寺さんの【伝えたい話・残したい話】

新聞記事、出来事などから伝えたい話、残したい話を綴っていきます。
(過去掲載分は「付録」の「話・話」を開いて下さい)

(第3162話) 湯飲み

2021年06月28日 | 出来事

 “随分長い間使用してきた私の湯飲みの上部が欠けてしまい、食器棚にあった別の湯飲みを使うようになった。
 あるとき、その湯飲みの底を見れば「創業百周年」とあり、生まれ育った故郷のプロパンガス店の名が印刷されていた。少し気になって調べたら大きな店で創業は1870(明治3)年だった。逆算したら、この湯飲みは五十年も前にこしらえられたものだった。とすると食器棚に五十年近く眠っていたことになる。私が結婚する際、亡き母がそっと置いてくれたものだろうか。そんな想像を膨らませた。母は、あの世で「そんな古い湯飲みを出して」と笑っているかもしれない。”(6月5日付け中日新聞)

 愛知県北名古屋市の田中さん(男・74)の投稿文です。長年一つの家に過ごせば、仕舞っておいて忘れてしまった物が多かれ少なかれあろう。田中さんは、50年以上も前の湯飲み茶碗を見つけられた。昔は結婚式の引き出物などもらい物も多かった。こうした物は特に仕舞われたままになっている物も多かろう。最近は断捨離が叫ばれている。長年使われることもなく、場所を占めているものを片付けようというのである。片付けて空間を広く使おうというのである。空間を広く使うという意味では、ボクも断捨離は賛成である。幸いボクの家は2人で住むには広すぎるほどであり、毎日の生活も広い空間を使っている。ものは奥の部屋にまとめられていて邪魔にはならない。でも、ボクは最近、使えるのに使わない物を引っ張り出してこなければと思っている。有用なものがあることを結構忘れているのである。妻は捨てることを主張するが、ボクは無視をしている。捨てて後でしまったと思うことを度々経験しているからである。ボクは廃物利用を楽しんでやっている。先日は古い犬の置物に、古い甕、壊れた傘立て、くたびれたネクタイを使って面白いものを作った。


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