マリア様がみてる
2010年/日本
‘サファイア問題’について
総合 80点
ストーリー 0点
キャスト 0点
演出 0点
ビジュアル 0点
音楽 0点
それほど期待していたわけではないのであるが、予想を超えた良い出来である。一般受けするような作品ではないのであろうが、原作のファンには納得できる仕上がりだと思う。教室内のハンディカメラの多用の演出意図がよく分からなかったが、そもそも美人しか出演していないのであるから、失敗作になるはずはない。
ところで『マリア様がみてる』を語る上で‘サファイア問題’は避けられないであろう。典礼聖歌の407番の「マリア様のこころ」の歌詞の中の「マリア様の心/それはサファイア/私達を飾る/光るサファイア」という部分に対して「マリア様のこころがサファイアっておかしくない?」と主人公の福沢祐巳が島津由乃と藤堂志摩子に訊ねることが問題の発端になる。もちろん私立リリアン女学園の幼稚舎から通っている福沢祐巳はサファイアの青が何を象徴しているのかぐらいは習っているはずなのだから、問題はサファイアの意味ではなくて、宝石にたとえるならばマリア像が首にかけている比較的安価で身近なパールでもいいのではないかということであろう。
そしてこのような福沢祐巳と同じ疑問を抱いていた相手が意外なことに、家の跡継ぎとして柏木優を婿養子として貰うことに決めていたほど裕福な家庭で育っていた小笠原祥子であった。小笠原祥子と福沢祐巳が‘姉妹(スール)’となるきっかけが、このサファイアを否定する‘背信’の共有によるものであるということが、この作品の‘淫靡さ’を増幅させるのである。
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