原題:『犬鳴村』
監督:清水崇
脚本:清水崇/保坂大輔
撮影:福本淳
出演:三吉彩花/坂東龍汰/古川毅/宮野陽明/奥菜恵/田中健/寺田農/石橋蓮司/高嶋政伸/高島礼子
2020年/日本
犬の本心について
福岡県の犬鳴村の伝説を基にした作品なのだが、どうも納得しかねる点を書いておきたい。
犬鳴村の住人たちは犬を捌いて生活しており、それを嫌った周囲の他の村人たちから差別を受けていたのだが、犬鳴村の人々に同情する者たちが現れ、当初は仲良く交流していた。
やがてこの者たちは密かにこの村にダムを建設しようと目論んでいた者たちで、騙された多くの村人たちが犠牲になり村はダムの底に沈んでしまったことから、生き残った犬鳴村出身の子孫によって現代において復讐劇が始まるのである。
ところでこの物語において犬の立場がどうなっているのかよく分からない。犬鳴村の住人たちがいなくなれば犬が殺されることはなくなり、ダム建設者側と利害が一致するはずなのだが、どうも本作において犬は犬鳴村の住人たち側として描かれており、犬の本心が分からないのである。