セントアンナの奇跡
2008年/アメリカ=イタリア
理屈を凌駕する‘美しさ’
総合 100点
ストーリー 0点
キャスト 0点
演出 0点
ビジュアル 0点
音楽 0点
最初は第二次世界大戦下のイタリアに送られたアフリカ系アメリカ人で構成された、第92歩兵師団‘バッファロー・ソルジャー’の実話をスパイク・リーが監督したということで、‘告発’のようなものかと思っていたが、そんな単純な作品ではなかった。
作品冒頭の謎の殺人から、兵士が緊張しながら行進していくシーンを経て、最後の浜辺の美しいシーンまでスパイク・リー監督の集大成といってもいいと思う。まさかこのような戦争映画でフランク・キャプラ(Frank Capra)監督作品の『素晴らしき哉、人生!(It's a Wonderful Life)』(1946年)や『ポケット一杯の幸福(Pocketful of Miracles)』(1961年)のようなテイストのファンタジーが観れるとは思っていなかった。
この作品において‘奇跡’とは何だったのか意見の分かれるところではある。へクターが宿命の相手に出会ったことなのか、アンジェロが偶然へクターの事件に関する記事が書かれていた新聞を目にしたことなのか? 私は、プリマヴェーラの彫像の‘白人女性’の頭部を黒人のサム・トレイン上等兵が美しいと感じて、あの過酷な戦闘の中で壊さずに守り続けたところだと思う。‘美しさ’が理屈では諭されないトレインに大きな力を与えたように感じた。
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