蝸牛のこちょこちょ

みずしろの普段着物と手仕事と好きなものの記録。

パッチワークと指ぬき

2022年02月25日 | 作ったもの
 繰り回しの一環でパッチワークにも戻ってきました。
 学生時代に一時期ハマってたんですけど、大きな布をわざわざ刻むのに何か違和感があったんですよね。当時から。
 で、しばらく離れてました。洋裁しなくなったら不定形の端切れが出ないものだから余計に。
 それが先日、いわゆる「パッチワーク用カットクロス」の使いかけをいただいて、久しぶりにやるかーとなったわけです。

 
 ガッタガタだけど(笑)
 一番シンプルなナインパッチのコースター。友達とオンラインでおしゃべりしながらひたすらトップだけ縫ってました。

 
 一枚はもう一周つけ足してポットマットにします。これは布を並べて考えてる途中。

 で。
 実はわたし、キルティングがものすっごく、そりゃあもう、出来るならやりたくないくらいに、苦手でして。
 苦手というより、やり方分かんなかったんです。針仕事は家庭科でしか習ってないんですけど、キルティングは含まれてなかったんだよなあ。(ちなみに和裁もうちの学校では教えてくれませんでした)
 仕方なし自己流でやってみたけど、学生の頃にインターネットなんかないし、本を見ても「シンブルで針を受けながら」くらいの説明で、全く分からず。もちろん当時の本にはDVDもついてません。
 出来ないから、もう一目ずつ針を刺しては抜き、まるで刺繍です。時間かかるったらありゃしない。一体どうやってベッドカバーなんか縫ってんだろうと不思議で仕方なかったんです。

 今回、そういえばわたしキルティング出来ないんだった、と思い出して、もう一度調べてみたら、今度はあちこちに説明があります。ネットってすごい。
 ただそれでもまだ、具体的に何をどうしていいのかわかりませんでした。苦手な動画も見たけど、なんで針が上がってくるのかどうしても理解できない。
 ええいもういいや。
 PCを閉じてひたすら縫いました。わかんないけどなんかこう当ててこうしてた。針はこう持って。たぶん。
 二時間ほどやってたら、突然わかりました。
 説明できないんですけど、急に縫えるようになったんです。自転車に乗れるようになった瞬間みたい。
 一度わかれば後は慣れるだけ。今度は逆に、なんで出来なかったのかわからなくなります。人間っておもしろいなー。

 とあるブログで、陶器の、それも針を受ける窪みがついてないシンブルがあるのを知りました。おちょこを逆さまにしたみたいな形だなと思ったら、ほんとに日本の有田焼だった。
 そのブログには、他にもどの指にこれを嵌めて、こっちの指にはこれとこれを重ねて、と、なんかすごい重装備が必要と書いてありました。全部揃えたらすごい重量と金額になるし、だいたいそんなゴムと金属とか重ねてたら指蒸れる!(ものすごい汗かき)
 無理。

 というわけで、いつものアルモンデ代用スタイル。

 
 こんなん作ってみました。

 
 
 革は和裁用の「指皮」です。本来は輪っかに縫って使うやつ。
 それを縦に中指に被せて、足りないところはバイアステープの切れっぱしを無理やり縫い付けてサック型にしました(笑)
 普段の和裁用指ぬきの範囲もカバーしたかったので指の甲側は長めに。逆に指の腹側は、わたしはごく先端しか使わないので短め。
 撮影の都合で左手に着けてますが、わたしは右利きなので実際には右手の中指に嵌めます。
 左手の中指で針を受けるので、そこには金属のシンブル。クロバーの、先が平らなタイプ。
 この二つを嵌めるだけで十分縫えるようになりました。やった!
 自作のほうは、やっぱり側面にも革欲しいな……という時があるので、あとで革の端切れを縫い付けようと思います。薬指側には要らないから、指皮の余りの欠片で十分(そんなんまでとっておく自分も自分だが)
 楽しい。

 ……とか言いつつ、さっき陶のシンブル、結局ポチっちゃったんですけどね。
 物欲、無限。

繰り回し

2022年02月25日 | 普段着物
 モノを最後の最後まで使い切るというのに物凄く憧れがあります。
 理想は江戸時代の究極のリサイクル社会。

 できるとこからと、せめて糸と布を、最後の最後まで使おうと頑張っています。

 
 こちら、糸の繰り回し。
 着物をいろてると色々と解きものが多くなります。まだまだしっかりしている糸は、なるべく長く解いて、こうやって巻いておき、次のしつけや糸印、半衿付けなどに使います。
 けっこう長持ちするんですよ糸。つよい。
 ちなみに巻いてるのはお菓子の空き箱。市販のカード巻きの糸みたいなゴッツい板紙より、薄手のもののほうが扱いやすいので、空き箱が出ると短冊に切ってストックしてます(やりすぎるとストックだらけになるので程々で古紙回収に回します・笑)
 糸を巻く時は玉結びを片方の端に作っておくと次が楽です。必要な長さをサッと使えてめっちゃ便利。
 それでも玉止めして次解く時それを切ってとやってると少しずつ短くなりますし、弱ってもくるので、縫い糸としてはもう無理だなとなったら、次。

