くせじゅ文庫

久世樹(Que sais-je?)の画文集です。

余寒あり

2021-03-01 20:28:00 | 雑記
鎌倉を驚かしたる余寒あり【高浜虚子】

 昨日の拙句《余寒あれど若木はそれを待ち切れず》は、散歩中に虚子先生のこの名句が浮かんで、閃いたものでした。

 余寒(よかん・立春後になお残る寒さ、春の季語)が気になって、東京の2月の平均気温を調べてみました。気象庁の統計によれば、1920年の2.6℃が2020年には8.3℃に、何と100年で5.7℃も上がっていました。

 やはり地球温暖化は他人事(ひとごと)ではないと、学生時代の友人に勧められて読み終えたばかりの今話題の『人新世の「資本論」』(集英社新書、2020年9月刊)が甦りました。著者の斎藤幸平氏はまだ34歳の新進気鋭のマルクス経済学者とか。これまでのマル経とはまったく次元の違う、文字通り「人新世」(地質学用語で「ひとしんせい」と読むんだそうです)の知性に、これからはミレニアル世代やZ世代の「ジェネレーション・レフト」が世界を動かしてゆく時代なのだなあと、つくづく感じました。何が問題なのかわからないまま退場した五重丸委員長の世代に、どちらかといえば我らも近いことを自覚して、あまり邪魔にならぬよう、ひとつ俳句でもひねって過ごすことにいたしましょう。

その苦味次の世代へ蕗の薹【久世樹】