原題:『あさひるばん』
監督:やまさき十三
脚本:塙五郎/やまさき十三
出演:國村隼/板尾創路/山寺宏一/桐谷美玲/斉藤慶子/温水洋一/雛形あきこ/西田敏行
2013年/日本
明らかにされない病名について
普通にコメディ映画として観るならば、決して出来が悪いとは思わないが、オチが上手くいっているかどうかは微妙である。高校時代に城北高校の野球部に所属していた浅本有也、日留川三郎、板東欽三の3人組は、甲子園出場を賭けた決勝戦で、城南高校野球部の4番打者だった野沢七郎に決勝打を打たれて負けてしまう。
それだけならまだしも、野沢は今では宮崎県選出の衆議院議員で法務副大臣まで担っており、さらに野沢は、3人が憧れていた、城北高校の野球部マネージャーだった阪元幸子と当時付き合っており、妊娠までさせていたのであるから、野沢が娘の阪元有三子の結婚式において「私の完敗だ」と言ったとしても、それは3人にとっては嫌味にしか響かないはずなのである。
阪元幸子が誰にも何も言わずに故郷を後にした理由がよく分からなかったが、一つ気になることは、『すべては君に逢えたから』(本木克英監督 2013年)の時任三郎が演じた宮崎正行にも当てはまることなのだが、幸子の病名が明かされないことで、これはガンなどの難病を患っている人たち対する配慮なのだろうか?