った、有名な「監獄実験」の撮影フィルムだ。1971年、ジンバルドー名誉教授は24人の中流階級の米国人学生を対象に12人を看守役、残りを囚人役にした。囚人役は囚人服を着せて足をつなぎ番号で呼ぶ。看守役はアイコンタクトをしなくてすむようにサングラスの着用が認められ、制服や笛、警棒、鍵を渡されて「囚人に何をしてもよい」という支配権も付与される。その結果、実験は想定よりかなり短い6日間で終了せざるをえなくなった。看守役が予想以上に残酷な行為を繰り返し始めたからだ。  
囚人にろくに食事を与えず頭巾をかぶせて鎖でつなぎ、トイレを手で掃除させた。36時間後にはひとりの囚人が急性のうつ状態になり、解放せざるをえなくなった。ジンバルドー名誉教授は「ごく普通の人が状況次第で悪魔にもなる」と分析し、人間が持つ攻撃性の普遍性を指摘した。倫理的観点からこのような実験はその後行われていない。それもあり、たまたまこの実験の参加者が異常な集団だったのではないかと感じる人もいるかもしれない。だが実験で起きたことをまさに再現したかのような事件が現実に起きている。04年に発覚したイラクの首都・バグダッド郊外のアブグレイブ刑務所におけるイスラム教徒への虐待事件だ。看守の米兵らはこの実験結果以上に残酷な虐待を行った。
 動画が終わると米陸軍士官学校から来ていた女性士官が手を挙げてこう語った。「私はイラクでアブグレイブ事件の調査に実際に関わっていました。具体的なことは言えませんが、刑務所にいた兵士すべてが残虐な行為をしたわけではありません。ごく一部がやったことなのです」
 ◇過激化する人としない人の違い  先の大渕名誉教授はその論文「無差別テロの心理分析」の中で次のように述べている。「テロ事件を起こす人は特殊な思想信条の持ち主、あるいは偏った性格・異常な心的状態にある人であるとの特異心理仮説に基づく研究が中心だったが、近年は、先進諸国からIS(筆者注:過激派組織『イスラム国』)に参加する若者、ホームグロウン・テロリスト、ローンウルフ型の増加などを背景に、誰でもが状況によっては過激主義に陥り、テロ事件に関与するようになりうるのではないかという一般心理仮説に基づく分析が主流になりつつある」
 私たちは誰しも攻撃性を持っている。それを過激化させるとテロリストにさえなりうるのかもしれない。
だが一方で、紛争地を長く取材して感じてきたことがある。同じような極めて重い社会経済的ストレスを受けてもその攻撃性を過激化させる人はほんの一部で、大半の人はそうはならない。
紛争地に限らず日本社会においても日常のストレスなどから会社や学校、SNS上で陰湿ないじめやハラスメントをして他者を攻撃したり「正義」を振りかざしたりする人がいるが、大多数の人はそこまではしない。
だとするとその攻撃性を過激化させてしまう人とそうならない人の違いはどこにあるのか。過激化する人には何があり、あるいは何がないのか。そこに通底するメカニズムはあるのか。
 私はこの疑問を出発点に研究生活を始めた。【編集委員(専門記者)・大治朋子】
 

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国内感染5日連続で1000人超 新たに1331人

2020年08月03日 02時43分05秒 | 社会・文化・政治・経済

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東京・渋谷をマスク姿で行き交う人たち=2日午後

 国内では2日、新たに1331人の新型コロナウイルスの感染者が確認された。国内の新規感染者が千人を超えるのは5日連続。東京で292人、大阪で194人、愛知で160人、福岡で145人が報告された。 【動画】小池知事、酒類提供店に時短営業要請

 これまでの感染者数は計3万9190人。クルーズ船ダイヤモンド・プリンセスの乗客乗員を含めると計3万9902人で、死者は計1026人。

 

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80・90代感染者の3割超死亡、死者平均年齢79・3歳…都分析

