くせじゅ文庫

久世樹(Que sais-je?)の画文集です。

《春の入江》

2023-03-18 10:01:00 | 作品
 子供の頃からドガ やルドンのパステル画が好きでした。これまで人物画や散歩スケッチに手軽なパステル鉛筆を使ったことはありましたが、今回初めて本格的にソフトパステルで四切サイズ(新聞紙大)の風景画を描いてみました。

 今まで描き慣れた透明水彩と比べて、何度も塗り重ねができること、色が鮮やかで豊富なこと、何より白が使えることに、新たな表現の可能性を感じました。欠点は、顔料の粉末を棒状に固めただけなので定着が弱く描いている間にもポロポロこぼれ落ちること、よって指や周囲がカラフルな粉で汚れること。でも、前者はフィクサチーフ(定着液)をこまめに吹き付けることで防げ、後者は水溶性なので水拭きできれいになるので、油絵具よりは扱いやすそうです。

 絵筆ではなく、指先で直につまんで描く感触は、子供の頃手にしたクレヨンやクレパスの記憶を甦らせました。さらに数万年遡って、洞窟の壁に燃え殻の炭や鉱物で描いた旧石器時代の原始人にまで通じる〈絵心〉を掻き立てるようです。どうやらこれは、歳相応の幼児返りor先祖還り⁇

「落書きせんとや生まれけむ」





《肥の豊》

2023-03-15 23:14:00 | 作品
今年も届きました、《肥の豊(ひのゆたか)》。火の国・熊本の蜜柑農家が、コロナの3年の間も弛まず手塩にかけた見事なデコポン/不知火の次世代・新品種を、いただく前に絵日記に描き残しました。




《洞穴のムクノキ》

2023-03-11 18:40:00 | 作品
一月半振りのスケッチ例会で上野公園へ。染井吉野はまだでしたが、早咲きの寒緋桜は満開で、スマホ片手の花見客で黒山の人だかりでした。

 私は人波を避けて、パンダ橋脇の”洞穴のムクノキ”を描きました。ポッカリ空いた空洞は、78年前の米軍の空襲で焼けた跡だそうです。

 3月10日、3月11日、9月1日、9月11日・・・、人々の記憶は時とともに薄れてゆきますが、物言わぬ古木は今年ももうすぐ傷痕を癒す若葉の季節を迎えます。

芸術院会館裏の「戦災樹木・洞穴のムクノキ」

外国人観光客以外の日本人の9割はマスク姿でした