昨日まで列島を荒れさせた低気圧が北太平洋に去って、強い風はおさまっていますが
時折小雪が舞って、すっきり晴れる様子はありません。川へは今日も行かずじまいです。
明日もまた、大陸から前線が近づきつつあるようでアイの運命は如何に。
また電話が掛かってきました。きのうの熊さん・八つぁんの話が面白かったので続けろと
言うのです。もともと落語は大好きで、志ん生や金馬、枝雀といった名人たちのカセットも
集めていました。
でもね、聴くのと書くのとは大違いでしょう。なんでもそうですが、プロはやはりプロです。
大変な努力の末に世間様の評価をいただいていらっしゃるのですから。
きのうは、たまたま興にのって無責任に書いただけだから、と抵抗したんですよ、ほんとに。
でも、面白いから書けというんです、この野郎がね(電話の友人が)。w
でね、もともとお調子者で〇〇もおだてりゃ何とかてぇ言うじゃないですか。ww
それでね、それじゃァ、ということでね、今日も書いてみようかと思うんですけどいいですか?
面白くもなんともねぇ、と言われりゃ即座に止めますけど。
「八つぁん、いるかい?」
「ああいるよ、なんだい熊さん」
「なにね、孫が寺子屋からけぇって来たと思いねぇ」
「おう、でどうした?」
「こんな瓦版ひろって来やがって、寺子屋が無くなるのかって泣きやがんのよ」
「どれ、かしてみねぇ。どれどれふむふむ、へ~、ほうほう」
「八つぁん、てめ~字が読めたかい?」
「あたぼ~よ。 ・・が~、・・で~、・・を~、・・して~」
「なんでぇ、なんでぇ、ひらがなしか読んでね~じゃねえか、孫は読んでたぜ!」
「だな、何がなんだかちっとも分からねぇ。よし、ご隠居のとこへ行って聞いてみよう」
ということで、こんなときに登場するのが定番の横町のご隠居さまです。
実に便利なキャストですな。ややっこしくなれば、引っ張り出すことで事が済んでしまう。
「おや、珍しいね、お揃いで。ふむふむ、どれ貸して御覧なさい。あ~ァなるほど」
「・・・で、どうなるんですかい寺子屋は?」
「熊さん、心配することはない、これは学問所の内輪の話だ。ご法度に触れる天下りの問題だ」
「へえ、なんですその天下りってぇのは?」
「学問所のお役人様が辞める時に、お上が許していない勤めぐちの口利きをすることだ」
「それでなにか問題があるんですかい?」
「そこだよ八つぁん。どこの奉行所のお役人でも、皆が皆がお奉行様に出世なさる訳ではない。
だから、ある年齢になると辞めなければならない仕組みになっているのさ」
「なるほどね、俺っちみたいな大工でも、熊みたいな板場でも、店の跡を継ぐのは一人だもんな」
「そこだよ、だから下々は暖簾分けとか、ひとり立ちとかさせるだろう。奉行所はそうはいかない」
「じゃあ、なぜ口を利いてはいけね~んです?」
「良いとこに気が付くね熊さん、奉行所は我われ下々に公平でなければならいだろ。そこでだ、
辞めたお役人が行った先を、残っているお役人が贔屓にしたら公平でなくなるわな熊さん」
「あ~ぁ、そういうことですかい、そりゃあ贔屓にしたくなるってえのが人情ってもんだ」
「だからご法度なんだよ。いまに始まったことじゃない、この国じゃ千年も前に聖徳太子って
偉いお人が『十七条の憲法』という詔(みことのり)に書いていらっしゃるんだよ」
「ふえ~、千年も前にですかい?」
「そうだよ千年も前だ。だから幕府もそれにしたがっているのさ」
「あとの方の話は、こちとらの頭じゃよく分からねェけど、孫に心配しなくっていいと
言ってかまわねぇってことですかい、ご隠居さん?」
「ああ、そうともよ、帰って安心させておやり。学問所の中で始末すればそれで終わりだ」
「じゃあ、ご隠居さん。瓦版屋はなんでこうデカデカと書くんでしょうかね」
「そりゃあ八つぁん、瓦だけに天からおちてくる」 ーー お後がよろしいようで ーー
< 弱り目に 祟ってくれるな 春のふみ > 放浪子
二月八日(水) 雪、くもり、雪、晴れ
川へは行けず
明日も通院で行けず
午後からでも行くつもり