MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『X-MEN: ダーク・フェニックス』

2019-06-24 22:48:50 | goo映画レビュー

原題:『Dark Phoenix』
監督:サイモン・キンバーグ
脚本:サイモン・キンバーグ
撮影:マウロ・フィオーレ
出演:ソフィー・ターナー/ジェームズ・マカヴォイ/マイケル・ファスベンダー/ジェニファー・ローレンス
2019年/アメリカ

女性の「難しい年頃」について

 主人公のジーン・グレイが交通事故で母親を失ったのはジーンが8歳の時で1975年だった。それから舞台は1992年に変わるからジーンは25歳である。
 ジーンは宇宙で機能不全に陥ったスペースシャトル「エンデバー」から宇宙飛行士たちを救出するミッション中に一人だけ逃げ遅れて光線を浴びてしまう。無事に帰還できたのだが、ジーンは自身で制御できないほど自分の超能力が高まっていることを感じる。そんな時にジーンは自分の過去を思い出し、父親が生きていることを知り、同時に実の父親に捨てられプロフェッサーXに騙されていると思い、ヴーグが率いる地球外生命体たちに取り込まれそうになるのである。しかしジーンの25歳という年齢が気になる。自分の特異な能力は十分に分かっているはずだし、そのような娘を持った父親の苦労も理解できてもいい年齢だからである。
 ここまで書いて気がつくようにホラー映画『パージ:エクスペリメント』(ジェラード・マクマリー監督 2018年)や怪獣映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(マイケル・ドハティ監督 2019年)同様にスーパーヒーロー映画である本作も「外敵」によって「内部」が一つにまとまるというストーリーのフォーマットを踏襲しているところが興味深い。
 冒頭のシーンでジーンと母親が車内で聴くラジオ局を巡る諍いがある。母親がグレン・キャンベルの「恋はフェニックス(By the Time I Get to Phoenix)」を聴いていると局が変わりウォーレン・ジヴォンの「ロンドンのオオカミ男(Werewolves of London)」が流れるのである。これはもちろん母親の「私が“フェニックス”に着くまで」という願いも空しく途中でジーンが“狼人間”に変わるという暗示であろう。以下、和訳。

Werewolves of London」 Warren Zevon 日本語訳

僕は中華料理のメニューを手にしている狼男を見た
雨の中、ソーホーの通りを歩きながら
彼はリーホーフックと呼ばれる広東料理の店を探していた
彼は牛肉入りの五目焼きそばの大盛りを頼むんだ

ロンドンの狼男
ロンドンの狼男

もしも君の台所のドア辺りから彼の遠吠えが聞こえても
彼を入れない方がいい
昨日の夜遅く小さなマダムがズタズタに切り裂かれていた
またロンドンの狼男だ

ロンドンの狼男
ロンドンの狼男

彼は毛むくじゃらの手をしていてケント市で逆上して殺気だっていた
最近メイフェア地区に彼がいるという噂だ
君は彼に近づかない方が身のためだ
ジム、彼は君の肺を引き裂くだろうから
僕は彼の仕立屋に会ってみたいものだ

ロンドンの狼男
ロンドンの狼男

僕は女王と一緒に歩いているロン・チャイニ―(怪奇スター)を見た
彼らはロンドンの狼男を演じていた
僕は女王と一緒に歩いているロン・チャイニ―・ジュニア(その息子)を見た
彼らはロンドンの狼男を演じていた
僕はヴィクトリア貿易船でピニャコラーダ酒を飲んでいる狼男を見た
彼の毛並みは完璧だった

ロンドンの狼男
ロンドンの狼男

Warren Zevon - Werewolves Of London (Official Music Video)


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