2006年7月フィラデルフィアで開催された第34回ワールドオープントーナメントに参加した羽生さんは、国際マスターノーム(IM norm)を獲得した。現在ファイドマスター(FM)の羽生さんがまたnormを獲得すればIMに昇格する。
ここで羽生さんが英語のインタビューに応えているんで通訳してみたい。
http://www.thechessdrum.net/
~/tournaments/WorldOpen2006/interviews/Yoshiru_Habu.mp3
インタビュア(以降I):
ダアイム・シャバスです。ペンシルバニア州フィラデルフィアで開催中のワールドオープンチェストーナメントの会場にいます。第8ラウンドがちょうど終了し、最後のラウンドを残すのみです。今回のインタビューでは、日本から参加されている羽生善治さんに来ていただきました。羽生さんは将棋のプロ棋士で、過去何回か、このワールドオープントーナメントに参加されています。それでは彼に、いくつか質問してみたいと思います。では始めに、ワールドオープントーナメントに参加されているわけですが、プロの将棋棋士でもあるのですよね。
羽生さん(以降H):はい。
I:将棋とチェスの似ているところを教えてもらえますか?
H:共通している点は3つのピース(駒)で、キング(王将)、ルーク(飛車)、ビショップ(角)です。これらのピース(駒)はまったく同じ動きです。最も異なる部分はピース(駒)の使い方です。最も異なるというのは、ピース(駒)を取ったらもう一度盤上で使えるからです。
I:つまりピース(駒)を取ったら、もう一度自分のピース(駒)として使えるわけですね。
H:クレイジーハウスのようなと言えばいいでしょうか。
I:うん?ああ、バグハウスのことですね?
H:あ、そうです、そうです、バグハウスです。
I:チェスを始めて何年になりますか?
H:6年くらい前にシカゴオープンに参加しました。それが最初の国際トーナメントです。一年に1~2回、外国のトーナメントに参加しています。
I:このワールドオープンには何年前から参加されていますか?
H:今回で二回目です。最初は3年前で、今回が2回目です。
I:前回羽生さんが参加されたときのことを覚えていますよ。そのときの大会記事を書きまして、羽生さんの写真と記事を載せました。羽生さんが有名な棋士だということを知っている人はたくさんいました。羽生さんは最高の将棋棋士だと評されています。将棋のチャンピオン(名人?)をどうやって決めるか説明してもらえますか?
H:ちょっと聞き取れませんでした。もう一度お願いできますか?
I:将棋のチャンピオン(名人?)にはどうすればなれるのですか?
H:ああ、わかりました。まず10代のうちに将棋の養成所である奨励会に入るんです。そこには年齢制限があって、26歳までにプロである四段にならないといけません。将棋連盟にプロとして認めてもらうのです。そこから昇級といいますか、5つのクラスがあって、C2から始まって、C1、B2、B1、A級と進みます。A級は10人で、最終的にA級の勝者と名人が戦って、チャンピオン(名人)を決めます。
I:最初にチャンピオン(名人)になったのは、何歳の時ですか?
H:23歳のときになりました。
I:それまでの最年少のチャンピオン(名人)でしたか?
H:いえ、20年ほど前に違う人が21歳でチャンピオン(名人)になっています。
I:わかりました。ところで、チェスは将棋に役立ちますか?
H:始めたときは何か将棋の役に立つと思っていました。今は全く違うゲームだと思っています。でもこの2つのゲーム、将棋とチェスを比べるのは面白いです。戦略とか、何て言うんですかね、習慣とか、プロの世界とか、何が違うのかいつも比べていますね。
I:日本では、チェスは人気のあるゲームですか?
H:競技人口は1万人くらいだと思います。でも本当によく対局している人は100人以下だと思います。
I:100人以下ですか?
H:少ないです、ホント少ないですね。
I:チェスに関して何か抱負はありますか?例えば目的だとか、達成したい目標などはありますか?
H:トーナメントはいつも楽しむようにしています。チェスにはプロとアマの境がないので、うまく行けば私でもかなり高いレベルにあるグランドマスターと対戦できますからね。これはオープントーナメントで楽しみなことなんです。
I:日本にはたくさんのファンがいるので……サインをお願いされたりしますよね?
H:そうですね。
I:ここでは落ち着いていられると思いますがいかがでしょう。それともこのトーナメントでたくさんの人が会いに来たりしますか?
H:そんなに多くはありません。でも何といいましょうか、外国で将棋をする人は大抵チェスもします。ごく稀に自分を見つけて「羽生さんですよね、私も将棋が好きなんです」と声をかけられます。でも稀ですね。
I:ローレンス・カウフマンという方をご存知ですか、IM(国際マスター)で将棋も指します。彼と日本で対戦したことはありますか?
H:ええ、10年ほど前駒落ちで対戦したことがあります。カウフマンさんは日本以外ではトッププレイヤーですよ。
I:それは凄い。さて、将棋を習おうと思ったら、一番良い方法はなんでしょう。
H:そうですね、何て言いましょう、最初は基本的な戦術を勉強することでしょうか、後は囲いを作るとか、駒を犠牲にすることを恐れないことでしょうか?ポーン(歩)は最も重要ですね。その後はたくさん対局することです。それが上手くなるのに最も良い方法だと思います。
I:アメリカにはこのトーナメントのためだけに来られたのですか?
H:ええ、これだけです。
I:をを、そうなんですか(ちょっとびっくりって感じ)。米国滞在中に他にインタビューの予定はありますか?