 
 (針目は見ちゃだめです)
 これは以前解いた黒地の銘仙の八掛。そう、あの虫食いでボロボロになってたモスリンです。
 一度きれいに洗って、特にボロボロのところだけ切り取って、重ねてたたんで、その上から端糸で刺し子をしています。
 端糸も端糸、もう毛羽立って縫い物には使えない糸や、針にほんの10㎝ほど残ってしまった糸など、どうにも他に使いようのないもの。でも、もったいないなとずっと思ってたんですよね。特に絹、お蚕様の命いただいて作ってんだし……。
 この方法を知った時は飛び上がりました。
 モスリンは元々が薄くてやわらかい布だし、更に穴だらけで、そのままではとても布として使えませんが、こうして重ねて刺し子をするとびっくりするくらいしっかりしてくるんです。もうそろそろいいかな。
 手のひらサイズのこれはインコの食器洗いになります。もちろん使い捨てではなく、洗って何度も使うものです。
 それも無理なくらいになったら最後はバーベキューの焚きつけです。
 ちなみにもう針にも通せない糸くずや繊維くずなんかも焚きつけ行きです。チャークロスとか、麻紐の解したのとかわざわざ用意せんでも、メタルマッチ用の火口には事欠きません。よく燃えるんだこれがまた。
 ただしウールや絹が混じってるとチト匂いますので、動物性の繊維はなるべく別に分けて針山の中身行き。綿や麻を火口にします。
 まあ、わたしはたいてい気にせんと混ぜちゃうんですけども……(雑)

 そんなこんなで。
 今年は洋服買わないチャレンジをしようと思ってます。もうすぐ二か月クリア。
 ついでに化学繊維買わないチャレンジもしてみようかな。
 古着物は含まれない辺り、断捨離には程遠いんですが……(ポチー)

単衣と針山とその他もろもろ。

2022年02月25日 | 作ったもの
 また全く外出できなくなってしまいまして。
 ま、出られんだけで皆元気、ありがたいことです。幸い、家にいてもやりたいことは山のようにあるし(笑)

 で。
 銘仙は相変わらず八掛を買いに行けず、しばらくお預け。雪が続いて洗い張りもできず、アイロンで伸ばしてしまいました。伸子はもうちょい暖かくなってからですね。
 その前に単衣で練習しておきましょうと更に手を付けたのがこちら。

 
 解く前を撮ってなかった……。
 随分前に確か古着屋で買った男物の単衣です。素材がどうも分からなくて、折り目のつかなさはウール、柔らかくてしんなりした感触はレーヨンに似てるんだけど、ウールのチクチクはないし、レーヨンにしては縮まないし、燃焼試験をしてもアセテートの匂いではない……。なんだろうこれ。
 とりあえず埃っぽかったので一度洗いました。いつも通り、まず下前の衽だけ洗ってみてテストしてから。
 匂いもほぼなく、水には青ではなく茶色の、植物のアクによく似た色が少し出ました。……まさか、本藍? 縫製もめちゃくちゃ綺麗だったけど。まさかな……。

 
 解きものスタイル。実際はもうちょい広げますが。
 使うのはリッパー、毛抜き、はさみ、デザインナイフ。布の上に乗ってるのが目打ち。
 古い着物は、縫い糸がガッチガチに固まってしまってることがままあります。糊でもつけたかと思うくらいカチンコチン。あるいは袖のかんぬき止めなど、盛り上がるくらいぐるぐる巻きにしてあったり。そういうのはリッパーもはさみも入らないので、デザインナイフの刃を糸の繊維に当ててそうっと切ります。押したり引いたりせずにただ当てるだけ。切れ味のいい刃はナイフ自体の重みだけでスッと切ってくれます。
 あとはひたすら使いやすいものを使って解くだけ。

 
 これ肩当て布です。こんな凝ったの初めて見た。すごく丁寧にいせ込んで形作ってあって思わず撮ってしまいました。
 やっぱ結構いい着物なんかな、こんな上質なつくり……。解いちゃったけど(
 とてもとても及ばない技術ではありますが、大事に縫い直します。

 
 教本には新しく仕立てる方法は載ってますが、仕立て直しは載ってないので手探りです。
 いま両方の衽がついたとこ。絎け縫いはまだ。
 単衣は難しく考えるところがほぼ無くて、ひたすら運針と絎け縫いをしているといつの間にか形になってるから好きです(笑) 袷はどうにも順番が呑み込めなくてですね……。本によって書いてあること違うし(笑)


 この途中まで、針山はミニチュアの植木鉢に原毛を詰めて軽くフェルト化させたものを使ってました。
 かわいいんですけど、針の先が素焼きの鉢に当たってガリッというのがどうしても気になって、作り直し。
 
 真ん中奥が今までの、右手前が新しいものです。
 箱は常備薬の外箱を浅く切って布を貼りました。中身は戴きものの端切れ(正絹八掛の端っこ)を丸く縫って原毛を詰めたもの。柔らかめに作ったら、なんか小鉢に大福入れたみたいになりました(笑)
 針はもう和針ばっかりです。まち針はパッチワーク用の細いの。

 
 まち針は五本一組で出して、戻してないのが一目でわかるように、五弁花のかたちに刺します。
 作業中はアイロン台なんかに仮に刺すことも多いんですが、ふと見たら影が可愛かったので。
 ところで五弁花、なに連想します? わたしどうしても梅なんですけど、母はイチゴだって。

 
 これは人形の着物を縫ってるとこ。あんまり小さくて普通のかけはりでは邪魔になるので、アイロン台にミニクリップを留めてみたらいい感じ。
 
 普通のかけはり。結局新調しました。
 うちのテーブルはどうも厚かったり形状が特殊だったりで、クランプ式のくけ台が固定できないので、これもアイロン台にくっつけてしまってます。
 このままでは動いちゃうので上に針箱やら本やらドサドサ置いてて、なんか、スマートでないんですけど、やむなし。


 そんな感じで、ちまちまちまちま縫ってます。
 単衣の季節のころには、普通にお出かけできるようになってるといいなあ。