St. John of the Crossの生き方に憧れて

受洗後、最初に買ったカトリックの本が「愛への道」。相応しい生き方をしてない。彼に倣う生き方が出来るよう心がけたいです。

ヴィゴ「新学期操行ゼロ」を見る-a comment

2009-03-29 23:51:00 | Weblog
1 ジャン・ヴィゴの「操行ゼロ」を見た。ドナルド・リチー氏に依ると(「映画理解学入門」(キネマ旬報社、三木宮彦氏訳)、10大傑作のひとつだそうである。ちなみに、わたくしは、10のうち9を見た。残るは、恥ずかしいが、ジャン・ルノアール「ゲームの規則」。手元にある映画評論中2冊(リチー氏のと、「映画の美学」(白水社、アンリ・アジェル氏著、岡田真吉氏役)しか、ヴィゴに触れたものがないので、その中から、
「処女作「ニースについて」で、「記録に基づく意見」について、
 「カメラの目的は、
  1 一つの身振りの隠された理由を暴く
  2 平凡で偶然の人物からその内面的な美しさや諷刺画をひきだし
  3 その純粋に団体的な表現の一つに従って一つの集団の精神を明らかにする
 そして、
  1 昔我々が無関心にそれに沿って進んだ世界が、
  2 将来は、その外見を超えて、非常な力をもって、強制的に我々にさしだされる
 「ニースについて」は、そんなささやかな下書きに過ぎない。」(「美学」)
「こうしてヴィゴは、この映画で意識的に規則を破った。その結果は時に新鮮であり、納得できるものだった。彼のジャンプ・カットは、たとえばトリュフォやゴダールに霊感をあたえた。」
「そして今や、束縛されていない、自然で伸び伸びした少年時代を眼のあたりにする。と同時にこの場面は、美しい天国の光景でもある。…その象徴するものは宗教的、とくにキリスト教的だが、…その感覚は宗教的だが、異教徒的であり、キリスト教以前のものである。ちょうど少年たち自身が、おとな以前であるように…」
「反乱は成功し、黄金時代が始まった。無邪気さの勝利である。…この映画の長所の一つは、子どもたちがセンチメンタルな眼で眺められたことが一度としてない点にある。」
「「糊の壷」という言葉が何度も何度も繰り返されるが、そのうち、その言葉自体が一つの意味-何か幻想的な、奇妙な、この世ならぬ精神的な意味を帯びてくるのだ。」(以上、「理解」)
 まるで、ラファエル前派の絵のような「無邪気さ」「幻想」が、この映画の特徴と感じた。「シュールの先駆」ともリチー氏は言っている。最初、コクトーや「ナポレオン」などと思って見ていた。ある種、フランス革命を象徴的に描いているな、と。が反乱前夜でまったく覆された。というより、日曜日のシーンなどで、もう既に気付くべきだった、「無邪気さ」がテーマだと。とにかく、童話に引かれるなら何回も見る価値の映画と思った。そのファンタジーの隔世は、同時に見た、鈴木清順氏の「オペレッタ狸御殿」にも引けを取らないと感じた。

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