MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『この国の空』

2015-08-26 00:49:25 | goo映画レビュー

原題:『この国の空』
監督:荒井晴彦
脚本:荒井晴彦
撮影:川上皓市
出演:二階堂ふみ/長谷川博己/工藤夕貴/富田靖子/利重剛/石橋蓮司/奥田瑛二
2015年/日本

「不倫」=「戦争」の強引さについて

 男たちが戦争に従事している間の女性たちの生活が丁寧に描かれているとは思うが、主人公の里子と隣に住む市毛との不倫が終戦後に里子にとっての終わらない「戦争」になるとはどうしても思えない。それは戦争時は周りに男たちがいなくなりたまたまメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を弾くような市毛がいたから里子は憧れから恋愛感情を抱いただけであり、男たちが戦場から戻ってくるならば、妻子のある病弱の市毛よりも独身で元気な若い男はたくさんいるはずで、19歳の若い里子の気持ちはそちらに移ってしまう可能性は大いにありうるからである。
 娘と市毛の交際に反対していた里子の母親が夜中に里子がトマトを洗う際の自宅の庭の井戸で水をくみ上げる音に気がつかないことも不自然で、「戦争」と「不倫」を強引に結び付けたきらいがあるが、もしも結びつけるならば市毛の妻との「戦争」になるはずで、そうなると市毛の妻が一度も画面に現われないのは「不倫戦争」のストーリーとして弱いのではないだろうか。


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