札幌北陵高校美術部 2009.4〜2022.3の記録

札幌北陵高校美術部の2009年4月から2022年3月までの記録

【作品アーカイブ】第50回全道美術展出品作品~161014

2016-10-14 18:12:03 | 作品アーカイブ
忘れないうちに。笑
今回の全道大会には9点出品され、全道優秀が2つ、そして全国推薦が1つ。
素晴らしい結果を得ることができました。
さ出品された9点を紹介いたします。


『The white morning』:スポ2(3年)*全道優秀賞

 個人的には今年の支部美術展で最も来場者にインパクトを与えたであろう作品だと思っています。笑
 これまで2年間入選したことはありませんでした。原因は、その作品の持つ独特の雰囲気。過去、講評をもらう先生たちから揃って「描いているんだけどなぁ。気持ち悪いんだよね」などと、描いた絵がことごとく生理的嫌悪感を抱かれるという、ちょっと気が遠くなるような本質的な問題で、ここをどう解決するかが課題でした。で、本人の出した結論はセミヌード(自分)笑 相当自信あるのか。笑
 明らかにグレーゾーンを突いた作品でしたが、一生懸命描き込んだことで見事嫌悪感を払拭し全道優秀賞を受賞することができました。良かった良かった。

   でも、とある先生から「マスクが淫靡」という指摘も。笑 顧問の指導も「胸とか尻じゃなくてよ。大人の女性で大事なとこは、この胸骨から股にかけての胴だよ、胴!」みたいな感じで、今思えば指導っていうよりセクハラに近かったのではと反省しておりますが、いや、反省はしていない。これはしょうがない。笑
 とにかくよくがんばりました。でも校内には展示しません。高校生には刺激が強すぎるから。笑

 
 
『フィエルテを持て』:サダメン(3年)*全道優秀賞
 進学希望先がなかなかの偏差値なので、学業と制作の両立はたいへんだったことだと思いますが、結果が出て良かったね。あと題名。昨年に引き続きフランス語で、結局何を持つのかは不明ですが、この辺は雰囲気を感じ取ってください。笑
 学業の傍ら計画的に作業を進めたことは賞賛に値します。花1つを取っても、そのバランスやムーヴマンを考え何度も何度も構成しました。描き進めていく度に、光源に矛盾が生じるというか、鑑賞者にとって“?”となる疑問を解決するため苦労しましたが、3年間の集大成として満足のいく作品ができたと思います。

…で、フィエルテって何?笑



『風化と花』:ダミアン(3年)
 技術もあるし、計画的に取り組んだし入選することができたし、良かった良かったと言いたいところですが本人はきっと満足していないはず。うん。
 全体的にしっかり細部にわたって描かれているし配色なんかもきちんと考えられてはいるんだけど、やはりテーマというか、“自分が何を見せたいのか”というところが弱くなってしまったのかなという印象は否めません。画面に詰め込みすぎた感があるというか。“風化”という現象を意味するものも画面上に見当たらないしね。
   いつも言ってますが、顧問は自分の発想をどれだけ“削ぐか”。そこが大事だと思います。削いで削いで残ったものこそ自分の表現において大事なものであって、その発想を削ぐという行為をきちんとしていれば、画面にどれだけものが溢れていようが詰め込んでいようがクールに見せることは可能だと思うのです。画面には無駄に見えて1つも無駄がないように作る。難しいですがそこはしっかり考えてもらいたいと思います。
 ダミアンは進学のためここからはデッサン!デッサン!の毎日になりますが、ほんと勉強はだいじょうぶなんだろうか。講習何にもとってないのにヘラヘラしてるからなぁ… そっちの方が心配だわ。笑


