十谷の町の散策を一通り終えたら今夜の宿に向かう。3軒あるうち一番手前にある民宿「山の湯」のお世話になります。僕は原稿料をもらって観光案内記事を書いているわけではないので、いわゆる「提灯持ち記事」は書かない。匿名をいいことに「○○は最悪だ」貶す事だけに終始する記事も書かない。自分が見聞きして「いいな」と思ったものだけ紹介するようにしています。山の湯に家族旅行で泊まることにしたのは前回9月の五開小学校整備の際に一度泊まって、よかったからに他ならない。
県道407号の終点。ここから先は林道だが路肩決壊で通行止めになっている。この少し手前に旅館が2軒あってどちらも秘湯の風情満載なのだ。
つくたべかんから少し進んだ先、道の脇に山の湯の入り口がある。何しろ谷の斜面にあるのだから、道から階段で下りたところがフロントだ。
温泉マークとこんな看板がある。宿屋の大将はちょっとファンキーな、一見して改造二輪車集団ツーリングクラブのリーダーのような風貌だが気さくないい方で、看板にあるとおり地元の食材を自前で調達して料理するのだ。熊でも鹿でもライフルで撃つし、秋のこの時期はきのこを取ってくるし、川で山女や岩魚を釣るのだ。
訪れたのは金曜の夜だったので、宿泊客は僕の家族1組だけだった。なんか申し訳ないような・・・こちらが部屋。陰になって写っていないがもう一部屋続き部屋あって、窓からは大柳川渓谷が一望できる。
で、こちらが宿泊棟から少し離れた所にある露天風呂。大将の手作りで土台の石垣積みから始めて完成まで2年かかったそうです。温泉だけど湯温が少し低いので薪で焚いてます。これが大柳川渓谷を眼下に望む絶景の露天風呂です。
他に誰もいないので撮影させてもらいました。これが開放感いっぱいの露天風呂。浴槽の真ん中を板で区切って女湯と男湯を分けています。保温のためふたがしてある。前はそのまんま渓谷の斜面です。立寄り湯もやっていて、午前10時から午後3時頃まで宿泊しなくても入れます。
この写真は一晩明けた朝方のものだけど、湯船からはこのような景色が見える。開けた面が東向きで朝日がほぼ正面から登る。この時間に入浴できるのは宿泊客だけの特権ですね。また、山の湯のHPでも紹介されていないですが、夜になると風呂場の照明をすべて消してランプの明かりだけになります。これもまた宿泊客だけの特権ですが、薄暗くてゆれる明かり中で満天の星空と、石油の燃える香りがリラックスさせてくれます。これはお薦めです。
露天風呂以外にも宿泊棟に内風呂があるのですが、この日は宿泊が僕らだけだったのでお休みでした。さて、大将が地物にこだわる晩御飯です。
食事は宿泊とは別棟の食堂で食べます。テーブルにはワラビ、ふき、たけのこ、山芋などの、とにかく山の植物がずらっと並んでいます。
これは地物のマツタケが入ったお吸い物。国産天然ものマツタケですよ~。香りがいいです。
山菜のてんぷら。ウドやふきやタラの芽にこごみ、あとはなんだか分からないけど地物の葉っぱです。塩か天つゆで食べます。
手打ちのそば。そばつゆは甘みの少ない信州風です。これまた美味しいですね~。そばの横の空になった皿には山女の甘露煮がありました。もちろん大将が釣ってきたものです。
とまあ、ここまで見て「肉がないな~」と思った人もいるでしょう。何せ地物こだわる山奥の民宿ですから、マグロの刺身もとんかつもエビフライもないわけです。この点はファーストフードで育った若い世代にはちょっと辛いかも。
そこで別注の馬刺し。大将もさすがに馬までは取ってこないでしょうけど、美味しかったです。これで1人前です。池袋の居酒屋なら4人前の量ですね~。
そして、これも別注の猪鍋。大将がライフルでしとめた猪にこの辺りの山に生えてるきのこがたっぷり入った味噌味の鍋。手書きのきのこの紹介が添えてあけど、どれもスーパーで売っているのを見たことはないものばかり。この鍋で2人前ですけど、池袋の居酒屋なら5人前はありますね。普通に食事を食べて(この普通だって結構多いんだけど・・)更にこの馬刺しと猪鍋、でも美味しかったので全部食べました!
絶景の露天風呂と山の地の物。この宿はホントお薦めです。五開小学校に関わらなかったら、十谷も山の湯も恐らく一生訪れなかったでしょう。五開、いいところですね。
山の湯のHPはこちら↓です。
http://www.yadoyamanoyu.com/index.html