2020年08月03日 02時24分51秒 | 医科・歯科・介護

020/08/02 19:31  読売新聞

 東京都は31日、新型コロナウイルスに感染し、6月末までに死亡が確認された325人に関する分析結果を公表した。死者の平均年齢は79・3歳で、大半が糖尿病や高血圧、腎疾患などの基礎疾患を持っていたという。

 小池知事はこの日、東京版CDC(米疾病対策センター)の新設計画を公表した。インフルエンザ流行期に備えて10月以降に本格運用を始めるといい、専門家の助言を基に政策立案や医療体制の確保にあたる。

 

嘔吐の症状でPCR検査、女性保育士が感染…保育園は休園に

2020年08月03日 02時21分30秒 | 社会・文化・政治・経済

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東京都江東区は1日、区内の私立認可保育園に勤める20歳代の女性保育士が新型コロナウイルスに感染したと発表した。  

区によると、女性保育士は7月28日、嘔吐(おうと)の症状があり園を早退。PCR検査を受け、感染が確認された。同園は11日まで休園にする。  

また、同区では別の私立認可保育園に勤める20歳代の女性保育士の感染も判明した。園児や職員に濃厚接触者がおらず、休園はしないという。

 

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沖縄、10万人あたり新規感染が全国最多 ベッド満床に

2020年08月03日 02時13分34秒 | 医科・歯科・介護

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国内で判明した感染者(2日午後9時現在)

 新型コロナウイルスの国内の感染者は2日、午後9時現在で新たに1333人が確認された。1日あたりの感染者数が1千人以上となるのは5日連続。最多の東京都は292人で4日ぶりに300人を下回った。

一方、三重、長崎、宮崎の3県で1日あたりの最多を更新し、感染拡大は大都市以外にも広がっている。 【写真】「沖縄に行かれる方は、(移動に慎重判断を求める)沖縄県知事の表明を踏まえて判断していただければ」。感染者の急増に受け入れ態勢が追いついていない沖縄県への移動について、西村康稔経済再生相は1日の会見で、こう述べるにとどまった。  独自の緊急事態宣言を出した沖縄県では64人が確認された。4日連続の50人以上で、最多を記録した7月31日の65人に次ぐ規模だった。県の集計では、1日までの人口10万人あたりの1週間の新規感染者数は18・33人で全国最多という。  県によると、10歳未満の男女2人や、豊見城市議の40代男性が感染。離島の宮古島市と石垣市でも新たに計5人の感染が判明している。

 沖縄赤十字病院(那覇市)は、1日までに看護師1人と、患者6人の感染が確認されたと発表。このうちの60代男性患者1人が亡くなっており、県はクラスター(感染者集団)発生とみて、死因が新型コロナによるものか調べている。

 県によると、感染者の急増でコロナ用の病床利用率が130%となり、約140人が入院待ちとなっているという。玉城デニー知事は2日の記者会見で「医療提供体制を守らなければならない」と述べ、無症状者や軽症者を対象に自宅療養を求めると発表。人手不足も深刻化し、看護師や保健師の経験者に現場復帰を要請した。  

1日あたりの最多を更新した宮崎県は30人。23人だった長崎県は3日続けての更新となり、12人の三重県でも2日連続となった。  

東京都で1日あたり300人を下回るのは7月29日(250人)以来。8月1日まで2日連続で400人を超えて最多を更新していた。感染経路別では家庭内感染が30人にのぼり、2日までに、5人家族と4人家族各2組の全員が感染したとわかった例もあった。このほか、地方に旅行した7人グループのうち6人が感染したり、3人で車で釣りに行って全員が感染したりした例もあった。

朝日新聞社

 

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阪神・矢野監督、島田の“神走塁”を絶賛「MVPは島田の盗塁」 逆転呼び込む二盗

2020年08月03日 02時07分01秒 | 野球

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6回、二盗を決める島田(撮影・北村雅宏)

