蝸牛のこちょこちょ

みずしろの普段着物と手仕事と好きなものの記録。

越前大野、プチ自転車旅

2023年11月20日 | 自転車
 
 前日に思いついて県内小旅。
 同じ嶺北に住んでいながらあまり行ったことのない大野へ、ボードウォークを連れて行ってきました。

 
 出発地点は「道の駅 越前おおの荒島の郷」。21年4月に開業したばかりの新しい道の駅で、県内唯一のモンベルストアが入っています。
 広大な駐車場の、店舗群から一番遠い端にクルマを停めさせてもらい、積んできた自転車を出……いや待って何この北風。

 寒。
 息白いやん。

 あまりの寒さに思わず一度車内へ取って返しました。一瞬、今日はもうモンベルで買い物して帰ろうか……とも思いかけましたが、行ってみてダメだったら戻るでいいやと思い直し、震えあがりつつなんとか準備を済ませて出発。自転車だとどう通るのが正解なのかよくわからないので自動車と同じようにラウンドアバウトを抜け、適当に「あっちが市街地っぽいな」という方向へ緩い坂を下って行きます。
 走り出して数分もしないうちに「なんかいま家の間にいい感じの農道見えたな」と一度通り過ぎた辻へ取って返し、民家の間の小さな坂を上った瞬間。

 
 本日優勝確定。

 
 
 
 最高。こういうのを求めてるんだよあたしは!!

 
 
 しかしあちらこちらに鈴生りの柿。これは……。
 案の定、わたしがこの辺りを通る一時間ほど前に、近くで熊の目撃情報があったようです(帰ってから判明)。
 予測は出来たので出発時から熊鈴をつけ、視界を遮る木立や藪があれば自転車のベルも鳴らしてから注意深く通るようにしていました。幸いわたしは遭いませんでしたが、あちらからは見えていたかもしれません。

 
 
 
 広々とした景色を堪能しながらのんびり下っていくと自然に市街地のほうへ向かいます。真名川を渡り、街っぽい家並みが見えるほうへぶらぶら。

 あ、この日は「何処へ行く」とか「何を見る」とか、一切決めてません。一応紙の地図帳(だいぶ前に廃盤)だけ持ってるけどほぼ見てない。スマホの地図アプリも封印(どうしようもなくなったら使うけど)。
 適当にふらふら気の赴くままの自転車散歩です。徘徊に近いかもしれない……(笑)
 どうも自分、こういう積極的迷子状態が結構好きみたいです。

 そんな状態なので何処をどう走ったのやらイマイチ把握していないままフラフラ走っていたら「宝慶寺 1.3km」の標識。大きいお寺なのかな、行ってみようと中心市街地と逆方向に曲がったのですが、明らかに1.3km以上走ってもそれらしいのが見当たりません。へんだなと思いつつ次の大通りまで出てしまい、そこで見つけたのは「宝慶寺 11km」との表示……えーと、もしかしてさっきの、13km、だった、ですね?(笑)
 さすがにここからまだ10kmも山道を行くのは無理だなーと今回は断念。あとで調べたら永平寺に次ぐ曹洞宗の第二道場だとかで、次の訪問の楽しみが増えました(どのくらいの登坂があるのかは考えないでおきます)

 
 近くに高い梢が見えたので惹かれて行ったら大きな公園に出ました。奥越ふれあい公園というらしい。
 公衆トイレがあったのでお借りして、木陰で水分補給休憩。今回は利用しませんでしたが、自販機もありました。
 
 折り返し、先ほど来た道の一本西側を北上します。さっき曲がった辻に、宝慶寺とほぼ逆方向へ「七間朝市・結ステーション」の案内が出ていたので、そちらへ行くことに。
 相変わらず何号線をどう走っているのか分かりませんが、太陽が出ていて時計を持っていれば方角はわかりますので後は勘。超アナログ。

 やがて道端に、やけにかわいらしい消火栓が目立つことに気付きました。
 
 地中式じゃなく敢えて露出させてるのは豪雪地帯だからかな……? この色なら雪を被っても目立ちそうですしね。
 それにしても数が多い。幾度も大火を経験しているからでしょうか。

 
 ちなみに、大通りに入ると消火栓はこんな色に。
 かなり徹底して街の色彩、建造物を規制している印象です。よく見る鉄板の四角い設備にも茶色の地塗りになまこ壁を模したペイントを施してあったりして、洒落てます。

 やがてJRの越前大野駅に出ました。来る前に見ていた地図で、このあたりの位置関係は朧げに把握しています。
 記憶を頼りに左に折れるとすぐこんな標識が。
 
 自転車専用レーン!
 存在は知っていましたが実物は初めて見ました。しかもこの先で道幅はぐっと広がり、歩道も広くなって、舗装もきれい。すごい。
 観光客らしい県外ナンバーの車が何台も自転車専用レーンを盛大に塞いでいたのはちょっと残念でしたが、クルマだと駐車場を探すにも一旦停まる場所を探さないといけない、知らない土地でのその不便さは自分もよくよく知っておりますので、実際難しいとこですね。あと多分大多数の日本人、自転車専用レーン知らないと思われます。滅多に無いもんな……。

 とろとろと道なりに走っていたら、あ。
 
 大野城だ!
 この付近には観光向けの施設と行政施設が集中しています。お土産屋や観光案内所の入った結楽座、商工会議所やコミュニティセンター、生涯学習センターなど。近くに武家屋敷もあるのですが、現在休館中とのこと。メンテ明けにまた伺います。
 ちなみにここは「六間通り」といい、もう一本北が七間通りだそう。次は朝市にも間に合う時間に来てみましょ。
 