H:いえ、これが最初ですね。でも今までに5~6回はアメリカのインターナショナルトーナメントに参加しています。
I:質問は以上です。お時間ありがとうございました。このインタビューは thechessdrum.net で公開されます。きれいに編集しておきます。名刺をいただきましたので、サイトへのリンクを後でお送りします。それでは気をつけて日本へお帰りください。ありがとうございました。
ここで羽生さんが英語のインタビューに応えているんで通訳してみたい。
http://www.thechessdrum.net/
~/tournaments/WorldOpen2006/interviews/Yoshiru_Habu.mp3
インタビュア(以降I):
ダアイム・シャバスです。ペンシルバニア州フィラデルフィアで開催中のワールドオープンチェストーナメントの会場にいます。第8ラウンドがちょうど終了し、最後のラウンドを残すのみです。今回のインタビューでは、日本から参加されている羽生善治さんに来ていただきました。羽生さんは将棋のプロ棋士で、過去何回か、このワールドオープントーナメントに参加されています。それでは彼に、いくつか質問してみたいと思います。では始めに、ワールドオープントーナメントに参加されているわけですが、プロの将棋棋士でもあるのですよね。
羽生さん(以降H):はい。
I:将棋とチェスの似ているところを教えてもらえますか?
H:共通している点は3つのピース(駒)で、キング(王将)、ルーク(飛車)、ビショップ(角)です。これらのピース(駒)はまったく同じ動きです。最も異なる部分はピース(駒)の使い方です。最も異なるというのは、ピース(駒)を取ったらもう一度盤上で使えるからです。
I:つまりピース(駒)を取ったら、もう一度自分のピース(駒)として使えるわけですね。
H:クレイジーハウスのようなと言えばいいでしょうか。
I:うん?ああ、バグハウスのことですね?
H:あ、そうです、そうです、バグハウスです。
I:チェスを始めて何年になりますか?
H:6年くらい前にシカゴオープンに参加しました。それが最初の国際トーナメントです。一年に1~2回、外国のトーナメントに参加しています。
I:このワールドオープンには何年前から参加されていますか?
H:今回で二回目です。最初は3年前で、今回が2回目です。
I:前回羽生さんが参加されたときのことを覚えていますよ。そのときの大会記事を書きまして、羽生さんの写真と記事を載せました。羽生さんが有名な棋士だということを知っている人はたくさんいました。羽生さんは最高の将棋棋士だと評されています。将棋のチャンピオン(名人?)をどうやって決めるか説明してもらえますか?
H:ちょっと聞き取れませんでした。もう一度お願いできますか?
I:将棋のチャンピオン(名人?)にはどうすればなれるのですか?
H:ああ、わかりました。まず10代のうちに将棋の養成所である奨励会に入るんです。そこには年齢制限があって、26歳までにプロである四段にならないといけません。将棋連盟にプロとして認めてもらうのです。そこから昇級といいますか、5つのクラスがあって、C2から始まって、C1、B2、B1、A級と進みます。A級は10人で、最終的にA級の勝者と名人が戦って、チャンピオン(名人)を決めます。
I:最初にチャンピオン(名人)になったのは、何歳の時ですか?
H:23歳のときになりました。
I:それまでの最年少のチャンピオン(名人)でしたか?
H:いえ、20年ほど前に違う人が21歳でチャンピオン(名人)になっています。
I:わかりました。ところで、チェスは将棋に役立ちますか?
H:始めたときは何か将棋の役に立つと思っていました。今は全く違うゲームだと思っています。でもこの2つのゲーム、将棋とチェスを比べるのは面白いです。戦略とか、何て言うんですかね、習慣とか、プロの世界とか、何が違うのかいつも比べていますね。
I:日本では、チェスは人気のあるゲームですか?
H:競技人口は1万人くらいだと思います。でも本当によく対局している人は100人以下だと思います。
I:100人以下ですか?
H:少ないです、ホント少ないですね。
I:チェスに関して何か抱負はありますか?例えば目的だとか、達成したい目標などはありますか?
H:トーナメントはいつも楽しむようにしています。チェスにはプロとアマの境がないので、うまく行けば私でもかなり高いレベルにあるグランドマスターと対戦できますからね。これはオープントーナメントで楽しみなことなんです。
I:日本にはたくさんのファンがいるので……サインをお願いされたりしますよね?
H:そうですね。
I:ここでは落ち着いていられると思いますがいかがでしょう。それともこのトーナメントでたくさんの人が会いに来たりしますか?
H:そんなに多くはありません。でも何といいましょうか、外国で将棋をする人は大抵チェスもします。ごく稀に自分を見つけて「羽生さんですよね、私も将棋が好きなんです」と声をかけられます。でも稀ですね。
I:ローレンス・カウフマンという方をご存知ですか、IM(国際マスター)で将棋も指します。彼と日本で対戦したことはありますか?
H:ええ、10年ほど前駒落ちで対戦したことがあります。カウフマンさんは日本以外ではトッププレイヤーですよ。
I:それは凄い。さて、将棋を習おうと思ったら、一番良い方法はなんでしょう。
H:そうですね、何て言いましょう、最初は基本的な戦術を勉強することでしょうか、後は囲いを作るとか、駒を犠牲にすることを恐れないことでしょうか?ポーン(歩)は最も重要ですね。その後はたくさん対局することです。それが上手くなるのに最も良い方法だと思います。
I:アメリカにはこのトーナメントのためだけに来られたのですか?
H:ええ、これだけです。
I:をを、そうなんですか(ちょっとびっくりって感じ)。米国滞在中に他にインタビューの予定はありますか?
H:いえ、これが最初ですね。でも今までに5~6回はアメリカのインターナショナルトーナメントに参加しています。
I:質問は以上です。お時間ありがとうございました。このインタビューは thechessdrum.net で公開されます。きれいに編集しておきます。名刺をいただきましたので、サイトへのリンクを後でお送りします。それでは気をつけて日本へお帰りください。ありがとうございました。