原題:『Creed』
監督:ライアン・クーグラー
脚本:ライアン・クーグラー/アーロン・コヴィントン
撮影:マリス・アルベルチ
出演:マイケル・B・ジョーダン/シルヴェスター・スタローン/テッサ・トンプソン
2015年/アメリカ
そこまでしてボクシングをしたい主人公の動機について
さすがボクシング映画だけあって、2つの試合のシーンには工夫が見られる。最初の、主人公のアドニス・ジョンソンとレオ・スポリノとの対戦は試合開始から2ラウンド途中でアドニスがTKOで勝利するまでワン・ショットで撮られシーンに重みを持たせ、クライマックスの世界ライトヘヴィー級チャンピオンのリッキー・コンランとの対戦は細かいカットとつなげて迫力を出している。
しかし最後まで合点が行かなかったことは、アドニスがボクサーになる動機である。彼は父親のアポロ・クリードの愛人の子供として生まれ、彼が産まれる前に父親が亡くなるなどして施設に入れられて育ち、アポロの本妻のメアリー・アン・クリードに引き取られた後は、不自由のない生活のおかげで金融会社に勤めており、まさに昇進するという時期に仕事を辞めてしまうのである。
何故かアドニスはメキシコまで行ってボクシングの試合をしており、その理由はどうやら地元のロサンゼルスではジムに通っても相手にされないからなのだが、15戦全勝しても状況は変わらず、どうして相手にされないのかがよく分からない。施設の子供がエリートになったことによる嫉妬のせいかもしれない。ハングリーさが感じられないのかもしれないが、それは本作を観賞している方も同じでアポロの血を受け継いだからというだけではストーリーに説得力を持たせられないと思う。