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幹細胞

2008-04-05 17:16:37 | 解剖生理学(身体の発生)
幹細胞(かんさいぼう)は細胞分裂を経ても、同じ分化能を維持する細胞のこと。発生における細胞系譜の幹 (stem) になることから名付けられた。通常は幹細胞から生じた二つの娘細胞のうち、一方は別の種類の細胞に分化するが、他方は再び同じ分化能を維持する。この点で他の細胞と異なっており、発生の過程や、組織・器官の維持において細胞を供給する役割を担っている。

幹細胞では分化を誘導する遺伝子の発現を抑制する機構が働いており、これは外部からのシグナルやクロマチンの構造変換などによって行われる。普通の体細胞はテロメラーゼを欠いているため、細胞分裂の度にテロメアが短くなるが、幹細胞ではテロメラーゼが発現しているため、テロメアの長さが維持される。これは分裂を繰り返す幹細胞に必要な機能である。幹細胞の性質が維持できなくなると、新たな細胞が供給されなくなり、早老症や不妊などの原因となる。

幹細胞の例
受精卵からつくられる胚性幹細胞(ES細胞)は全ての種類の細胞に分化する事ができる(全能性)。また、生体内の各組織にも成体幹細胞(組織幹細胞、体性幹細胞)と呼ばれる種々の幹細胞があり、通常は分化することができる細胞の種類が限定されている。例えば、骨髄中の造血幹細胞は血球のもととなり、神経幹細胞は神経細胞へと分化する。このほかにも、肝臓をつくる肝幹細胞、皮膚組織になる皮膚幹細胞、また生殖細胞をつくり出す生殖幹細胞などさまざまな種類があり、医療分野への応用を目指して再生医学で盛んに研究が行われている。

幹細胞の種類
幹細胞は、ある細胞に変化するようにという指示を受けると特定の細胞に変身、すなわち分化する能力を持っている。また、変化を遂げる前の未分化の状態で長期間にわたって自らを複製、再生する能力も備えている。胚からは胚性幹細胞(ES細胞)、成人からは成体幹細胞、胎児からは胚生殖細胞を採り出すことができる。


胚幹細胞
 ES細胞は、受精卵が分化して胎児に発展するまでの状態である胚の初期段階から採り出されるもので、身体のどのような細胞にも成長できる性質を持っているため多能性幹細胞とも呼ばれている。ES細胞は、受精後5、6日目の胚盤胞の内層細胞(内部塊細胞)から取り出して培養される(図:「胚幹細胞の生体外での培養法」)。人体から採り出される成体幹細胞と違い培養によって実験室において無限に増殖させることができ、かつ、どのような細胞にも変化できる万能性を持つことから、事故や病気によって機能を損なわれた細胞や組織、臓器などに取って代わるための各種細胞を作り出すことのできる"素材"として大いに研究に活用されることが期待されている。理論上では、ES細胞から分化させた細胞に遺伝子治療の技術を用いて免疫関係の遺伝子を入れ替えたり、患者の遺伝情報を持つ胚を作り、そこからES細胞を採り出して目的の細胞に誘導したりすることによって、拒絶反応を起こさずに臓器を移植する道も考えられる。

 
成体幹細胞
 成体幹細胞とは体の中にすでにかたちづくられた組織の中から採り出される分化する前の状態の細胞をいう。組織内には、その組織における特定の働きを担う、すでに分化を終えた細胞が多数存在しているのだが、中にはそうした特定の働きを持つ細胞へと分化する前の未分化細胞、すなわち幹細胞が混じって存在している。成体幹細胞は、自らと同じ細胞を複製し、製造する能力を持つとともに、分化によって、それが存在していた組織内のあらゆる個別細胞を作り出すことができる。
 特定の組織に分化することがわかっているためにすでに多くの治療に生かされ、白血病などの治療に必要な骨髄移植に用いられる骨髄幹細胞などが代表的な例といえる。
 成体幹細胞は、骨髄や血液、目の角膜や網膜、肝臓、皮膚などで見つかっており、最近では、脳や心臓など、従来は幹細胞が存在しないのではと思われていた場所でも確認されている。また、骨髄の中にある間葉幹細胞と呼ばれる幹細胞は、自らがいた組織の細胞である骨髄細胞だけでなく、筋肉細胞や骨細胞など他の種類の細胞へも分化することが可能であることも明らかになっている。
 それだけ目指す細胞を作るチャンスが増えてきたことになる。自らの体から採り出した成体幹細胞の治療への活用は免疫的な拒絶反応の問題を心配する必要がなく、ES細胞を活用するときのように拒絶反応を起こさせないための操作が不要なため、現実的な治療の方法として活躍の場が広がることになるであろう。


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