蝸牛のこちょこちょ

みずしろの普段着物と手仕事と好きなものの記録。

おりたたみ自転車と沖縄行ってきた その2

2023年11月03日 | 自転車
 2日目。
 気が逸って5時半に起きたらまだ真っ暗。そうだ西は日の出が遅いんだった……(学習しろ・その2)
 ゆっくりと身支度をし、今日のルートを確認します。
 今回の目的の一つが、先祖が暮らしていた土地を訪れること。今年に入ってから判明したんですが、父方のルーツの一つがこの島にあり、姓と同じ地名が今も残っているというのです。それは行かねばなるまいよ。

 
 日の出を待って出発。まずは泊港をぐるりと回っていきます。こちらは泊いゆまち。

 
 駐車場ですごく雰囲気のいい焼き芋屋さんが炉に薪をくべているのに出くわし、声を掛けたら快く写真を撮らせてくださいました。が、朝早すぎてまだ焼けていなかったので、再訪を誓ってお別れ。

 
 
 なうら橋を渡ってからは適当に58号線に戻り、適当に北上。写真を撮りまくりながらなので時間がかかるかかる(笑)

 
 
 ほんとに石灰岩の島なんだよなあ。

 
 
 この「THE☆南国」な街路樹すき。

 
 朝は晴れ間も見えたんですが、雲行きはだんだん下り坂。そして第一目的地の北谷に着くころには結構しっかりめの雨が……。

 
 そんな中でもつい岩に惹かれてしまう。

 
 アラハビーチの屋根付き東屋?で雨宿りし、小降りになったあたりでアメリカンビレッジに向かいました。

 
 
 
 この感じは……マイアミとロス、そしてニューオーリンズ? いろんな雰囲気の建物が入り混じった、本当に異国の街でした。ぽつぽつと開店し始めていたカフェのお客さんも欧米やアフリカ系のお顔立ちが多く、聞こえてくるのもほぼ英語。
 
 
 
 懐かしい雰囲気で思いがけずくつろいでしまい、海辺でのんびり長めに休憩をとりました。
 今度はこの近くに一泊したいですね。お酒が飲めるように()

 小腹も満たされ、雨も上がってきたので、よいしょッと気合いを入れて再出発。
 ここからはしばらく登坂です。ヒルクライム勢からすれば何ということのない緩坂でしょうし、内地の山岳地帯に比べればごく短距離で終わるんですが、普段沖積平野のド平坦しか走らないヘボ脚にとっては十分なハードル。
 最初は机上で計画していた交差点から東へ折れようとしたんですが、目の前に出現した異様な急坂+先が見えない猛カーブに一瞬で計画を変更してもう少し北上、国体道路から北東へ進むことに。これが結果として正解で、ほぼ大通りだけを通り、名前のついた交差点で曲がり、迷わずに行けました。
 押し歩きはほとんどせずに頑張れたけど、まあなにしろ暑い! そりゃ地元はもう最高気温が20℃に達しないころ、こっちは熱帯夜で最高気温は29℃。暑いに決まってます……。こういうのは真冬にやるべきでしたね!w(※ただし北陸民にとっては冬も十分暑い、それが沖縄)

 
 
 ヘルメットにめっちゃ当たるんだ、このヒゲ根が(笑)

 
 また晴れて来た。嬉しいけど、暑い!
 そしてどうやら沖縄市に入ったようです。登坂も一旦落ち着き、あとはアップダウンはあるものの基本的には下り基調。しかしあまりの暑さに体力ゲージが一気に減って行きます。
 道沿いにコンビニがあるのを予め調べてあったので、補給には困らずに済みました。ボトルケージもう1つ欲しいな、やっぱ……。
 
 
 沖縄は少し大きい道路にはもれなく歩道が付いている印象で、那覇などの大都市部を離れれば歩行者も自転車もほぼおらず、楽ではあります。が、この路面。
 分かりにくいですが落ち葉だけでなく木の根も元気いっぱいで、至る所で舗装を持ち上げ、ガッタガタのボッコボコ(笑) 細いスリックタイヤだと相当辛そう。

 
 路肩はジャングル。そして降り注ぐ蝉の声。
 ほんっとうに地元と植生が100%違う。雑草も見慣れたものがひとつもないんです。生態系が全く違うんだなと改めて思い知りました。
 こんなクワズイモ科の何からしきもの、地元じゃ温室でしか見たことないよ……。

 
 