 
『banana refrain』:発達□(3年)
 *すみません。立体は写真を撮れなくて後述の監督の作品も合わせ、全て生徒から提供してもらいました。
 さて、1年の頃に歴史的問題作『猫娘いろは』を出品して支部美術展に女子の悲鳴を巻き起こし、2年の頃はよくわからない作品を作ってよくわからない結果。笑 しかし3年の最後の高文連に取り組む前には「俺も全校集会の部活動表彰でステージに上がりたいです!」と表明し、強い意志を持って今回の作品に取り組みました。まぁ昨年彼女が全道優秀取ってステージに上がったのを見たらね。軽い格差を感じちゃうよね。笑
 いろいろと試行錯誤し作ったのがこの作品です。本物のバナナを何本も石膏取りし雌型を作り粘土で造形、素焼きをして、筆でフフンみたいな感じで施釉。発達□も顧問も迷走に迷走を重ねましたが、結果が出て何よりです。結果が出ればこっちのもんだ、うん。笑
   今回評価された部分は石膏取りまでして作ったバナナと、“陶芸”という表現にこだわらなかったところだと思います。最近は表現の枠組みが刻々と変化し、境界線があやふやになっている感じがしますが、そういう点から考えると、そういう路線を先取りした表現だと、ものすごく好意的に解釈するとそんな感じで評価されたんだと思います。
 現在、本人はすごく勉強をがんばっています。全道大会に向かうバスの中では「θ波、θ波」と連呼しながら英単語を勉強していました。入学前の評判では、いとこの☆パイから「親でもさじを投げるくらいのオタク野郎」というフレコミで、ふたを開けてみたら本当に虫酸の走る様なオタク野郎でしたが、美術部に入って、彼女もできて、勉強もがんばり、すごくハイスクールライフを謳歌しています。美術部に入って最も良い意味で変化した人間かもしれません。
 受験がんばれよ~。
 
 

『渡邉先生』:アダルト小川(2年)*全国推薦
 そして、とうとう取りました。全国推薦。何か言うのも野暮というものでしょう、終わり。
…というわけにもいかないので何か言わなきゃ。笑 本人は去年JR車中を描いて入選。雰囲気を描く勘があるなぁとは思っていましたが、まさかここまでとは…。
 1年の道展U21ですさまじくふざけた作品を制作したのはナイショの話で、そのU21の反省をもとに、一から人物に取り組みました。その時から大好きな渡邉先生にモデルをお願いし、顧問から「渡邉先生の遺影に使えるように描けよ、このやろ~」と無茶な指導にも耐え描き続けた結果、ここまでの結果を得ることができて本人も喜んでいると思います。
 支部美術展でも全道大会でも上手な作品はたくさんありましたが、やはりどうしても“俺ここまで描けるんだぁ、見て見て~”みたいな技術の押し売りみたいな作品があるのも事実。アダルト小川の作品は技術的にもきちんとしたものはありますが、それ以上に“対象に真摯に向き合った”と感じられたのが全国への道を切り開いたのだと思います。実際アダルト小川の作品を何人もの先生から褒めてもらいましたが、少なくとも顧問は直接「上手いね」とは一言も言われておりません。そのかわり「いい絵だ」という言葉を多くの先生からもらうことができました。これがどれだけの褒め言葉だってことです。“上手い絵”ではなく“良い絵”を目指す、すごく大事なことです。
 本人は美術系大学への進学を希望しています。今回の結果を糧に精進してほしいものです。がんばってください。
 あと、受験に使わなくても渡邉先生に失礼なので数学の勉強はもっとがんばるべきだと思います。笑



『木陰の続く場所』:凶子(2年)
 ちょっとわかりにくいかもしれませんが、額の側面に鏡が貼ってあり、合わせ鏡の要領で木陰がずっと続くようになっています。鏡は特注です、特注!! 今年の投資1号です。マジで。
 制作に関しては同じコンセプトで立体を考えていたのですが、どうにもこうにも作品として成立しなさそうなので平面でこういう形をとりました。
 支部美術展でも「こういう作品とか新しいよね」と重鎮の先生からお褒めの言葉をいただくことができました。ま、昨年度全道優秀を取った凶子さんからしてみれば今年度の結果は悔しいものだと思いますが、今後もがんばってください。
 作業も細かく丁寧で問題はない。ただ、ギリギリまで一緒に考えたけど、このコンセプトでいくのならばもっともっと巨大な作品の方が良いのかもね、と思った顧問なのでした。んー、勝負に勝って、試合(規定)に負けたって感じかなぁ。
しょうがないとこだ。…とゆーことで、今回投資を回収できなければ凶子からBITCH子に改名することになっていたのですが、許してしんぜよう。笑