 「阪神3-1DeNA」(2日、甲子園球場)  逆転勝利を手にした阪神の矢野燿大監督は「MVPは島田の盗塁」と島田海吏外野手(24)の“神走塁”を絶賛した。 【写真】快盗島田、二盗は際どかったぁ  

場面は1点差で迎えた六回、無死一塁から糸井が右前打で一、三塁と好機を広げる。ここで糸井の代走として出場した。続くサンズの打席で1-2から4球目、果敢に二塁を狙う。「サインは出てないというか、いつでも行けたら行けというところで…」と、ノーサインでの積極走塁。好走と凡走の紙一重の選択で、間一髪のタイミングで二塁に滑り込んだ。  

ベース上では思わずガッツポーズ。プロ3年目での初盗塁に、試合後は「いま思うとちょっと恥ずかしい」と照れ笑いしたが、二塁に進んだことで、大山の右前打で一気に逆転のホームに生還。足で奪った1点に指揮官も賛辞を惜しまない。  

「むちゃくちゃデカいよ。1点負けている状況で、あそこで走る勇気。実際にそこでセーフになってくれるというのは、本当にプロだしね。例えば、近本がスタメンから出ている状況で走るのとは訳が違うので。ああいうプレーに対する価値というのはすごく大きい」  島田は2017年度のドラフト4位で入団。金本前監督からも足と、打撃を評価された逸材だ。矢野監督が2軍監督を務めた2018年には、リーグ記録を更新する163盗塁の原動力となった1人。「超積極野球」の申し子でもある。  同年ドラフト1位・馬場のプロ初勝利を導く殊勲の活躍。スペシャリストの台頭がチームに流れを呼んだ。

 

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阪神、逆転勝ちで勝率5割復帰 連敗を3で止める 大山がV打

2020年08月03日 01時55分38秒 | 野球

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プロ初勝利の馬場(右)はウイニングボールを手に矢野監督と笑顔を見せる

 「阪神3-1DeNA」(2日、甲子園球場)  阪神が逆転勝利。引き分けを挟んだ連敗を3で止め、再び勝率を5割に戻した。

4番の大山が今季2本目の決勝打。3年目の馬場がプロ初勝利を手にした。 【写真】阪神ベンチ、久々に明るい顔と顔  

試合は初回、先発の岩貞が先頭の梶谷に、先頭打者アーチを浴びて先制を許した。打線はDeNAの先発、平良を攻めあぐね、五回まで散発の2安打。なかなか突破口が開けなかった、六回だった。  

この回、先頭の近本が右前打で出塁。糸井も右前打でつなぎ、無死一、三塁とチャンスを作った。糸井は7月28日のヤクルト戦(神宮)以来4試合、15打席ぶりの安打。さらに矢野監督は代走・島田を送ると、二盗を決めて無死二、三塁を作った。

 ここでサンズは空振り三振に倒れたが、4番が意地を見せた。1-1から3球目、外角のスライダーに泳がされながら、すくい上げた打球は右前にポトリと落ちた。二走・島田も一気にホーム生還。五回まで2安打に抑えられていた平良を攻略した。  「チャンスの場面でしたし、打つだけでした。それだけです」

 島田はプロ初盗塁。また、六回を無失点に抑えた馬場に、プロ初勝利の権利が生まれた。八回にはサンズの左前打から1点を追加。リードを2点に広げた。馬場はプロ3年、通算16年目の登板で初勝利。七回以降はガンケル、藤川、スアレスとつないだ。藤川は今季初ホールド、スアレスは6セーブ目を記録した。

 順位は変わらないが、3位・DeNAにゲーム差なしと肉薄する。3日の休みを挟んで、4日からは今季初の9連戦を迎える。まずは首位・巨人との3連戦。先発はガルシア-藤浪-高橋の予定。伝統の一戦で弾みを付けたい。

 

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