出版屋の仕事

知識も経験もコネもないのに出版社になった。おまけに、すべての業務をたった一人でこなす私。汗と涙と苦笑いの細腕苦労記。

何よりも本を愛す

2008年08月14日 | 出版の雑談
前回エラそうなことを書いておいて、じゃあ何してるんだというと、エラそうな記事を書いた7月25日以降、ほとんど仕事をしていない。3年に1回の地元の祭りと、毎年来る誕生日(ただしぞろ目+αは20年ぶり)と、4年に1回のオリンピックのせいで、毎日のように「仕事より○○だろう!」を繰り返している。

仕事と言ったら、とりあえず休めない搬入の旅と本屋のバイトだけ。というわけで、本日も本屋のバイトには行った。

昨日が休配日初日で、通常通りの仕事を済ませると、何もすることがない。普段できない引き出しの整理とか、あまり意味のない「客注商品の並び替え」とかをして時間をつぶすが、お客さん自体が少ない。店の名誉のために言っておくと、開店から昼までの客数はあまり変わらないが、昼ご飯を食べた後に来る近所のオフィスビルのお客さんが少ない。盆休みなので当然だろう。

なので、本日はもっと暇だろう(掃除もやり尽くした)、帰ってもいいって言ってくれないかなと期待しながら行ったんだが、初っ端から「のんびりやりましょう」と言われてしまった。のんびり・・・って、レジ打ちなんか、のんびりしてればしてるほど疲れちゃうのに。

さて私は、普段は何かと言うと「本を読め」と思うタイプである。親殺しが増えたとかうつ病が増えたとか子どもの学力がどうとか、ネガティブなニュースのほとんどのケースで「本を読んどらんからだ!」と憤ってしまう。それが発展して「良書が云々」の話になるとそこまでは…と思ってしまうが、まあ「自分の周りの世界以外のことを知っておく」には本が一番だし、今はこういう商売なので、世間のみなさまには本をどんどん読んでいただきたいわけです。

が、本というか出版から完全に頭が離れてしまっている本日、なんで店長に帰ってもいいと言ってほしかったかと言うと、北島を観たかったからである。

それが叶わないとわかった時点でできることは一つ。ラジオをオリンピックに合わせること。

ちなみにうちの店では、レジのカウンターの下にラジカセ(今だとラジCDって言うのか?)を置いてある。私(朝番)がバイトを始めた頃は無音だったのだが、夜なんかはCDをかけるらしかった。社員の入れ替わりがあって新たに来た人は元野球少年で、選抜に合わせてくれと言われてラジオをかけ始めた。その後、ニュースも聞けるもんだから毎日つけることにしたんだが、普段はJーWAVEとかの軟弱な局を選んでいる。

と、これがなんとAMが入らない。しょうがないのでTV局の音声に合わせて、ちょっとボリュームを大きくした。

耳を傾けると、目は近くでなくてあらぬ方向を見たりしませんか? で、目に入ってきたのが、あちこちの書棚に張り付いているお客さん(4人くらい)。

そのとき私が思ったのは、「おいおい、家帰ってテレビ観ろよ! 連覇だよ、金2個目だよ!」ということである。こっちは泣く泣く働いてるんだ、こんなところで何してるんだよ。

おまけに勝ったとたんにワーッと騒ぎたいんだが、本屋は静かな所である。拍手もできない。もうストレスたまりまくり。祭りのときも、神輿を担いでいて休憩が店の近くであったのでちょっと挨拶と思って入ったら「普通の営業」をしていて、しらけたものだった。

しかし、北島を見たい人がいれば、本を買いたい人もいる。祭り中に本を選んでいる人もいる。いろんな人がいるのは当然だし、普段本を読め読めと言っている人間としては、「北島より本」ってな人にも拍手はしたい。

が、ストレスでもある。ただの「私のわがまま」なんだが・・・。