『カニ、人ミソを食す』:L(2年)
 去年は溺死浦島太郎を描き、U21でトイレから顔を出した人間が大量の水を吐く絵を描いてお母さんから「もっときれいな絵を描いて」と言われたとか言われてないとか。で、今年は心機一転!美しい夏の高原ではなく、人の脳を食べるカニの絵を描きました。笑
 誤解のないように言っておきますが、決して顧問が描け!と命令しているわけではありませんのでご承知おきください。笑
 さて、何だかんだ熱心に取り組んだ結果、雰囲気的に良い感じには仕上がってると思います。カニなんかもすごく硬質でクールに描けたしね。ただ、課題を言えば“脳”でしょうね。やはり“描いた感”があるので、そこをもっともっと描いて“ぬめり感”を出せたら良かったと思います。
 さ、次は何を描こうな。たまにはお母さんが喜びそうなものを描こうか。もう保護者を心配させるような絵を描くなよ!と言いたいところですが、きっとまた描くと思います。乞うご期待!笑
 
 
 
『社畜の休日』:テロ子(2年)
 昨年度のU21から油彩を初め、船描いて結果残したから次もそういう感じかなと思ったらまさかの羊。地面にすごく苦労してましたが、最終的には画面全体をしっかり描けたんで良かったと思います。良くを言えば羊の顔であろうか。もふもふの毛の部分と顔の毛の部分の描き分けとか、鼻とか。画面の中央にあるからこそ、もっともっと描いても良かったかなと思います。
 題名については「は?何言ってんだ、こいつ」と思いましたが、実はけっこう賛同者が多いというか、グッときてる人が多いことを知り、驚いている私。ま、これもジェネレーションギャップってやつかもしれませんね。笑
 これで、船、羊とけっこう描けるものは増えてきました。
   次、ここからどう展開するかがすごく大事だぞい!?



『無意味な装置』:監督(2年)
 初めは全く別のきっかけを顧問が与え考えていたのですが、ギブアップ。笑 一から考え出したのがこの無意味な装置です。このシュールなコンセプトを考え出しましたが、本校にある材料、道具で形にするにはなかなか困難を極めました。有機溶剤を使うので大会直前は「くせぇ~。出てけ~。外でやれ~!!」と美術室を追い出され孤独にがんばることになりましたが、持ち前の「絵は下手だが地道にがんばる(笑)」性格で完成させることができました。
 今後はもっともっとたくさんの作品を見て、制作して、研究して、自分の決定的な経験値を高めていけば、自分の構想をどのような形、方法、手段で造形として為すか、言葉を換えれば“具現化する”ことがもっとできるようになるはずです。
絵が上手くなるかどうかはわからんんんん!!笑
 
 
   さてさて、長くなりましたが、ご覧になればうちの部員がどれだけがんばってるかおわかりになると思います。
   こういう環境はそうそうありませんので、もし有意義な高校生活を送りたい!!という人がいたらぜひ入部してください。「でも絵ぇ下手だし…」って思う必要なし。誰もが初心者です。こっから描いて描いて作っていけばいいだけの話。
    美術部って人生に直結する数少ない部活だと思います。マジで。バスケ部やめて美術部入って岩教の美デザ現役合格したOBだっています。結局のところ、本人の生き方次第です。昨年度から少し部員減らそうって思ってて、いろいろ画策していたのですが、全国出して顧問は俄然やる気に満ち溢れております!!

   やー、全道大会終わってから、酒が旨いのなんのって。やるよ、わたしゃ〜。
 


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