 
 なんとなし惹かれた細路地に入り込んだらお寺がありました。何やら団体?がいらしたので伺いはせず、一礼して徘徊……もとい散策を再開。
 
 
 
 わかりやすい案内板を見つけ、それに従って行くとすぐに御清水がありました。
 至る所に清冽な地下水の湧く名水のまち大野、そのなかでも多分一番有名なのがここ。小学生か中学生のころ社会科見学で来たような朧げな記憶が……あったんですが、こんな立派な施設だったかな?(何十年前の話だと思ってるんだ)
 湧水の傍らの祠にお参りしてから、ちょうど持っていた飲みかけのミルクティーのボトルを飲み干して濯ぎ(もちろん濯ぎ水は飲みました。薄まってても地面に流したらあきまへん)、備え付けの柄杓をお借りしてお水をいただきました。さっぱりして癖がなく、いくらでも飲めそう。美味! 今度はちゃんと洗った空のボトル持って行こうと思います。
 後で知ったのですが、先ほどの交差点近くの結楽座では、そういう需要を見越して最初から空のペットボトルを売ってました(笑) かしこい……。

 それにしても案内板が至る所に立っていて、無計画でも散策しやすいです。しかもあちこちに立派な和風建築の「無料休憩所」が。今回は利用しませんでしたが、暑い時、歩き疲れた時、通り雨など、さぞかし助かるだろうと思います。なんて親切なんだ大野……。

 案内板のおかげで、すぐ近くのこちらへも伺うことが出来ました。
 
 
 朝倉義景公の墓所です。
 一乗谷を拠点にした戦国大名朝倉氏の最後の御当主ですが、亡くなったのはここ大野。御母堂と奥方、幼かったお子さんのお墓も一緒に建てられていました。
 
 
 墓所のすぐ前には小さなお庭。どことなく一乗谷のお屋敷跡の庭園に似た、静かで美しい場所でした。

 
 お参りをしてから、ぶらぶらと細路地伝いにお城のほうへ戻ります。
 大手門のあったところは広場になっていて、かつての外堀だった百間堀も一部ですが残っています。綺麗にしてあるなあ。
 
 
 

 広場のベンチで少し休憩したあと、お城にはどうやって上るのかなと案内板を探したら、どうやらこちらの神社「柳廼社」が登り口になっている模様。
 
 タイムリミットがあったため今回は登城を諦め、神社にだけお参りしました。
 
 
 
 
 神社の敷地内になんだか古そうな建物……と思ったら、明治時代の旧裁判所の建物だとか。いまは大野市民俗資料館になっています。
 こちらにも団体さんがいらしたので中はまた今度。外周に古い農機具などが無造作に置かれてます。好きだなあ、こういう雰囲気。

 
 拝殿は雪囲いの支度中でした。
 
 石灯篭にも雪囲い。このあと上に菰でも掛けるのかな。このあたりの積雪量だと、いたみますもんね……。
 
 今年はやはり紅葉が遅い。雪深い奥越でもまだ七分といったところですが、ぽつぽつと美しい赤や黄に染まった樹がありました。

 さて、この辺りから急にどどっと団体さんが押し寄せて来られたので、お邪魔にならないよう早めに退散。
 路地にもガイドさんを伴った方々やウロウロとおぼつかない運転のレンタカーなどが見えたので、今日の城下町探索はこのへんにしておきます。次は平日にゆっくり来られたらいいなあ。

 
 街角のカフェ前にも当然のようにサイクルラック。さっきの神社にもありました。
 もちろんレンタサイクルもあります。全体にすごく自転車での観光がしやすい街という印象。
 でも土曜日だってのに全然自転車いない!(笑) 裏通りにいたのかもしれませんが、地元の方と思しきママチャリや学生さんのクロスしか見かけませんでした。風が強かったからかなー。
 
 
 この日初めて地図を見て(笑)、一応帰る方向を確認して、道の駅に向けて出発。いうてもほぼ全行程で荒島岳が見えてるので迷いようがないんですが。
 道路ひろーい! きれーい! だーれもいなーい!(笑)
 
 
 
 
 こんなに快適な道路なのに写真撮りまくりで全然スピード出ません。いいの、これが楽しいんです。
 
 
 往路がほぼ下り基調だったということは当然、復路は上り基調です。しかしそれも下って来るとき思ったほどの斜度ではなく、とろとろころころとゆっくり漕いでいれば特にギアを軽くしなくても上がれる程度。あれ何%くらいの坂なんだろなー。ちなみに体感はせいぜい2~3%。
 こんなあたりもサイクリング向きなんだなー、大野。
 
 
 幸いこの頃には気温もかなり上がっていて、上着を脱いでちょうどいいくらい。実に快適に道の駅に戻ってまいりました。
 
 荒島岳どーん。

 
 自転車はここでクルマに積み込み、遅いお昼を道の駅のベルサイドカフェでいただきました。
 九頭竜舞茸と大野味噌のクリームパスタ。奥越の滋味がじんわり沁みて美味しかったです!
 あ、ネコザメはいつものおともです。

 あとは中部縦貫自動車道利用で自宅まで僅か30分。細く、決して整備も良くはない道をくねくねと曲がって1時間くらいかかっていた開通以前を思うと雲泥の差です。
 冬には同じ道をスキーに通うことになります。よろしく頼むよ。

 
 そんなわけで、突発にもほどがあるプチ旅でしたが、いや、楽しかった!
 大野、めっちゃいいとこやん……。今までほとんど知らんでごめん。
 すごい気軽に通える距離なのもわかったので、これからちょいちょい伺うと思います。まだまだ見てないとこいっぱいあるしな!

 
 またね!


 
 

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