くせじゅ文庫

久世樹(Que sais-je?)の画文集です。

『ハロッズ・ベアー』

2018-09-23 00:08:32 | 作品
今月2回目のスケッチ例会は、雨で室内開催に。

旅行好きのSさんが持参した、ハロッズのセーターを着たベアーと北欧の木靴を描きました。

あっという間の2時間で、鉛筆デッサンだけで終わってしまったので、帰宅後パステルで着彩しました。

帰り道にはうろこ雲が。明日は絶好のお墓詣り日和になりそうですね。




『絆』

2018-09-17 23:51:24 | 作品
誕生日の今日、『絆』を描きました。

69年前にこの世に生を受けた時のことはまったく記憶にありませんが、娘に娘が生まれた日のことはよく覚えています。いくつかの困難を背負って生まれてきた児は、初めて父親に抱かれた時、もみじの蕾のような右手いっぱいに、農作業で土くれた父親の親指を握りしめていました。その子も来年小学生、記憶が薄れてゆく前に描きとめました。

その下は、散歩コースの多摩川のほとりの今日の花々です。不覚の胸椎圧迫骨折から一年、運動再開のOKも出たので、せいぜい歩いて泳いで、足腰を鍛えようと思います。

あと一年で大台。これからもチコちゃんに叱られないよう、確(しか)と生きている証しを、時々ご報告しますので、よろしくお付き合いください。







『孫枝』

2018-09-08 18:53:03 | 作品
ふた月振りの野外スケッチ例会で井ノ頭へ。

井の頭公園駅から集合場所に向かう途中で、今にも池に倒れ落ちそうな幹巻きの包帯も痛々しい老桜樹に出会い、迷わず今日のモデルに決めました。描きたかったのは、輝くような白雲の下で、満身創痍の幹からすっくと伸びた若い枝。よって、周りのあれこれは篩(ふるい)にかけて省略しました。

題して『孫枝(ひこえ)』。ぴったりの日本語が見つかりました。


『葡萄の塀』

2018-09-05 10:02:42 | 作品
昨年7月から描いてきた『葡萄の塀』が完成しました。

P15号(653X500)と大きくはありませんが、月2回通うアトリエで、鉛筆デッサン10ヶ月、水彩の着彩4ヶ月、延べ60時間を積み重ねました。一枚の絵にこれほど時間をかけたことは、若い頃にも六十半ばで再開してからも、初めてです。

描けば描くほど、細部に眼を奪われ、全体のバランスが狂うジレンマを何度も繰り返し、ある時から「写生」を離れて、枝葉(文字通り枝と葉)を省いて、「創作」に転換してから、ようやく完成イメージが掴めたことは、得難い体験でした。

普段は、20-30分の鉛筆デッサンや、90-120分の水彩風景画が多いのですが、こうしてじっくり制作に向き合うことも、脳トレにとても良いと実感したので、これからも年に何作かのペースで続けようと思います。


『ひだの習作』模写

2018-09-03 00:04:49 | 作品
パステル画の巨匠、エドガー・ドガの二十歳代の作品『ひだの習作』を模写しました。

ドガは35歳で従軍した普仏戦争で右眼の視力を失い、晩年はほとんど盲目で失意のうちに83歳で亡くなったそうですが、70歳の時にこんな言葉を残していたそうです。「我々は、現在我々がやっていることよりも、いつかはなしうるだろうことについて、自信を持たなければならない。」(ポール・ヴァレリー『ドガについて—-ダンス・デッサン』吉田健一訳、筑摩書房、1972年刊)