マナーは絶対に守りましょう・・・

　２０１３年１１月１３日、米名門オーケストラ、ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートの最中に観客の携帯電話が鳴り響き、指揮者が演奏をストップするハプニングがあったのだ。観客席で携帯電話が鳴ったのは、２０１２年１月１０日夜に同オーケストラがマンハッタンで行った公演でマーラーの交響曲第9番を演奏している最中だった。会場にいた観客がツイッターやブログで伝えた話を総合すると、交響曲は最後のクライマックスを過ぎて「音楽と静寂が入り混じる」極めて繊細な場面。タイミングは最悪だったというのだ。鳴っていたのはステージ左型の最前列に座っていた高齢の男性の携帯電話だったが、この男性は身じろぎもせず、マリンバの音の着信音は３～４分あまりも鳴り続けたという。音に気付いた指揮者のアラン・ギルバート氏は手を止めて演奏を中断。会場には着信音だけが響き渡った。ギルバート氏は持ち主に向かって「終わりましたか？」と尋ねたが、返事がなかったため「結構です、待ちましょう」と言い、指揮棒を譜面台の上に置いた。着信音はさらに何度か続いた後、ようやく鳴りやんだようだ。苛立った観客からは「１０００ドル罰金だ」「そいつを追い出せ」と叫ぶ声も上がったが、大半の観客の「シーッ」といさめる声に制されたのである。ギルバート氏は「通常であれば、このような妨害があっても止めない方がいいのですが、今回はひどすぎました」と断った後に、オーケストラの方を向き、「118番」と指示して演奏を再開。観客からは拍手が上がったのだ。ここでのマナーは絶対に守りましょう・・・（佐々木和夫）