MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ザ・サークル』

2017-11-22 00:24:40 | goo映画レビュー

原題:『The Circle』
監督:ジェームズ・ポンソルト
脚本:ジェームズ・ポンソルト/デイヴ・エガーズ
撮影:マシュー・リバティーク
出演:エマ・ワトソン/トム・ハンクス/ジョン・ボイエガ/カレン・ギラン/ビル・パクストン
2017年/アメリカ

監視カメラから逃れられる「面白くないプライバシー」について

 新興IT企業の「ザ・サークル」は超小型監視カメラによる「シーチェンジ(SeeChange)」と呼ばれるシステムの開発により世界中を掌握でき、例えば、指名手配されている犯罪者も10分ほどで逮捕できるまでになる。主人公のメイ・ホランドは海で遭難しかけた際にカメラによって救助されたことをきっかけに自ら実験台として小型カメラを身に着けることで24時間プライベートを晒すことになるのだが、幼なじみのマーサーや友人のアニー・アラートンやメイの両親などに迷惑がかかることになる。
 本作に関してストーリー展開が御座なりという批判があるのだが、例えば、映し出されるメイの映像に「ザ・サークルのメンバーの誰にも子供がいない」や「退屈だ」などの文字が流れてくる。それはメイの映像と共に本作自身の批評にもなっているはずである。さらにイーモン・ベイリーとトム・ステントンの疑惑をメイが公に暴き出すことで二人を退陣に追い込んだ後、メイは趣味のカヤックを楽しんでいる自分自身をカメラに映されているところで本作は終わるのだが、それは「いいね!」を放棄して孤独であるならば、誰も興味を持たないプライバシーを晒しても問題はないというアイロニーではないのだろうか。
 ちなみに「シーチェンジ(SeeChange)」とは「Sea change(著しい変貌)」のもじりである。


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