原題:『Inside』
監督:ミゲル・アンヘル・ビバス
脚本:ジャウマ・バラゲロ
撮影:ホス・インチャウステギ
出演:レイチェル・ニコルズ/ローラ・ハリング/アンドレア・ティヴァダル
2016年/スペイン・アメリカ
「インサイド」から出ることの難しさについて
「インサイド(内部)」というタイトルは秀逸だと思う。例えば、主人公のサラ・クラークが妊娠しているという設定は無論のこと彼女が交通事故に遭遇したのは自動車の中で、その後、クリスマスイブの晩に友人の誘いを断って自宅で過ごしていたことから危険な目に遭うことになり、さらに車に乗って外に出ることなく別に家に逃げ込んだために困難から逃れることができず、結局、危機から脱出できる機会になったのが、「幕」あるいは「膜」を破ってようやく「外」に出た時だからである。
しかしこのような設定にこだわるあまり、例えば、新人であるとはいえ女性警官が怪しい状況を把握していながら本部に連絡することを怠るなどストーリー展開に無理があり、フランスなどでは本作はヴィデオスル―になったのであろう。