 川の姿も見慣れたものとまったく違う。橋がなかったら川って分かんないです、これ。比謝川っていうらしい。

 
 途中あちこちで見た標識。
 この陽射しと島中どこに居ても塩を含んだ強い風、そして時に台風。そりゃ傷みも早かろうと理解は出来ます、が、……なんもわかんない(笑)
 しゃーないので、こまめに地図を出してコンパスを出して確認しながら進みました。こういうとき、自転車は即座に止まれるのがいいですね。一人でクルマだと止めて確認するのも一苦労です。
 あ、今回はスマホの地図をほぼ使わず、全行程紙の地図帳+コンパスです。一度だけ、詳細地図のない地域で住宅街に迷い込んでしまい、幹線道路を探すのにグーグルマップを使いましたが、あとは全部アナログ。こっちのほうが自分には向いているようです。

 
 コンビニで細かく休憩を挟み、おにぎりと梅干しの駄菓子?的なものを補給。甘酸っぱくて、これライドの補給食にすごく良さそう。カロリーはないけど、疲れに効く味!

 
 ぱらつく雨をしのぎつつ、ようやく到着。
 観光客もほぼいない、ごく普通の町ですが、最初に先祖の姓と同じ地名の文字を見た時の感覚は言葉に出来ません。ここだ……ここが先祖の住んでいた間切なんだ……。

 
 ひとまずゆっくりと集落の中を走り、小学校を見て県道に出て、その辺りでどっと疲れが出たので(目的地に着けた安堵もあったと思う)、コンビニで尋ねて教えてもらったファミレスに入ってデザート休憩。
 空腹は感じていなかったんだけど、とにかく涼しいところで座りたかったので、ベリーソースつきのレアチーズケーキを選択。

 
 美味しかった……。普段甘いものってそれほど食べないんですが、運動の後の冷たくて甘いもの、ほんとうに沁みました。
 それにしても、島人が長袖やカーディガン姿で「めっきり涼しくなったねえ」と仰る時期に、わたしひとりノースリーブ汗だく顔真っ赤でさぞかし異様な風体だったと思いますが、優しく案内してくれた皆様、ほんっとうに有難うございました(深々と礼)
 ここで「帰りはもうバスで輪行する」と決めたため心に余裕が生まれました。いや、夕方すんごい雨予報だったもんで……。

 
 気力と一緒に何と天気も回復してくれて外に出ると見事な青空! なにしろ青が一番好きな餅、俄然元気になって再び県道を下り、予めマップで見ておいた近くのビーチに向かいます。

 
 途中で村の産ガーに立ち寄りました。道端に小さな看板が出てたので分かりましたが、見逃してたら行けなかったな……。市の指定史跡らしいです。(後で調べたら環境省の「沖縄県の代表的な湧水」一覧にも載っていました)
 カーは沖縄の言葉で「井戸・湧水」の意。単純に井戸を掘っても塩水が出てしまう可能性も高い石灰岩の島で、真水の湧水はかなり貴重だったはず。勝手な想像ですが、きっと上水道の整備前はここが集落の中心的な存在だったんではないでしょうか。急な斜面の急な石段を上り下りして水を汲み、洗い物をし、井戸端会議に花を咲かせるひとびとのなかに自分の先祖がいたのかも、この水で産水(ヤマトの産湯とはちょっと違うらしい)をつかったり、正月の若水として戴いたりしていたのかも、と思うと言語化できない気持ちになり、しばらくじっと濡れた石組みを見つめていました。(今も水神様が祀られ、拝みが行われている村の大切な場所ですし、作法を知りませんので立ち入りはしませんでした)

 それから再び県道に出て海へ。

 
 坂の下や家の間に海が見える瞬間の感激、何度味わっても最高です。それがこんな美しい海なら尚更。

 
 
 さすがに10月後半の平日の真昼間、ビーチはほぼ無人。
 ベンチが幾つか並んでいましたので1つお借りして休憩……のつもりが結局2時間近く滞在することに。

 
 
 海を見ているだけで飽きないんです。地元とは全く違う海の色、グラデーションが美しくて、変わって行く雲のかたちが楽しくて。

 
 ベンチに先ほど見つけたご当地ポテチを広げておやつタイム。ピリ辛で美味しかった!
 なんぼなんでも食べ過ぎ、というか普段だったら絶対こんなに入らないんですが、自転車こいでる時って無限にお腹すきません? わたしはすきます(笑) それでいて、食べてすぐ動いても徒歩やランニングみたいに脇腹が痛くなることもありません。自転車……不思議な交通手段……。

 
 心身ともに満たされたのでもう一度集落に戻り、昔からあまり変わっていないのだろう細い細い路地をくねくねと彷徨ってみます。こんなとこ自動車、ましてレンタカーでは絶対進入できないので、ほんとに自転車で良かった!

