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妊娠中のホルモンの変化

2009-01-28 12:56:33 | 女性の健康
胎盤は、妊娠の最初の数週間で発達する血管に富んだ器官で、胎児に酸素、栄養素およびその他の物質を供給する。胎盤では、妊娠の維持に必須のホルモンの産生も行う。胎盤によって産生される主要な4つのホルモンは、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン、プロゲステロン、エストロゲンおよびヒト胎盤性ラクトーゲン(HPL)である。

①ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)

ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンは、特に妊娠初期に重要なホルモンである。胎盤がプロゲステロンとエストロゲンの分泌を完全に引き継ぐまで、黄体を維持する役割を担う。

②プロゲステロン

プロゲステロンは、胚の着床を助け、子宮内膜に働いて肥厚させる。また、乳汁の産生に関係する乳腺の発達を刺激するように働く。さらに、胎児抗原に対する母体の免疫反応を抑制していると考えられている。プロゲステロンは、妊娠初期には黄体によって分泌され、妊娠7週目までには黄体と胎盤の両方から産生されるようになる。12週目までに、プロゲステロンの分泌は完全に胎盤に引き継がれ、妊娠期間終了時、つまり出産過程である陣痛発来にその役割を果たすと考えられている。

エストロゲン

エストロゲンは、妊娠中の子宮の発育を促し成長していく胎児を助ける。乳腺の成長も促す。妊娠中にはエストロンおよびエストラジオールの濃度が通常の約100倍に上昇し、エストリオールの濃度が1000倍に上昇する。

ヒト胎盤性ラクトーゲン(HPL)

ヒト胎盤性ラクトーゲンは、授乳に備えて乳腺組織の成長と発達を刺激するホルモンである。妊娠中の代謝変化に役割を果たす。

乳汁分泌

オキシトシンは、下垂体後葉から分泌されるホルモン。このホルモンの役割は正確にはわかっていないが、陣痛の開始に関係し、その後子宮を妊娠前の大きさへと収縮させる。また、授乳中の乳房からの母乳の分泌を引き起こす上で重要な役割を果たす。

プロラクチンは、下垂体前葉から放出される。このホルモンは、他の腺を刺激することなく標的組織に直接作用すると考えられ、性腺刺激ホルモンと同様に生殖のコントロールに深く関わっている。女性ではプロラクチンは、乳房を刺激して母乳を産生させる。大量のプロラクチンは、排卵と月経周期に対して抑制的に働く。

分娩後のオキシトシンおよびプロラクチンの分泌は、新生児による乳房の吸飲作用に刺激される。出産直後、新生児が最初に母乳を吸い始めると初乳と呼ばれる濃厚な母乳が分泌される。初乳には、特に蛋白質が豊富で、新生児を感染から予防するための免疫すなわち移行抗体を含んでいる。産後2~3日目までは通常の母乳は分泌されない。新生児による乳房の吸飲が母乳の産生を刺激し、乳房での母乳産生は要求に見合うように調整される。すなわち、成長に伴って母乳要求量が増えるに従い、母乳産生量も徐々に増えていく。

閉経

卵巣の老化により、卵胞刺激ホルモンの刺激に卵胞が徐々に反応しなくなり、エストロゲンの分泌が低下していく。エストロゲン濃度が低下し続けると、フィードバックによる下垂体の抑制が弱まるため、更年期にかけて卵胞刺激ホルモンの産生が若干増えることになる。

ほぼ同時期に、周期半ばの黄体形成ホルモンのピーク(LHサージ)がなくなり、無排卵月経周期が起こる。卵巣機能がさらに低下していくと、排卵が完全に停止する。黄体の不在によりプロゲストロンの分泌が低下し、最終的にはエストロゲン濃度も非常に低くなって月経出血が不規則になり、ついに月経は停止(閉経)しする。この時点の卵胞刺激ホルモン濃度は非常に高くなる。このために、最近まで治療用の卵胞刺激ホルモンは閉経後の女性の尿から抽出され、不妊治療に用いられる卵胞刺激ホルモン・ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン製剤が作られていた。

閉経の徴候は、エストロゲン濃度の低下とそれに付随する下垂体機能の変化に関係している。卵胞刺激ホルモンの分泌増加には、甲状腺刺激ホルモン(TSH)や副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)など他の下垂体ホルモンの分泌増加が伴うことがある。

エストロゲンと性腺刺激ホルモンのアンバランスに付随した甲状腺刺激ホルモンの増加は、血管透過性の不安定性によるのぼせ(ホット・フラッシュ)や過剰な発汗をしばしば引き起こす。情緒不安定も甲状腺刺激ホルモンの標的器官に対する作用と関係している可能性がある。副腎皮質刺激ホルモンの増加は主として過剰な副腎皮質アンドロゲンの分泌を引き起こし、多毛(顔面で顕著)の原因となる。

エストロゲンの産生不全は、下垂体を介したその間接的作用とは別に、主として生殖器管に反映される。乳房は小さくなってその形を失い、外陰部と膣の組織は血管が乏しくなり上皮は傷つきやすく感染を起こしやすくなる。亀裂、痛みおよび出血を伴った萎縮性膣炎が起こることがある。卵巣と子宮は萎縮し、子宮内膜は完全に消失する。

閉経後の低いエストロゲン濃度には、骨粗鬆症が伴うこともあり、荷重骨である特に椎骨と大腿骨頸部に脆弱化が起こる。

閉経に伴う徴候の多くは、長期のホルモン補充療法によって緩和される。


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