原題:『Hunter Killer』
監督:ドノヴァン・マーシュ
脚本:アーン・シュミット/ジェイミー・モス
撮影:トム・マライス
出演:ジェラルド・バトラー/ゲイリー・オールドマン/コモン/ゼイン・ホルツ/リンダ・カーデリーニ
2018年/アメリカ
ロシアの不気味さを「味わう」作品について
例えば、ロシアのザカリン大統領の扱いがあまりにも雑だという批判は免れないとしても、冒頭からラストまでどこからミサイルが飛んでくるのかよく分からない演出などはなかなか見逃せないのではないだろうか。
ジョー・グラス艦長が率いる原子力潜水艦の乗務員たちは上から落ちてくるミサイルに脅える一方で、ザカリン大統領を救出するミッションを得たビル・ビーマンが率いるネイビー・シールズのチームは身を隠していた場所に下からロシアの軍人に槍をつかれ、ポール・マルティネリが負傷するのである。この海における「上」と陸上の「下」の攻撃の対照性は上手い演出として評価してもいいと思う。
さらにセルゲイ・アンドロポフ艦長と彼の部下との「忠誠心」が試されるクライマックスなどアメリカ人が抱く計り知れないロシアの不気味さが良質のフックになっている。