 
 すごいとこにめりこんでる石敢當。もうちょい下のほうが工事も楽だったんでは……と要らん心配をしてしまうけど、元は石碑でこの高さにあった、とか、なにか理由があるんでしょうか。
 右手前のおうちのは表札風タイプ。これはほんとによく見ます。新築のおうちでも、塀だけ新しくしたばかりのおうちでも、必ずきちんとつけてある。そしてバリエーションがすっごく豊か、というか同じ石同じフォントの石敢當を見なかったと思う……一軒一軒オーダーメイドなのかしら……。
 
 
 
 こちらも沖縄名物、何故かブロック塀に埋め込まれた水道メーター。
 詳しい理由は分かりませんが、路地を歩いていると本当にどのお家も道ギリギリにブロック塀や石垣を巡らしてあって、内地の家のように「道路から敷地へそのままアクセスできる部分」が極端に少ない。門くらいしかないんです。風除けのための塀が欠かせない、平坦地の少ない岩の島で、一軒でも多く建てるための工夫だと思います。で、敷地に入れないと検針員さんがたいへん……というので、一目でわかる塀に量水器を埋め込むようになったんじゃないか……と勝手に想像しています。

 
 
 ……………あかんやつやんな? これ。
 住宅地の草むらのそばで2回ほど見かけたんですが本当に定着しちゃってるのね……。ビニル手袋持ってたんで捕獲はしようと思えばできたんですが、その後どうすりゃいいの、で遠巻きにスルーしちゃった。ごめんなさい。
 コイツに関してはもう這い跡に触るだけでも危険と聞くし、在来種でもハブとか居ますし、毒草や、かぶれる植物もありますから、迂闊に素手で野のものに触らない、草むらに踏みこまない、が知らない土地での鉄則です。とか言いつつ、うっかり道路わき(すぐ後ろが熱帯雨林風ジャングル)で休んでたら蟻にめっちゃ噛まれましたが。痛かった;(蟻は逃がして自分もとっとと逃げました)

 
 すごい薄いシーサー。

 
 なんだろ、と思って写真だけ撮った赤い実。後で調べたらどうやら月桃のようです。かわいい。

 散策していたらまた空が暗くなってきました。雨雲レーダーでもそろそろ本降りの雨が来そう。

 
 というわけで、さっき見つけておいたバス停に向かい、ささっと自転車をたたんで待機。ほどなく来てくれたバスに乗って、あとは悠々と那覇まで戻りました。座ってるだけで何十kmでも移動できるって……すごいな……!(原始人並感想)
 またこのバスが安くてびっくり。ほぼ全区間乗ったのに千円て。もし「行けるとこまで自走、無理になったらタクシー呼ぼう」とか無謀な賭けに出てたら幾ら掛かってたんだろう……。

 それに車窓から眺める沖縄の街もすごくよかった。

 
 
 
 コザでは突然のド迫力壁画にたまげたり。

 
 難読がすぎる停留所名セルフクイズを楽しんだり。

 
 ……いや、ほんと読めん。

 
 行きの道中に思わず撮ったこれには負けるけど。なんぼなんでもそうはならんやろ!?
 あとで調べたら、勢理客は元々の地名(かな表記)に漢字を当て、そのあと更に発音が変わって行ったので字と音が一致してない、という説が見つかりました。なるほどなあ。
 しかし漢字を当てた時点ではまだヤマト風の発音だったとなると、今度はその由来や時期が気になります。薩摩侵攻の頃なんて、既にだいたい発音法則完成してたんかと思ってた。
 これはいずれまたOPAの5階あたりに籠って調べものの一日が必要ですな。
 
 そんなこんなで那覇まで楽々送っていただき、輪行解除して即推し居酒屋へ。宿までも自走なのでお酒はいただかず、定食で。

 
 ゆし豆腐定食。ほんっと美味しかったです! 絶対この日じゃなきゃ入らないボリュームだったけど!w
 宿に戻ってからは大浴場で汗と疲れを流し(なんと誰も居なくて貸し切りでした)、のんびり就寝。いい日でした。

 
 この日の総走行距離(自走)。途中で撮ったスクショなので実際はこれにもう5㎞くらいプラスされてるはず。(バスに乗る直前にスクショ撮るの忘れた)

 アップダウン+知らない土地+ガタガタ歩道メイン=楽しく走れる距離は(わたしの場合)平坦の半分から2/3程度だな、と実感。
 これ以上頑張ると、疲れてしまってせっかくの景色や文字も頭に入らないし、時間も食ってしまうので、十分に観光に時間を取れないのです。疲れが残ると翌日以降の計画にも影響してしまうし。
 行先を絞って、そのぶん気に入った場所でゆっくりと寛いで過ごす。土地の日常の中にお邪魔させて戴く。そういう過ごし方が最高に好きだなと再確認した日でした。

(その3につづく)

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