民主党に独自の「中国ルート」があったんですね。
複数の政府関係者によると、解放に至る過程では、菅首相や仙谷官房長官らが、独自の「中国ルート」を駆使して戴秉国(たいへいこく)国務委員を中心とする中国側に働きかけを行ったという。
「いろんなことが元通りに戻っていくと思う」
菅首相は9日夜、首相公邸前で記者団に対し、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で悪化した日中関係がようやく正常化に向かうとの見通しを示した。
日本政府関係者によると、4日に実現した日中首脳会談で、中国の温家宝首相は「フジタ」の高橋定さんの解放については直接言及しなかったが、会談の調整段階での中国側の対応から、日本政府は「解放は近い」との感触を得ていた。
中国側は「尖閣とフジタの問題はリンクさせない」との立場のため、日本政府は「解放は首脳会談の直後ではなく、数日間かかるだろう」とみていた。ただ、具体的にいつ解放されるかは、9日午後に堀之内秀久中国公使が中国外務省に呼び出されるまで、把握できなかった。
菅政権の「中国パイプ」はひそかに築かれた。間に入ったのは、副首相級の戴秉国国務委員に通じる人脈を持つ仙谷氏らの知人だった。こうした仲介を受け9月下旬に訪中した民主党の細野豪志前幹事長代理らを通じて、菅首相の下には、中国側の「本音」の一端が伝えられた。中国は、首相が中国の「謝罪と賠償」要求には「全く応じるつもりはない」などと発言したことについて、「あんなことは言わせないでほしい」と不満をぶつけてきたという。
これを踏まえ、首相はまず、1日の臨時国会での首相の所信表明演説で、尖閣諸島問題について直接言及するのをやめた。さらに、4日のブリュッセルでのアジア欧州会議(ASEM)首脳会議での演説では、草案にあった「(尖閣諸島問題では)国際的な世論は日本を支持している」といった記述を丸ごと削除し、中国側に間接的なメッセージを送った。
効果はてきめんだった。ブリュッセルでの演説から数時間後、衝突事件後初の日中首脳会談が実現し、その後、フジタ社員が解放された。
だが、日中対立の火種はなお残っている。前原外相は9日、岡山県玉野市内で記者団に対し「これほど長い間、監視に置かれていた理由が全く判明していない。中国側に詳しい理由の説明を求めていきたい」と強調した。
(2010年10月10日03時04分 読売新聞)(高橋さん解放、独自の「中国ルート」で働きかけ : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞))
複数の政府関係者によると、解放に至る過程では、菅首相や仙谷官房長官らが、独自の「中国ルート」を駆使して戴秉国(たいへいこく)国務委員を中心とする中国側に働きかけを行ったという。
「いろんなことが元通りに戻っていくと思う」
菅首相は9日夜、首相公邸前で記者団に対し、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で悪化した日中関係がようやく正常化に向かうとの見通しを示した。
日本政府関係者によると、4日に実現した日中首脳会談で、中国の温家宝首相は「フジタ」の高橋定さんの解放については直接言及しなかったが、会談の調整段階での中国側の対応から、日本政府は「解放は近い」との感触を得ていた。
中国側は「尖閣とフジタの問題はリンクさせない」との立場のため、日本政府は「解放は首脳会談の直後ではなく、数日間かかるだろう」とみていた。ただ、具体的にいつ解放されるかは、9日午後に堀之内秀久中国公使が中国外務省に呼び出されるまで、把握できなかった。
菅政権の「中国パイプ」はひそかに築かれた。間に入ったのは、副首相級の戴秉国国務委員に通じる人脈を持つ仙谷氏らの知人だった。こうした仲介を受け9月下旬に訪中した民主党の細野豪志前幹事長代理らを通じて、菅首相の下には、中国側の「本音」の一端が伝えられた。中国は、首相が中国の「謝罪と賠償」要求には「全く応じるつもりはない」などと発言したことについて、「あんなことは言わせないでほしい」と不満をぶつけてきたという。
これを踏まえ、首相はまず、1日の臨時国会での首相の所信表明演説で、尖閣諸島問題について直接言及するのをやめた。さらに、4日のブリュッセルでのアジア欧州会議(ASEM)首脳会議での演説では、草案にあった「(尖閣諸島問題では)国際的な世論は日本を支持している」といった記述を丸ごと削除し、中国側に間接的なメッセージを送った。
効果はてきめんだった。ブリュッセルでの演説から数時間後、衝突事件後初の日中首脳会談が実現し、その後、フジタ社員が解放された。
だが、日中対立の火種はなお残っている。前原外相は9日、岡山県玉野市内で記者団に対し「これほど長い間、監視に置かれていた理由が全く判明していない。中国側に詳しい理由の説明を求めていきたい」と強調した。
(2010年10月10日03時04分 読売新聞)(高橋さん解放、独自の「中国ルート」で働きかけ : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞))