くせじゅ文庫

久世樹(Que sais-je?)の画文集です。

池袋モンパルナスと那覇ニシムイ村

2018-03-26 08:42:54 | 雑記
昨日は初めて板橋赤塚城址周辺を歩きました。名刹「秋月院」や「東京大仏」を眺めながら、板橋区立美術館で『東京⇆沖縄、池袋モンパルナスとニシムイ美術村』を観てきました。

日中・日米戦争前後の20世紀前半に、池袋・落合界隈に芸術家たちのコンミューンがあったことは知っていましたが、その炎が戦後占領下の沖縄・那覇に受け継がれていたことは初めて知りました。

麻生三郎・松本俊介・吉井忠らの作品も良かったですが、39歳で戦病死した靉光が応召直前に描き残した『(白衣の)自画像』が素晴らしかった。

帰り道に寄った豊島区立郷土資料館の『アトリエのときへ、10の小宇宙』でも、池袋モンパルナスを取り上げていて、「山村工作隊」なる歴史的死語に出会ったりして、まさに”re-born”の一日でした。





卓民水墨画展

2018-03-08 19:35:35 | 雑記
虎ノ門の中国文化センターで開催中の「卓民水墨画展」を見てきました。

1958年上海生まれ、1997年に帰化して日本名大竹卓民さんは、現在東京芸大大学院保存修復日本画研究室非常勤講師として学生達を教えながら、北宋山水画を現代に継承する制作を続けておられます。

今日は偶然にも卓民さんご本人の講演「北宋山水画の名画を読み解く」を聴講でき、後半には郭熙(かっき)の『早春図』を模して自ら筆を取って山水画の手本を描くパフォーマンスを間近に見て、改めて東洋絵画の奥深さに気付かされました。

水墨山水画の本質は、山の下から山の峰を仰ぎ見る「高遠」と、山の前から山の奥をうかがう「深遠」、近い山から遠い山を眺望する「平遠」を、一図の中に総合する「三遠法」にあり、「山形歩歩移」(歩くごとに山の形は刻々と移り変わる)といわれる、空間、時間の「間」を捉える宇宙観であり、私たちが明治以来当たり前のように受け入れてきた、西洋絵画の明暗法や陰影法や透視法にしばられてカメラのレンズのように固定してしまった眼を、もっと自由にしなければならない。

参考に紹介された、建築家磯崎新の『見立ての手法』を是非読んでみたいと思います。

会期は3/9(金)まで。


“Woman Mounting a Chariot”

2018-03-07 01:11:56 | 作品
創作に疲れたら、ひたすら模写。

Edger Degas “Woman Mounting a Chariot” 1860-61
(エドガー・ドガ『戦車に乗り込む女』)

ちなみに、絵を描く人にはおなじみの、マゼンタ、ビリジャン、セルリアンブルーなどの絵の具が工業化されたのが、今から150年前の1860年代だそうです。