〈雷鳴を置き去りに波いま消ゆる〉【久世樹】
《セーヌの開会式・雑感》
フランス革命の11年前に初めてパリを訪れた22歳のモーツァルトは、当地の人々の冷遇と同行した母の急死に打ちひしがれながらも、あの抜けるように明るい交響曲第31番「パリ」(K.297)を作曲したそうです。
”if 、もしも ?”・・・。モーツァルトがパリで、昨夜の4時間にも亘るテレビのための野外フェスに遭遇していたら、あのお茶ら気者のモーツァルトのこと、果たしてどんな”五輪(オッタマゲ)”た曲を作ったことでしょうか? 私は、多分、最期に残した『レクイエム』(K.626)の「ラクリモーサ(涙の日)」よりも、もっともっと深い絶望と再生への祈りを、テレビ時代の人類に向けて描き残したに違いないと思います。
“Amen!”
今日のスケッチ例会は、文京区の湯島天神でしたが、気温35℃&湿度70%超の酷暑では、ほとんど日陰のない都心での野外スケッチはとても無理と、中止となりました。さりとて、夏休みでキンダーランド化したプールに出かける気にもならず、NHK-plusで雨のセーヌ川でのオープニングTVショーの録画をBGM代わりに流しながら、この夏の人物画講座の課題作《群像》の下絵を試し描きして過ごしました。お盆休みを挟んで残り5回、秋風が吹き始める頃までには完成を目指します。
西湘の海で、待望の今夏初泳ぎ🏊
海水温は陸の気温にひと月遅れて昇降するので、海面は温くても1m潜るとまだ梅雨入り前の冷たさが残っており、無理をせず100m沖の筏でひと休みして、波に運ばれて戻りました。
海から上がって、砂浜でスケッチを一枚。風も無く、夏休み前で子供達の歓声もほとんど聞こえず、穏やかに寄せては消えてゆく波を、今日もまた飽きもせず描きました。