出版屋の仕事

知識も経験もコネもないのに出版社になった。おまけに、すべての業務をたった一人でこなす私。汗と涙と苦笑いの細腕苦労記。

印刷所

2005年09月07日 | 制作業務
STUDIO CELLOさんに言われて、地方の印刷所のほうが高いと初めて知った。配送料なんかを別にすると、地方のほうが安いのだと思っていた。

ところで印刷料金の話じゃないけど、地方の出版社はどうやって納品しているのか、非常に興味がある。特に、1冊だけの注文。

それはそうと印刷所。過去の記事に書いたことではあるが、右も左も分からなかった1冊目、広告デザイン業をしている友人に「DTP&印刷」で発注して、ずいぶん高かった。

なんか違うな~と思ったのだが、どこをどう頼めば安くなるのか、よくわからなかった。私は元土建屋なので、「よく解って発注すると安くなる」ことだけは知ってた。要するに、同業者同士で競争はあるだろうけど、ただアイミツをとるだけじゃ、安くならないとわかっていたのだ。

で、まず印刷のことを勉強した。

それから、手持ちの本を見たり本屋に行って奥付ばっかり調べまくって、よく出てくる業者の名前を覚えておいた。とはいえ、凸版印刷なんて取引開始のときうるさそうだし、何も行動は起こさなかった。

ちなみに、ほとんど趣味なのだが、昔例の広告デザインの友人の手伝いをしたことがあった。それで中途半端な知識ではあるけど「できそう」と思ってしまって、DTPを自分ですることにした。失敗を繰り返しながら、外注しなければそれだけコストもかからないので、そのスタイルが続いている。本文もカバーもスリップも全部私がする。

ただ、活版とか古いことは何もわからなくて、何でもみんな「データを作ってフィルムを出力する」んだと思い込んでいた。

ところが刷版とかなんとか忘れたが、その辺のいろんな工程でいろんな業者が工夫をしていて「印刷価格革命」をしているってのが分かってきた。

で、ブックフェア。最近は「出展してください」宣伝がうるさくて行く気にもならないが、初めて案内をもらったとき、覚えておいた業者の名前をみつけて、いさんで出かけてった。

出展業者からしたら、飛んで火にいる夏の虫。でもフェアが終わると、「お客さんなのに喜んで名刺を渡すおかしな出版社」にみんな挨拶に来た。

ようやく「出版に詳しい」、「出版がメインの」印刷業者との付き合いが始まった。

・・・というわけで、安い印刷所のみつけ方なんて知りません、すみません。

けど元土建屋の知識を駆使すると、例えばスケジュールに余裕を持つと、地方でも東京の「出版メイン」の業者を使えると思う。データのやり取りと校正に時間的余裕を持てば、無理に「お近くの」業者を使う必要はないんじゃないか。

確かに、「朝一で平河で見本受け取って、その足でトーハンに持ってって、ダメだし食らって、速攻で平河に引き返して修正を頼んで…」ってなことは、できなくなるけど。でも、これは私がバカ過ぎるせいだから、普通は必要じゃないだろう。

最後に、他の出版社はどうか知らないけど、私が個人的に気をつけていること。

あまり単価が変わらないからと言って、不必要にいっぱい刷らない。単価が上がったってしょうがない。売れる分しか刷らない。

イマドキの印刷屋はみんな、「小部数に対応しています!」なんて威張ってるから、こっちも威張って小部数を発注する。

事務所に山積みの本を見て胃を痛くするより、ずっとましだと思ってる。