くせじゅ文庫

久世樹(Que sais-je?)の画文集です。

台湾の名画探訪

2018-06-30 09:19:06 | 旅行
台湾旅行の締めくくりに、今回出会った古今の中国絵画の中から私が惹かれた作品をご紹介します。長くなりますので、関心のある方にご覧いただければ幸いです。(番号は掲載順)

◆国立故宮博物院
1,2 李公麟『畫帰去来辞』 Ode on Return Home 宋(11c後半)
3,4 仇英『仙山楼閣圖』 Tower and Pavillion in Mountains of the immortal 明(16c前半)

◆中央研究院嶺南美術館
5, 歐豪年『風裳水佩』 Lotus 137x69cm 1991年
6, 歐豪年『五虎』 Five Tigers 200x500cm 1993年
7, 黄磊生『雨荷』 Lotus in the Rain 180x96 2000年
8, 楊之光『卡門舞姿』 Carmen Dance 138x70cm 2001年
9, 趙少昂『月柳雙棲』 The Birds on the Willow under the Moon 86x43cm 1980年
☆以上は第三世代の現代作家、以下の二人は嶺南画派を創設した第一世代。
10, 高奇峰『寒猿戯雪』 Monky Playing with Snow 178x92 1916年
11, 高剣父『鷹揚』 Flyind Eagle 175x95cm (20c前半)

台北の故宮は、1949年に蒋介石の国民党が台湾に渡った際に紫禁城などから持ち運んだ7万点の中華の秘宝を蔵し、展示品はわずか1%、何が見られるかは運次第のようですが、今回は明の市井の画家・仇英の作品をまとめて見ることができました。

嶺南美術館は、台北駅から車で30分ほどの郊外に、歴史・考古学からバイオ・先端科学まで網羅する広大な「中央研究院」の中にある、知る人ぞ知る隠れた名画の宝庫、日本を発つ前に我が水墨画の師・沈和年先生に教えていただきました。嶺南画派は、日本の明治から戦前にかけて大観や春草らによる日本画の革新と呼応するように、清朝滅亡後に北京・上海と並んで広州で中国絵画の改革に取り組んだ高剣父らを中心とする画派だそうで、今回は第三世代のリーダー・歐豪年の作品展を開催中でした。

さらに予期せぬ収穫は、展示室の隣のアトリエで開かれていた絵画教室を、偶然にも見学できたことでした。女性ばかり10人に囲まれて熱心に教えていた同年代の男先生が、部屋の外から覗いていた私を招き入れてくれ、生徒たちが家で描いてきた花鳥・山水などの作品に手づから筆を取って手ほどきする様子を、1時間近く、つぶさに見て、言葉は片言の日本語と英語でしたが、水墨画の筆使いの基本と応用を再確認する又とない機会となりました。

今回ご紹介した2館とも、先進国並みに写真撮影OKで、好感が持てました。また、嶺南美術館では、図録を求めたところ、学芸員のお嬢さんに、ホームページで全作品を鮮明な画像で見ることができるから買わなくて良いと言われ、彼我の国民性の違いを感じたことでした。興味を持たれた方は下記からご覧ください。
http://lnfam.sinica.edu.tw/

4泊5日の駆け足の台湾でしたが、5回にわたる私の拙い『初めての台湾印象記』にお付き合いいただいて、ありがとうございました。












台湾スケッチ

2018-06-29 02:09:49 | 旅行
今回の台湾の旅のスケッチ、5点です。

いずれも、わずか15分ほどで描いたイメージ=仮象で、使った画材は鉛筆と水彩絵の具6色と水筆だけの”Myミニマムセット”、わずか10gです。最後の1枚だけはホテルに帰って墨で描いた「中国山水画へのオマージュ」です。

このイメージを、いつかちゃんとした作品に仕上げられればと思っています。